沖縄市の「土地利用計画見直し」の中の用地購入費について

     

泡瀬干潟を守る連絡会

2010311

 

T.これまでの経過

(1) 「沖縄市東部海浜開発事業資料集成(平成19年11月、沖縄市東部海浜開発事業・資料作成チーム)」より

沖縄県が沖縄市に売却する処分価格は、平成12年当時は、20,600円であった。

沖縄市が民間に売却する価格は、平成12年当時は、32,800円(28,200円・都市インフラ整備に補助事業を活用した場合)であった。

 

(2)控訴審での沖縄市の主張(沖縄市準備書面 平成21422日)

1.        土地処分先を確保した上で土地を購入するものであるから、沖縄市が土地を保有するのは極めて限られた期間。

2.        一括して購入するわけではなく、処分先が決まった区画ごとに購入する手順。

3.        万が一処分先への処分予定が解消された場合でも、多額の土地在庫を抱える事態になる可能性はほとんどない。

4.        土地の在庫を抱えることになっても購入価格は・・低廉であるため容易に他へ処分できる・・・沖縄市が過度の財政的負担を負う可能性はない。

 

(3)専門部会(091224日)に示された案

この表は、沖縄市が民間に土地を売却するための「公共用地の購入費に対して」の比較表である。スポーツコンベンション案の場合、県からの購入価格(表には金額はないが、仮にこれまでの説明の通り20,600円と仮定すると)+1180021,900円となり、32,400円〜36900円〜42500円である。この表の金額は、沖縄市が民間に売却するものであるが、沖縄県からの購入価格は明示されていない。この委員会で出された資料の中には、沖縄県からの購入価格は何処にも示されていない。(注:この時点で、国は明確に提示できなかった。)

また、公共用地の63.3a66%)は、沖縄県、沖縄市がどの部分(面積)を購入するのかも明示されていなかった。

 

(4)33日の専門部会で示された案

周辺の価格は商業系:85,200円、住宅系:52,200円を平成10年〜平成20年の変化のグラフで示している。

 

ところで※にあるように「単価20,600円については、さらに精査していく予定」とあり、この時点でも、沖縄市の土地購入費は、明確に示しきれていない。(国は明確に提示できない。)

 また、民間への売却額も1224日案よりも安くなっている。

 この案では、次のことが分かる。

1.        沖縄市が県から購入する金額は、収入(補助金)でペイすることになっている。

しかし、この収入(補助金)は、沖縄市役所内の他の部局がその事業をした時、その部局の予算で行うということであり、沖縄市の負担であることは変わりがない。

2.        沖縄市が分担する用地面積は57.6aと明示され、沖縄県、国管理の分担分が明示されていないが、担当者に質問したら、県は港湾施設の部分のみで約7a9.1−ショッピンングモール・沖縄市=7a)ということで、残りは国管理(護岸・幹線道路など)になる。

全体面積

沖縄市購入分

沖縄県購入分

国管理面積

96a

57.6

7a

31.4

3.        民間用地も、沖縄市が一括購入し、インフラ代を上乗せして民間に完売することになっている。

4.        控訴審で主張していたことが、180度変更され、沖縄市が一括購入することになっている。

 

この「土地売却額の検討」の問題点は次の通りである。

 

1.        沖縄県から購入する金額はまだ不明である。20,600円はさらに精査とある。増額する可能性がある。

2.        民間用地売却に関して、周辺価格と比較しているが、隣接する新港地区の土地代は、3割引〜5割引であり、5割引の場合、13350円である。新港地区と比較すると、泡瀬埋立地は約2.4倍である。

   新港地区のFTZ用地はわずか2.1%しか売れなくて、ほとんどが売れ残っていますが、県の起債償還計画によれば、平成57年から平成20年度まで、利子で80.3億円、元金で351.8億円、計432.1億円償還してきた(売れ残った土地を県が購入、利子を払う)ことになります。これから後、平成39年まで17年間、元金202.6億円、利子29.7億円、合計230億円、同じように県が土地を購入する、利子を払うという形で償還することになります。全て総計すると、元金554.4億円、利子110億円、総計665億円を償還(売れ残った分を県が土地を購入する、利子を払う)という形で予算を使います。これについては、文末の「琉球新報」記事、議会に提出された「起債償還計画」もご覧下さい。

