2005年11月2日
沖縄総合事務局長 様
開発建設部長 様
那覇港湾・空港整備事務所長 三宅光一 様
港湾技術指導官 酒井洋一 様
港湾計画課長 嶋倉康夫 様
沖縄県知事 稲嶺恵一 様
土木建築部長 様
港湾課長 様
文化環境部長 様
環境政策課長 様
自然保護課長 様
泡瀬干潟を守る連絡会 共同代表
内間秀太郎 小橋川共男 漆谷克秀
「レッドデータおきなわ」に記載されている泡瀬干潟、海域に生息する海洋生物の保全の要請
「改定・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)レッドデータおきなわ」(沖縄県文化環境部自然保護課、2005年3月)(以下「レッドデータおきなわ」)が公開されています。
この誌の「発刊にあたって」で稲嶺恵一沖縄県知事は次のように述べています。
「沖縄県は、・・他県等では見られない多くの固有の動植物が生育・生息し、豊かで多様な生物環境が形成されています。しかしながら、開発等によりこれら貴重な動植物が圧迫を受け、野生生物の種の絶滅や生態系の攪乱が懸念されることから、野生生物との共存を図るための保護対策に資する目的で、平成8年3月、・・沖縄県版レッドデータブックを作成した。他方、・・国においても「改定・日本の絶滅のおそれのある野生生物」を作成しています。本誌は、このような背景と、本県の野生生物の生息・生育状況等の変化を踏まえ、・・カテゴリーも国に準じ・・、「改定・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物」としてとりまとめたところであります。」
知事の「発刊にあたって」にあるように、この誌は「開発等によりこれら貴重な動植物が圧迫を受け、野生生物の種の絶滅や生態系の攪乱が懸念されることから、野生生物との共存を図るための保護対策に資する目的で」発刊されています。
ところで、今、沖縄市泡瀬干潟、海域で埋立工事が進行中です。今年から、沖縄県が海上工事に着手する、仮設桟橋周辺の浚渫が始まる等、工事は大きな節目を迎えています。
この泡瀬干潟、海域では埋立にあたって作成された環境影響評価書に記載されていなかった新種・貴重種(ホソウミヒルモ、リュウキュウズタ、ニライカナイゴウナ等)が工事が始まってから多数発見されています。そして、このたび発刊された「レッドデータおきなわ」の海洋生物で泡瀬干潟、海域に生息する種は当連絡会、泡瀬干潟生物多様性研究会の調べによると甲殻類7種、魚類6種、貝類108種、合計121種にのぼることが明らかになっています。詳細は別紙(記者会見資料)の通りです。
このまま工事がすすめば、「絶滅危惧種」がそれこそ絶滅に追い込まれる可能性があります。いくつかの種(貝類の絶滅危惧TA類:ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)について具体的に見てみます(以下要約)。
サンゴガキ(絶滅危惧TA類):「沖縄島東海岸(大浦湾、辺野古、久志、億首川河口沖、泡瀬)から特徴的に見いだされる。限られた地域のみに生息する。沖縄個体群は存続困難な状況に追い込まれている。」
ヒナキンチャク(絶滅危惧TA類)「生息域は金武湾海中道路周辺と泡瀬干潟の2地域。泡瀬干潟では2001年までは、新鮮な死殻が発見されたが、2002年夏以降、生貝は見られなくなり、新鮮な死核もほとんどは見られなくなった。」
チトセノハナガイ(絶滅危惧TA類)「1998年〜2004年にかけて確認された地点は、羽地内海、大浦湾、久志、泡瀬・・となっている。泡瀬等では1〜2個が見出されたにすぎない。」
ナノハナガイ(絶滅危惧TA類)「近年の調査で生貝が見出されたのは泡瀬干潟のみ。泡瀬干潟の生息域では、埋め立て工事が行われている。沖縄県のナノハナガイは絶滅のリスクの高い状態にあると考えられる。」
コオキナガイ(絶滅危惧TA類)「生息地は川田干潟と泡瀬干潟(比屋根湿地先)及び佐敷干潟の3地点のみ。川田干潟:約1ha、4個体/u。泡瀬干潟:1ha以下、1個体以下/u。川田干潟では埋め立て前の半分以下に狭められた。泡瀬干潟の個体群も現在進行中の埋め立て工事が完了すれば、川田干潟の個体群と同じ経過をたどるだろう。」
絶滅危惧TB類(ジャングサマテガイ等)、絶滅危惧U類(フジイロハマグリ等)、準絶滅危惧種、情報不足種についても埋立て工事により「絶滅に追いやられる可能性が高い」種が多数ありますが、紙面の都合で割愛します。
以上見てきたように、泡瀬干潟、海域での埋立工事がこのまますすめば、これらの種は沖縄から絶滅する可能性、あるいは絶滅に追いやられる可能性が高い、と思われます。このことは、先に「レッドデータおきなわ」発刊の趣旨「野生生物との共存を図るための保護対策に資する目的」からすれば、まさに許されないことであり、これらの種の絶滅を防ぐ対策を沖縄県・事業者・環境部局が実施することが強く求められています。また種の保全は「生物多様性条約」等の国際法、「生物多様性国家戦略」等の国内法でも規定されており、そのまま放置して「絶滅に追いやられる可能性が高い」状況になれば、これらの条約・法律にも違反することになり、沖縄県の環境行政の責任が問われることになります。
また、泡瀬干潟、海域を埋立てるにあたって作成された環境影響評価書には貴重種の保全について次のように記述されています。
県知事意見:工事中に貴重な動植物が確認された際は、関係機関に報告するとともに、適切な措置を講じること。
事業者見解:工事中に天然記念物指定種や「レッドデータブック」、「レッドリスト」等の掲載種、その他貴重種・重要種に相当する種で、環境影響評価書に記載されている動植物種以外の種の存在が埋立てに関する工事の施工区域内若しくはその近傍で確認された場合には、関係機関へ報告するとともに十分調整を図り、その保全に必要な措置を適切に講じます。
この知事意見・事業者見解からすれば、「レッドデータおきなわ」に記載された先の121種については、先に発見されたホソウミヒルモの対応と同じように、「調査」「報告」「十分な調整」のうえ「保全に必要な措置を適切に講じ」なければなりません。
つきましては、下記の要請をいたします。貴職のご高配をお願いいたします。
要請
1.「レッドデータおきなわ」に記載された泡瀬干潟、海域に生息する121種の海洋生物を早急に調査 すること。調査については、専門家と調整すること。
2.これらの種の保全に必要な措置(知事意見と事業者見解に基づく措置)を適切に講じること。
3.これらの種の保全について環境監視委員会に報告し、その保全について指導・助言を求めること。
4.工事続行により「絶滅に追いやられる種」が存在することから、その保全が確定するまで工事を「 中断」すること。