泡瀬干潟埋立の問題点(概略)  

 泡瀬干潟を守る連絡会 2007年820

    

1.                      埋立事業に合理性がないこと。

 

(1)土地利用計画があまりにも杜撰であり、将来性がない。埋立が実現していないのに、

はやくも「土地利用計画の変更」が検討されていること。

@        リゾート地構想(大きな4つのホテル、コンドミニアム、コテージ)でありながら、立地が

確実なホテルがないこと(沖縄市アンケート結果、2000年実施)。土建業者1社、確実ではな

いが希望のホテルが1社。

A        計画されている住宅用地(26ha)はホテル従業員の住宅として計画されているものであり、

ホテルの立地が無ければ、住宅建設もない。

B        構想されている、栽培漁業センター、海洋研究所は出来ないこと。

C        客船埠頭が計画されているが、将来性が無く、赤字が予想されること。

台湾―沖縄(那覇、平良、石垣)航路のスタークルーズも運休になり、ホテルも出来ないことから、

客船埠頭は大きな釣堀になるおそれがある。 

D        マリーナ構想があるが、沖縄マリーナと競合し、また将来性がないこと。

E        人工ビーチが計画されているが、周辺は深い海(水深約6m)であり、砂の流出などがあり、

維持管理が大変である。沖縄市の財政負担になること。

F        沖縄市が購入する90haの内3分の131haが米軍用地(沖縄市との共同使用地)であ

り、規制が厳しく、広場としての活用しか出来ないこと。

G        当初計画が実現できないのであれば、原点に立ち返り、市民に情報を提供し、市民合意を得

るための行政手続を行うべきである。小手先で「みなとまちづくり検討委員会」をたちあげ、

その答申で土地利用計画変更を行うことは、行政手法として間違っている。世界に誇る貴重な

干潟・海域、観光・エコツーリズムに活用できる貴重な場所を埋め立てるに値するのか、もう一度考

え直すべきである。

H        若者の雇用拡大を実現する、といっていますが、以上の問題点を考えれば、その実現は困難

である。現在工事が行われているが、工事の主体は本土ゼネコンであり、地元企業はほとんど

が下請けである。また、04年度、5年度の工事で、沖縄市の土建業者(対象業者421社)の受

注はわずか3社(042社、051社)であり、地域活性化、雇用拡大にもなっていない。

沖縄県発注の工事に対する入札状況は次の通り

泡瀬埋立事業、沖縄県発注工事、落札状況  平成13年3月29日〜平成18年2月17日まで 合計30件

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落札業者地域別

件数(合計)

落札業者(回数)

東京都

10

三菱総合研究所(2)、港湾空間高度化センター(4)、国土環境(3)、エコーJV(1)

浦添市

9

イーエーシー5)、岩芝エンジニアリング(3)、大冨建設(1)

那覇市

3

丸元建設(1)、経済調査会(2)

うるま市

5

グロリア(1)、環境保全研究所(4)

沖縄市

3

安村組(1)、大進建設(1)、大城水道(1)

 

 

 

落札額(合計、単位万円、万以下切捨て)

三菱総合研究所

1,721

丸元建設

6,795

港湾空間高度化センター

7,169

経済調査会

31

国土環境

6,058

グロリア

3,370

エコーJV

3,937

環境保全研究所

6,666

イーエーシー

4,682

安村組

7,297

岩芝エンジニアリンク

2,467

大進建設

3,202

大冨建設

220

大城水道

141

 

国(総合事務局)発注の工事(工事開始から平成18年度工事まで)も、ほとんどが、本土大手ゼネコン、

県内大手土建業者であり、全体で約146件の工事の発注があるが、沖縄市の土建業者の入札はゼロである。

 