   このような前例があるのに、沖縄市は民間に全て完売できると予測しています。売れないことは今の経済情勢からは十分予測でき、その時は沖縄市が民間地購入分(66億円)とインフラ整備費(57億円−補助費22億=25億円)、合計91億円、利息分を返済しなければなりません。莫大な借金です。

3.        沖縄市は、沖縄県から購入し、その金額は収入(補助)となっているが、市役所内の他部局が支出するので沖縄市の負担に変わりがない。公共用地購入費(約53億円)は、沖縄市負担である。

4.        用地購入費(公共53億、民間66億、合計119億円)は沖縄市負担である。沖縄市の用地購入費以外の投入額は184億円であるから、合計303億円を沖縄市が負担することになる。これは、私たちがビラで予想した、300億円とほぼ同じである。

 

U.泡瀬干潟を守る連絡会の作成したビラ(091224日の資料をもとに、2010210日、14日作成、)の沖縄市の土地購入費の記述について

 

私たちの作成したビラには、たしかに沖縄市の土地購入費の予想金額を示している。「96aの約半分40aを沖縄市が購入するとすれば、400,0004万円=160億円、沖縄市が負担することになる」と記述している。この記述は、1224日の専門部会案に沖縄市の購入価格が明示されていなかったため、民間への売却額(最高額)を参考に試算したものである。面積は私たちの予想(40a)を超え57.6aになった。金額は、沖縄市はまだ明示できていないが、仮に20,600円、31,380円とすると、255,000×20,600円+32,100×31,3801532500万円となり、私たちの予測(160)とほぼ一致する。インフラ整備費を入れると176億円となり、私たちの予測を超えている。20,600円、31,380円が増加すれば、さらに増える。

私たちの予測に対して、沖縄市のある議員が、「泡瀬干潟を守る連絡会はウソを付いて、市民に宣伝している、沖縄市は抗議しないのか」と言っているそうですが、その批判は当たらない。

次のことを解明するのが重要ではないか。

@用地購入費を何故明確に出来ないのか、A用地代は市役所内の他部局が支出するので沖縄市の負担に変わりがないが、事業が出来ない時は塩漬けの土地になり、利子・元金の返済は沖縄市負担になるが、これで経済的合理性を説明できるのか、B民間用地を本当に完売できる土地利用計画であるのか、売れない時はどうするのか、C連絡会のビラは、1224日の資料を基にすれば、何処が間違っているのか、正確な数値はどうなのかを示すべきである。

 

 

新港地区FTZ(特別自由貿易地域、特自貿)の売れない土地の債権償還は県議会でも取上げられている

下記は、2010312日の琉球新報記事です。

 

 

 

沖縄県観光商工部、企業立地推進課が県議会に提出した資料(20103月)↓

 

その他、沖縄市の「土地利用計画見直し」の問題点は、「専門部会最終案」の問題点をご覧下さい。

 

5回 東部海浜開発土地利用計画検討調査委員会報告

1033日、沖縄市中央公民館)

 

東部海浜開発土地利用計画検討調査委員会(以下、専門部会)が開かれました。最終案を審議し決定しました。今後はこの案をもとに、沖縄市の最終案が3月末に決定され、前原大臣に提示することになっています。

しかし、最終案を審議し決定したのに、「具体的な土地利用計画」を明確に示しきれず、委員からは様々な問題点が指摘されました。また、説明も、沖縄市負担が176億円なのか184億円なのか修正の繰り返しで、混乱していました。

以下、速報記事(前川盛治・泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長の文責)です。詳細は、幹事会で審議し掲載します。

 

専門部会最終案の問題点

 

1.        本計画の主要な部分の具体的な案を提示できていない。

 

本計画の主要な部分(スポーツコンベンション拠点形成)の多目的広場や交流施設は、「公共が整備し管理等を民間へ委託するなど事業のスキームを想定している。これについては、今後事業の具体化に向けて、一層の公共負担の削減を目指し、民間活力の導入も視野に検討を行っていく。」と示すだけで、具体的な案を提示できず、土地利用計画が「夢」の段階のままである。

 

2.        アクセス道路がどうなるか、出島の根本問題が解決されていない。

 

