前原誠司大臣の答弁の問題点

 

2010323日(火)、参議院・沖縄及び北方問題に関する特別委員会での紙智子参議院議員(日本共産党)の質問に対する前原誠司沖縄担当大臣(兼国交相)の答弁で、泡瀬干潟埋立で1区の工事が行われても、泡瀬干潟は保全される、という答弁をしていますが、これは間違いです。

次は、前原大臣の答弁内容です。

 

「干潟の大切さ、残していきたい、ということは共有していると思う。だからこそ1期中断2期中止と政権発足当時に申し上げてきた。いずれにしても1期を仮にやられたとしても干潟の消滅は2%である。2%というものをどうとらえるかによりますが泡瀬干潟は基本的には残すということで取り組んでいきたい。」

 

この答弁の「科学的な間違い」を指摘しておきます。前原大臣は、干潟・浅海域・海草藻場の生態系を理解していません。また、1期工事で藻場が破壊されてきた事実を隠蔽しています。

 

泡瀬干潟埋立の1期工事によって、海草藻場が消滅し、残された干潟の環境が悪化(劣化)しています。泡瀬干潟は破壊されています。「泡瀬干潟は基本的に残す」ということは間違いです。

以下その説明です。

 

1.        干潟の浄化機能は「干潟とそれに続く浅海域・海草藻場を一帯のものとしてとらえて理解する」のが、科学的な常識である。泡瀬干潟では、1区工事区域は、豊かな海草藻場であり、そこが埋められると、干潟・浅海域・海草藻場の浄化機能、生態系が破壊される。現に破壊されている。

2.        1区に占める干潟面積の割合は数値的には2%(資料では1%)、1区・2区全体での干潟面積の割合は、18.5%であるが、大切なのは、干潟とそれに続く浅海域・海草藻場96a1期工事区域)が消滅するということである。

3.        次の図は干潟の機能を「干潟域生態系」として理解することの大切さを示している。

すなわち、陸域からの有機物が干潟の底生生物(ベントス)により分解され、(無機)栄養塩が形成されると、その栄養塩は浅海域・海草藻場の植物に吸収され、植物の様々な合成機能により有機物に再合成され、それが動物(捕食者)の食料として供給される(食物連鎖、物質循環)。そのことによって、干潟域生態系が保全される。

干潟に続く浅海域・海草藻場が埋められると、食物連鎖、物質循環が断ち切られ、干潟域生態系は破壊される。

その代表的な例が、福岡県の和白干潟における、人工島(出島方式による埋立)での残された「干潟」の環境悪化である。和白干潟では、沖合い埋立(人工島・出島)で海草藻場が消滅し、栄養塩の蓄積で、残された干潟でアオサが異常発生し、結果的に、干潟の環境悪化が進んでいる。

 

 

次の図(事業者・国沖縄総合事務局資料、平成13年度資料)は1期工事区域とその中の海草藻場を示している。

濃緑部分が海草藻場被度50%以上(56.8a)、淡緑部分が被度50%10%の海草藻場(196a)である。

次の図(平成21年度)と比較してください。1期工事によって、かなりの面積の海草藻場が失われた。その結果、残された干潟の環境が劣化(悪化)している。

悪化の具体例

@    残された干潟域でアーサ(ヒトエグサ)が取れなくなった。(シルトの付着によると思われる)

A    干潟域で貝が取れなくなった。(護岸により、貝の幼生の移動に影響があることによると思われる)

B    通信基地の前に広がっていた、海草藻場が消失している。(護岸造築による潮流の変化による、沖からの砂の堆積によると思われる)

C    干潟域に砂の堆積が始まっている。(護岸造築による潮流の変化による、沖からの砂の堆積によると思われる)

次の資料(事業者・国沖縄総合事務局)は、平成21年度の藻場分布図である。1期工事により、被度50%以上の藻場はゼロになりました。10%〜50%の藻場も

196aから144aに減少しました。もちろん1期工事区域は、ほとんど生埋めにされ、消滅しました。

 

次の図も事業者・国沖縄総合事務局の資料である。

1区・2区の中の、干潟面積、藻場面積を示している。薄い黄色が干潟をしめす。1区工事では、2.5a(全体2651%)の干潟が

失われるが、藻場が47a79×3÷5=47.4a)が埋め立てられ、消滅しつつある。

藻場移植25aとあるが、実際は1haを移植実験・手植え移植に使っただけであり、残り24aは「生埋め」である。