沖縄市の「宿泊需要数の予測」は、2重、3重の誤り
前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長)
上記の論壇にある、昨年12月18日の「琉球新報」論壇記事
沖縄市の推計は、県のデータを使い、あたかも「妥当な推計」の如く言っていますが、それは、トリックです。
県データをしっかり見る必要があります。次のいくつかの表は、H16年,H18年の県データです。
T.H16年度の県調査 77箇所の具体的な地名から複数選択する調査↓
U.上記のアンケートの結果 複数回答ですから、全体は514.3%になります。↓
市は、これから@「中部東海岸観光客の沖縄市立寄率61%」、A「中部地域観光客の沖縄市立寄率19.2%」を出しています。
@の計算 分母:伊計島5.3+勝連城跡2.4+中城城跡2.1+東南植物楽園7.9+沖縄市(コザ)7.4=25.1
分子:東南植物楽園7.9+沖縄市(コザ)7.4=15.3
15.3÷25.1×100=61%(中部東海岸観光客の沖縄市立寄率)
Aの計算 分母:伊計島5.3+勝連城跡2.4+中城城跡2.1+東南植物楽園7.9+沖縄市(コザ)7.4+北谷アメリカビレッジ16.5+琉球村13.6
+残波岬10+ムーンビーチ4.3+座喜味城跡3.7+むら咲むら3.7+コンベンションセンター2.9=79.8
分子:東南植物楽園7.9+沖縄市(コザ)7.4=15.3
15.3÷79.3×100=19.2(中部東海岸観光客の沖縄市立寄率)
※上記の二つの計算式は、複数回答の結果を足したり、割ったりしていますから、意味のない式です。また、「中部東海岸」とか
「中部地域」とかは、後のH18年の調査と辻褄を合わせるための「市の部類分け」です。東南植物楽園、沖縄市(コザ)が「中部東海岸」
なんておかしな話です。
※ 沖縄市の計算式は、複数回答の数値を足したり、割ったりしている。
例えば、東南植物楽園を訪問した人が、沖縄市(コザ)も訪問したら、この人は2回計算されたことになる。また有る人が、この地域のすべてを訪問すれば、5回計算されたことになる。1地域だけ訪問すれば、1回だけ計算される。この式(東海岸訪問者の沖縄市立寄率)が成り立つためには、重複部分を除くためにデータを調べ直す必要がある。また、そのように計算された値は、「5つの地域」を訪問した人の中の沖縄市を訪問した割合であり、「中部東海岸」の訪問者に対する割合ではない。さらにこの値は、平成16年度の結果であり、平成30年には当てはまらない。ましてや、「東南植物楽園」は現在閉鎖されており、このデータを使って平成30年を予測するのは根本的な間違いである。
上記の計算式は成り立たない(間違いである)が、もし、この計算式が成り立つとすれば、同じ資料をもとに県入域観光客数(全体)から沖縄市入域観光客(東南植物楽園+沖縄市コザ)の割合が計算できることになる。
分母:514.3(全体)、分子:15.3(東南植物楽園+沖縄市コザ)、15.3÷514.3×100=3%、850×0.03=26万人。
H30年度の沖縄市入域観光客は26万人となり、沖縄市の68万とは大きな差がでる。この二つの推計は、どちらも間違いである。
V.平成18年の県調査票です。↓ 15の地域をあげ、複数選択する調査です。よく見れば、H16年の調査(77箇所から選ぶ調査)
と違うことが分かります
W.上記の調査の結果です。↓
※
6の地域(中部東海岸)を訪問した割合は15.1ですが、ここで言う「中部東海岸」とは、その区域の「無数の場所」をさしています。
H16年の「沖縄市の5箇所」(中部東海岸)とは違います。調査の内容を見れば、H16年とH18年の調査は、全く違う概念(内容)で調査されています。
※
上記の1−15のデータ、「中部西海岸28.2」、「中部東海岸15.1」と、1−16のデータ「本島中部地域35.4」に注目してください。複数回答ですから、
「中部西海岸」と「中部東海岸」を単純に足して、「本島中部地域」28.2+15.1=43.3は、意味のない数値です。両方を選んだ部分(重複)を考慮し、
データを調査した結果が「本島中部地域35.4」なのです。また、この「本島中部地域」とH16年度の沖縄市の「中部地域」とは、全く違うものです。
※
先ほどのH16年度のデータから沖縄市立寄率を計算した考え(両方を足す)によれば、「本島中部地域43.3」になりますが、それは間違いであること
は、明らかです。
X.沖縄市の観光客数予測 ↓ 下表は、沖縄市が予測した考え方です。
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使われている「中部東海岸入域観光客沖縄市立寄率61%」、「中部地域入域観光客沖縄市立寄率19.2%」が意味のない数値です。
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県のデータからH30年中部東海岸入域観光客128万人は、「850」に問題は有りますが、15.1%はその通りです。
※
県のデータからH30年中部地域入域観光客301万人は、「850」に問題は有りますが、35.4%はその通りです。
※
H30年中部東海岸入域観光客128万人から、中部東海岸入域観光客沖縄市立寄率61%を使って沖縄市入域観光客数78万人を出すのは、トリックです。
意味のない数値61%が使われ、年度・内容・調査対象の違うH16年、H18年のデータが組み合わされています。
※
H30年中部地域入域観光客301万人から、中部地域入域観光客沖縄市立寄率19.2%を使って沖縄市入域観光客数58万人を出すのは、トリックです。
意味のない数値19.2%が使われ、年度・内容・調査対象の違うH16年、H18年のデータが組み合わされています。
※ H18年の県データ(県観光客の「海・ビーチ・海浜リゾート」訪問率60%を、そのまま「東部海浜開発地区立寄率」に使うのは、あまりにも非常識です。
Y.沖縄市の「宿泊需要の考え方」です。↓
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ここで使われている数値で信頼できる数値は、H20年沖縄県観光客数605万人(県発表)、H20年沖縄市延べ宿泊人数32.9万人だけです。
他は「虚構の数値」です。
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沖縄市宿泊日数が、沖縄市の都合のいい様に、使い分けられています。1.84(沖縄市実績だが、市が把握していないデータ)を使ったり、
2.71(沖縄県発表のデータ)を使ったりです。
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「沖縄市宿泊率」なるものが、「市が把握していない沖縄市宿泊日数1.84と、トリックで作られたH20年沖縄市観光客数48.4万人で作られています。
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この宿泊率が「不変の数値(どの年にもそのまま当てはまる)」として、H30年の沖縄市宿泊人数の計算に使われています。
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現在の沖縄市宿泊日数は、把握はしていないが、実績から1.84としながら、H30年には、いつの間にか、「沖縄県の現在の平均日数2.71を使って、
市の宿泊需要数を上乗せしています。
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「H30東部海浜新規宿泊需要数13万人」は、トリックで推定された数値です。
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H30年の沖縄県観光客数予測850万は、過大です。H22年実績(沖縄県発表・約586万)と沖縄市予測(653万人)では、67万人の誤差が出ている。
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平成20年と平成30年では、観光客数は850÷605=1.4倍である。平成20年の沖縄市延べ宿泊者数33万人泊の1.4倍は46万人泊、現在の33万人泊を
引くと、新規は13万人泊、宿泊需要数は、1.84で割ると7万人である。沖縄市の新規13万人は、過大である。850万が実現できなければ、新規宿泊需
要数も減る。
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沖縄市は、13万人の需要、9万人規模の宿泊施設を想定しているが、過大予測であり、宿泊施設の倒産が予想される。