出島へのアクセス道路は、土地利用計画の根幹であり、具体的に提示しなければならないのに「アクセス道路の線形及び構造(橋梁、盛り土等)、取り付け位置については、本計画の中では概ねの位置で想定している。これについては、今後事業の具体化の中で、事業のB/Cや導入する事業手法(補助事業)、交通量解析などを勘案し、詳細に検討を行ったうえで設定する。」としている。事業の具体化、事業手法、など基本的な問題が何も具体化されず、交通量解析も行っていないことを自ら暴露している。委員からは「土地利用計画の中で策定すべきだと非難し、道路は環境に配慮するよう提言している。(琉球新報記事)」と指摘されている。

   アクセス道路については、第4回専門部会(091224日)で、「第3回委員会で指摘事項(要旨)と対応」で、「計画の1路線、計4車線のアクセス道路で対処が可能である。」と対応を示していたのに、今回の案では、それさえ示しきれなかった。227日の沖縄での88年ぶりの大地震と津波警報、28日のチリ津波警報と津波襲来という問題に対応できていないことが明らかである。出島方式の根本的な問題が解決されていない。

 

3.        沖縄市の投入額(事業費)は184億円(1273700万円+インフラ整備費57億円=184億円)です。

 

  事業主体毎の投入額は下記のように示しています。

 

内容

投入額

前回示した額

埋立に係る費用

357億円

357億円

沖縄県

港湾施設

238億円

181億円

沖縄市

インフラ整備、施設整備

(多目的広場等)に関する費用

184億円

143億円

民間

宿泊、商業、健康・医療施設等の整備に関する費用

260億円

289億円

合計

 

1,050億円

972億円

 

沖縄市の事業費は、184億円と説明していますが、184億円の説明も、176億円に修正され、また修正され184億円になった。

また、合計1,050億円も、計算すると1,039億円になり、信用できる金額になっていません。

沖縄市の事業費も、前回案より、約39億円増加しています。計画が進むにつれ、沖縄市の負担は、増加しています。

 

また、沖縄市が負担する概算整備費(上物施設等の整備)が示されています。

 

施設規模

事業費単価・円・ha

概算事業費

多目的広場用地

広場用地13.5a

ドーム施設・直径140

医科学センター・0.4a

 

20,000

4,000,000,000

1,100,000,000

27億円

60億円

11億円

交流施設用地

市民外国人の交流施設1ha

外郭部分1.9a

209,000

600,000,000

209千万

24700万円

栽培漁業センター用地

栽培漁業施設・外郭部分2a

600,000,000

6億円

合計

 

 

1273700万円

ここに示された1273700万円とインフラ整備費(先の表の、57億円)を加えた額、184億円が沖縄市の事業費になります。

しかし、これは、用地購入費(公共53億円、民間66億円、計119億円)を含んでいませんから、沖縄市の負担は、184億円+119億円=303億円になります。

大変な金額です。

 

4.        降って湧いた「栽培漁業センター」に行政(沖縄市)6億円の負担

 

 これまで市民部会(27回)、専門部会(4)が開かれてきたが、計画の中に1度も出てこなかった「栽培漁業センター」2haが突然降って湧いて来た。上記概算に有るとおり、行政(沖縄市)が6億円負担するとある。委員も「スポーツなどのコンセプトとあわない。販売目的なら商業施設に取り入れるべきだ(タイムス記事)」と批判している。

 「栽培漁業センター」が計画に入り、前回案では交流施設5aになっていたのに、2.9aに縮小されている。前の計画の交流施設(コンベンション)5000人規模の会議場は、どうなったのでしょうか。計画がクルクル変わります。

 「栽培漁業センター」については、平成12年当時の旧案にもあったが、設置主体の中城湾沿岸漁業振興推進協議会(沿振協)は、「組織と資金面で無理」として、計画を断念した経緯がある。沖縄市の担当者は「沿振協から、提案して欲しいとの話があった。今後関係機関と調整していく」と話しているが、沿振協からの要請に対して、沖縄市(行政)が造ってあげるという気前の良さである。漁業補償に約20億(国負担、沖縄県立替)を使い、今度は沖縄市が、「栽培漁業センター」6億円のプレゼントである。公平・公正な税金の使い方が望まれる。

 

5.        ホテル構想はまたまた縮小、しかし客船埠頭はそのまま、しかも港湾整備費は57億円も増加

 

 前回の案のホテル構想は、クルーズ船客・外国観光客用の高級ホテル300室、国内旅行客の中級ホテル250、家族旅行客のコンドミニアム150室、コテージ30戸になっていましたが、今回はホテル部分が、300室の中級ホテルになっています。約半分になりました。クルーズ船客・外国観光客用の高級ホテルが消えました。ところが、クルーズ船の客船埠頭費用(沖縄県負担)は181億円から238億円になり57億円も増えています。全く矛盾しています。

