皆様
前川盛治（泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長）
下記（文末）の要請を東門美津子市長に行い、6月18日（金）午後2時半から沖縄市役所市長応接室で東門市長と話し合いました。
東門市長の回答は下記の通りでした（概略、前川文責）。
１．3月末に、1区土地利用計画見直し沖縄市案を国に提出するとしたことは事実です。
２．今この時点で、沖縄市案を策定できていないのも事実です。
３．この点に関しては、4党、市議会、市民にお詫びを申し上げます。
４．沖縄市案を策定できない理由は、沖縄市の財政負担がどうなるのか未だ確定できない
ことです。
５．沖縄市案が策定したあと4党と協議し、市議会、市民に説明することは約束しました。
６．沖縄市案の策定を何時までも伸ばせるとは思っていない。9月議会までには策定し提
出したいという思いはある。確約は出来ない。
７．沖縄市案を国に提出する、ということはこれまで私が言ってきたことです。
８．沖縄市案が「経済的合理性があるかどうか」を判断するのは、国であり、私ではない。このことは4党にも伝えてきた。
この要請、話し合いには、泡瀬干潟を守る連絡会の代表（小橋川共男、吉里伸、前川盛治、池原秀明、屋良朝敏、桑江直哉）と
WWFジャパンの花輪伸一さん、日本自然保護協会の開発法子さんが参加しました。
開発さん、花輪さんからは、埋立を中止してあとの自然再生、自然との共生、ﾗﾑｻｰﾙ条約湿地に登録しての活用などの展望などが訴えられました。
今度の市長選での公約は、「沖縄市の土地利用計画の見直しに経済的合理性がないときは、
事業を推進しません。合理性の有無の判断は、4党と市長が協議して行います。」であると
私たちは理解し、要請してきましたが、今回の要請に対する回答は、上記にあるとおり、
「4党とは協議はするが、最終的に国に提出し、合理性の有無の判断は国が行う」が東門
市長の見解（公約）であると主張して譲りませんでした。
今後の4党と市長との協議、その後の対応が重要であり、4党と東門市長の説明責任も
問われます。
この問題は当面硬直状態が続きそうですが、市民県民への情報公開、国への要請など、局
面の打開のための取り組みが重要です。
みなさまのご支援をお願いいたします。
(以下が要請文)
2010年5月18日
沖縄市長 東門美津子 様
泡瀬干潟を守る連絡会 共同代表 小橋川共男 漆谷克秀
連絡先 090-5476-6628（前川盛治・事務局長）、住所：
東部海浜開発（泡瀬埋立）事業の1区中止の要請
4月25日の市長選での二期目の当選おめでとうございます。様々な課題がある中で、公約実現のためご奮闘ご活躍を期待しております。
さて、昨年9月17日、東部海浜開発（泡瀬埋立）事業（以下、泡瀬埋立事業）について前原誠司大臣が「1区中断、2区中止」を表明してから、
8ヶ月が経過いたしました。この間、泡瀬埋立事業については、様々な経過がありました。経過を概略いたします。
１．2010年10月4日、前原誠司大臣の沖縄訪問、東門美津子沖縄市長との面談
前原大臣「土地利用計画見直しについて、採算性があるのか、ペイできない時は沖縄市
が負担できるのか」等を東門市長に伝える。
２．2009年10月15日、控訴審判決、「埋立に経済的合理性は無い、公金を支出するな」
３．沖縄市の1区の土地利用計画見直し
（１）12月１日、沖縄市活性化100人委員会 東部海浜開発土地利用計画見直し部会（以下、市民部会）意見報告書
主案：ｴｺ・健康保養･国際観光ﾘｿﾞｰﾄｼｰﾀｳﾝ 副案：健康を作り出す島
（２）12月24日、東部海浜開発土地利用計画検討調査委員会（以下、専門部会）、2案決定
