「沖縄タイムス」社説・2011429

泡瀬再申請 工事再開へ出来レース

    沖縄市が新たに作った土地利用計画を十分検証しないまま、行政手続きだけが進んでいる印象。既定路線を進む出来レースのようで県民には理解しがたい。

    高裁判決(経済合理性認めない、計画の人件費・調査費は認めた)後、1年で計画が作られ、国が承認し、事業が再開されようとしているが、これでいいのか。

    高裁判決の「新しい計画は、相当手堅い検証が必要」の指摘からすれば、計画策定が事業継続の前提ではない。

    新計画の経済効果については多くの疑問符がついている。(需要予測年間415万人利用は「手堅いのか」、2018年の県観光入域客850万人は妥当なのか、など)

    経済は生きもので予測は簡単ではない、リスクを含めて「堅め」であれば理解できるが、需要予測や経済効果の根拠を示し、議論の場にあげるべきだ。

    面積が半減しても(埋立の)総事業費が11億円増加するが、工事の内訳も示さず、釈然としない。

    3月県議会では、関連の予算削除をめぐって2転3転したが、議会は、経済合理性や公共事業のあり方も論議すべき。駆け引きに終始せず、再度泡瀬埋立を検証しなおすべきだ。

    市・県・国も経済的合理性に終始せず、「一度失った自然環境は元に戻せないことも肝に銘じ、工事再開をゴールにせず、市民、県民に議論を広げる責任がある。」