 またホテルなどの民間部分も、具体的にどの企業(ホテル・業者)が立地するか、何も示されていません。民間に土地が売れない時、土地代は沖縄県・沖縄市の何処が負担するのだろうか。

 

6.        観光客数予測、利用者延べ人数も、相変わらず過大見積もりをしています。

 

 平成30年の観光客数が850万人との予測は変化していません。観光客数については、県でも減少傾向にあることを認めています。2009年度は、前年比5%減の560万人で、10年度も減少を予測している。

平成30年度、850万人の観光客、沖縄市への観光客は1.6%、泊は2.72泊、東部海浜泊需要12万泊は、過大見積もりです。その数値を使った東部海浜(埋立地)の延べ利用者数580万人/年も過大見積もりです。仮に850万で計算しても、沖縄市観光客は14万人(実績1.6%)で、これまでの実績9万人を引いて、その残りが埋立地に来るとしても5万人です。延べ人数の計算では、埋立地の観光客は9倍の45万人で計算されています。埋立地の商業施設(SC=ショッピングセンター、レストラン)に住民が260万人/年、観光客57万人/年来るという数値も1日約8400人が来ることになり、信じられない数値です。観光客45万人/年推定なのに、57万人/年、という数値はどこから出てきたのでしょうか。臨海商業施設(ショッピングモール、レストラン等)にも47万人/年とあります。11,300人(観光客+住民)がショッピングに来ることになります。駐車場はどうなるでしょうか、アクセス道路は渋滞しませんか。沖縄市に隣接する北中城村アワセゴルフ場跡地に巨大商業施設が予定されています。北谷美浜、天久新都心、近隣のショッピングセンター、豊見城豊崎のアウトレットモールとの競合は大丈夫なのでしょうか。

 

7.        人口の増加予測も、全くデタラメです。

 

 資料では、平成17年度の人口をもとに、国立社会保障・人口問題研究所の推計(県全体、沖縄市)、現況の推移(国勢調査)からの推計(コザ・石川圏)をもとに平成30年の人口を予測しています。

 

沖縄県

コザ・石川圏

沖縄市

平成17

136.2万人

31.8万人

12.6万人

平成30

142.4万人

46.0万人

13.9万人

 沖縄県全体でも6.2万人しか増えないのに、コザ・石川圏では14.2万人増加する予測です。全くデタラメな予測です。コザ・石川圏が何処を含んでいるか不明ですが、いずれにしても使われている数値がデタラメです。他の数値も推して知るべしです。

 

9.具体的な計画もなく、数値も過大見積もりをしておきながら、3000人の雇用創出、沖縄市の税収が3億円増加などと「夢」が語られています。それに対し委員からは「この段階でこれだけの数値を出すのは危うく、一人歩きしすぎている(琉球新報記事)。」「根拠のデータが適正か分からず、現時点で予測数値を出すのはふさわしくない(タイムス記事)」と批判されています。

 

10.マリーナについては、企業ヒヤリング調査で「近年の動向を踏まえてマリーナ需要は将来的にも厳しい見通しとの意見もあった。」と紹介しながら、計画はそのままである。マリーナに関しては、沖縄県港湾課が県のボート所有者に「中城湾泡瀬地区マリーナ(仮称)の保管需要に関するアンケート調査」を実施(20101月)しているが、その結果は反映されているのだろうか。調査結果の公表が必要だ。

  港湾施設(客船埠頭、小型船だまり、マリーナ)の述べ利用者数も28.5万人/年になっています。1日約794人が利用することになります。隣接する沖縄マリーナや那覇・

安謝港の実態を見ているのだろうか。客船埠頭は東京港晴海ふ頭ターミナルの事例を参考に就業者数(12)を予測しているが妥当だろうか。

 

11.まとめ

 

 見てきたとおり、この案は「経済的合理性」を全く示していません。これから沖縄市が検討し、3月末に「沖縄市案」を決定するといいますが、後わずか20日あまりで、計画が具体化され、経済的合理性が示せないのは、あまりにも明らかです。沖縄市は、計画を断念し、泡瀬干潟再生の事業を再構築する時ではないでしょうか。

 沖縄市の英断を期待したい。

 

新聞報道(琉球新報、34日)です。

 

沖縄タイムス 34日 ↓