1案：国際交流ﾘｿﾞｰﾄ拠点形成案 ２案：ｽﾎﾟｰﾂｺﾝﾍﾞﾝｼｮﾝ拠点形成案
（３）2010年3月3日、専門部会 最終案決定：ｽﾎﾟｰﾂｺﾝﾍﾞﾝｼｮﾝ拠点形成案
（４）沖縄市案を2010年3月末までに策定し、前原大臣に提出するとしたが、東門美市長は、3月末に策定･提出できなかった。
４．沖縄市長選挙（4月18日告示、25日投開票）
（１） 「土地利用計画に経済的合理性がないときは、事業を推進しません。合理性の有無の判断は４党と協議します」を公約した東門美津子氏が当選し、
1区2区埋立全面推進の2候補は落選。
（２）選挙中、東門氏は4月25日まで沖縄市案を策定するとしたが、出来なかった。
（３）市長当選後のマスコミ取材に対して、「1期任期中（5月11日まで）には国に出せるようにしたい」（沖縄ﾀｲﾑｽ、4月27日）としたが出来なかった。
５．2010年3月23日、参議院沖特委での前原大臣答弁、「沖縄市案が提出されたら、経済合理性、採算性、実効性等厳しく検討する」
６．2010年4月27日、東門氏再選についての前原大臣の閣議後の記者会見
「（沖縄市の土地利用計画案については）国費を出す立場として経済合理性があるか、前提となる中身を厳しくチェックしたい」
以上の経過に示したように、東門沖縄市長は1区の土地利用計画の見直し沖縄市案を3月末までに策定し前原大臣に提出するとしてきましたが、
現時点（5月18日）までに提出できていません。5月末に開かれる沖縄市臨時議会でも案件として提出しないことがはっきりしています。
沖縄市案を策定できない理由を、東門市長は「土地利用計画に対する沖縄市の財政負担がどうなるのか検証している」（琉球新報、4月27日）と述べていま
す。
以上の状況を判断すると、沖縄市の土地利用計画策定は何時になるか分からず、いたずらに時間が経過するだけです。
ところで、泡瀬埋立事業は現在「1区中断」中ですが、護岸が完成し1区は完全に閉鎖され、環境の劣化が進んでいると推察されます。
1区内は新種･貴重種・絶滅危惧種の生息場所であり、サンゴ群落、海草藻場が豊かに広がっているところです。今年は国連の生物多様性年であり、
10月には名古屋で、日本国が議長国になって、生物多様性条約第10回締約国会議が開かれる重要な節目の年です。このような重要な年に、生物多様性の宝庫
が消滅するのをそのまま見過ごすことは出来ません。また、ナイロビで開催中の生物多様性条約の会合で、日本政府が4月11日までに、藻場など沿岸域の
保全強化を求める文言を10月のCOP10で採択する決議に盛り込むよう提案した、と新聞は報道しています（5月12日、「琉球新報」）。
このことからしても、１区の海草藻場は保全されるべきです。
沖縄市は前原大臣に約束した3月末までに、1区の土地利用計画を策定できず、国に沖
縄市案を提出できない状況にありますが、そのままこの状況が続くことは、行政上、公有
水面埋立法上も許されないことです。
つきましては、下記の要請をいたします。ご高配よろしくお願いいたします。
記
１．
東門沖縄市長は、選挙の公約に従い、早急に土地利用計画の合理性の有無の判断を４党と協議すること。
２．
東門市長は、沖縄市案を策定できず、前原大臣に３月末までに提出すると約束したことが履行できないことを踏まえ、早急に４党と協議し、
「沖縄市の土地利用計画に経済的合理性が示せないので、泡瀬埋立事業を推進しない」ことを表明すること。
そして、そのことを前原大臣に報告すること。
３．
沖縄市は、泡瀬干潟をﾗﾑｻｰﾙ条約登録湿地に選定するよう、国（環境省）に要請すること。
４．
沖縄市は、１区の総合調査が実現できるように、国（沖縄総合事務局）に要請すること。
以上