注意※ 中城湾港漁場監視調査業務として沖縄市漁業協同組合に支払われた金はある。平成13330万、

平成14540万、平成15510万、平成16520万、平成17616万、平成18326万、合計2,872万円である。

この「漁場監視調査業務」も調査が必要である。工事区域の漁業権を放棄して、漁業補償金を20億円もらっているのに、

「漁場監視調査業務」として、毎年2回(4月と11月)支払われているのは不思議である。この金は佐敷中城漁業協同組合

にもほぼ同じ金額が支払われている。

 

(2)新港地区の浚渫土砂処分については、緊急性・合理性が無く、また、代替措置も検討さ

れていないこと。

埋立事業の目的の一つである隣接する新港地区のFTZ構想に基づく港・航路の浚渫につい

ては、緊急性・合理性がなく、当初92社の企業誘致にたいして、用地を取得した企業は現在わずか3(06年12月では、6社)

ありほとんどは県建設のテナント工場入社である。そのテナント工場も、色々の優遇措置、賃貸料の軽減をしたにもかかわらず、

空きが多い0612月では空きは4つ)。いま、新港地区には西埠頭があるが、FTZ用地に立地する企業で、西埠頭を利用している

企業はない。そのような状況なのに、東埠頭・新港(5万トン級の大型船、水深12m)をつくる事(泊地・航路の浚渫)に

緊急性・合理性がないこと。そして、泥質で質が悪くて新港地区の埋立に使えなかった浚渫土砂を「浚渫土砂処分として泡瀬埋立に使う」ことに大きな問題点がある。

事業者は、新港地区の泊地、航路の浚渫土砂は埋立にほとんど使い、余った浚渫土砂を泡瀬埋立に使うとしているが、泡瀬埋立に

930万立方メートル(8ルーベを積む10tトラック、約116万台分)の土砂が必要であり、そのうち710万立方メートルを新港

地区の浚渫土砂を使うとしている。そして約3km、海底にパイプを埋設して運び、泡瀬埋立に使う。このような莫大な量が新港地区

で何故余ったのか、説明がない。浚渫土砂は質が悪く、新港地区の埋立に使えなくなり、余ったと思われる。新港地区で使えなかった

浚渫土砂が、何故泡瀬埋立では使えるのか?この疑問に事業者は何も答えていない。

また、FTZの為に、新港地区の港の整備が本当に必要ならば、浚渫土砂の処分の「代替案」を検討すべきである。

また、新港地区が遊休化していることから、この場所が、辺野古新基地建設の方法書で、

作業ヤード(ケーソン製造場所)としてあげられていた経緯もある。国(防衛施設庁)が遊休

化していることを認めている。

現在、新港地区の埋立地のFTZ用地の分譲状況は次の通りである。

(平成1812月現在、沖縄県企業立地推進課の資料より作成)

 

分譲対象面積

分譲済面積

分譲率

分譲残面積

2次埋立

55.3ha

14.4ha

26.0

40.9ha

3次埋立

34.1ha

34.1ha

実質

89.4ha

14.4ha

1.9ha

16.1

2.1%

75ha

87.5ha

賃貸工場入社も分譲済面積に入れているので、実際の分譲面積(率)は、さらに下がる。

賃貸工場、分譲地での賃貸を除くと、実質FTZ用地の分譲率は僅か、2.1%である。

 

07315日の「沖縄タイムス」報道によれば、沖縄県は、分譲地の分譲価格を30%〜50%割引

する方針を明らかにしている。報道の概要は次の通り。

@        52aの分譲面積に対して、現在の分譲率は3.6%である。

A        現在は1u当たり26,700円であるが、次のように割り引く 

B 割引額は是正期間4年間で約47億円となる。

 

●用地取得面積が5千u以上2万u未満は30%割引の18,690円(1u当たり)

●用地取得面積が2万u以上6万u未満は40%割引の16,020円(1u当たり)

●用地取得面積が6万u以上は、50%割引の13,350円(1u当たり)

 

※企業誘致(FTZ構想)が失敗し、新たに企業誘致のため県税が投入(47億円)される

ことになる。

●賃貸工場の賃貸料も年1440万円でしたが、3年間割引され900万円になり、そのための県税投入は

満床ベースで年間1700万円、3年間で32100万円となります。

 

(3)新たな米軍用地の提供になる。共同使用地に問題。市民負担でもある。

当初、埋立計画は、泡瀬通信施設の制限水域(鉄塔から500m範囲)を解除して進めること

になっていたが、仲宗根市長になってから、変更され、埋立後は制限水域(陸になっている)

の面積約31aは米軍管理(米軍基地)になり、米軍との協定で、共同使用地になる。

使用制限がある(10m以上の建物禁止、幹線道路禁止、電波障害禁止、石油・ガソリン貯蔵禁止)。

違反物は設置者の責任で即時撤去、条件守られないときは協定書破棄、米軍専用地になる。

このことは、米軍基地を市民・県民の税金を使って建設し、米軍に提供する(共同使用する)

ことを意味する。また、共同使用地であるため、軍用地料も10分の1しか入らず、市民負担

である。

沖縄市は米軍基地に36%取られているので、新たな事業をするためには、海を埋立てるし

かないといっているが、これも問題である。新川市長のとき、自衛隊知花サイトが使用期限

になるので、返還を求めることになっていたが、仲宗根市長に代わったとたん、自衛隊に20

年使用させる契約をしてしまった。また最近、旧東恩納弾薬庫跡(全体110ha、沖縄市有地

67ha)が返還されることになっているが、そこを自衛隊のライフル射撃場として提供し

ようとしている。また、泡瀬ゴルフ場も返還され、その跡地に沖縄市有地もあり、これから

活用が検討される。

また、泡瀬通信施設は返還が合意されていたが、地主(泡瀬復興期成会や泡瀬プライドの

人たちも含む)が返還に反対し、そのため、海の埋立が進行した経緯もある。

現在、軍用地は返還される状況にあり、その跡利用が検討されなければならない状況にあ

る。将来性の無い、そして市民に負担を強いる東部海浜開発(泡瀬埋立)に力を入れるより、

返還地の跡利用を含め、沖縄市全体の活性化のための街づくりに力を注ぐべきである。

 

2.沖縄市民に将来過重な財政負担を与えることが、想定されること。

埋立事業の目的の一つの海洋リゾート地計画があまりにも杜撰であり、沖縄県包括外部監

査人も「事業内容の抜本的な変更や見直しも必要」と報告していること。報告概要は次の

通り

        海洋性レクレーション拠点、国際交流リゾート拠点形成の根拠が明確でなく、需要予測が甘い。

        事業計画も抽象的

        491億円投入すべきかどうか検討が必要

        事業内容の抜本的な変更や見直しも必要

        キャッシュフロー計算書からみても明白なように事業費の財源として約13億円余の起債を行っ

ており、今後の処分状況如何によっては新港地区、あるいは西原・与那原マリンタウンと同

様の厳しい財務状況に向かう可能性は十分想定される。

 

3.泡瀬干潟・海域の大切さが理解されていないこと。世界に誇る貴重な場所であること。

 

(1).同海域は「沖縄県自然環境の保全に関する指針(19982月)」で評価ランク1(厳正

な保護を図る区域)に指定されている、極めて貴重な干潟・海域である。

(2).埋立の認可・承認後も、アセス書に記載されていない新種・貴重種が多数発見・確認さ

れていること。そして、それらの種の保全が極めて不十分なこと。

 

埋立認可後確認された新種・貴重種・絶滅危惧種など

植物(12種)

ホソウミヒルモ(新種認定2004年)、ヒメウミヒルモ(新産)、ウミヒルモ(新産)、オオウミヒルモ(新産、新称)、リュウキュウズタ(新種)、

カラクサモク(新産)、ミル属の1(新種)、ウミウチワ属の3種(新産種が3つの可能性・神戸大学の専門家)

カワツルモ(陸淡水、絶滅危惧種)、ホソエガサ(絶滅危惧種1