東門美津子氏、政策発表(2010年4月8日)
東門美津子氏は4月8日、「東門みつこ二期目の重点施策〜みつこ力で5つのプラン〜」を発表しています。
東部海浜開発(泡瀬埋立)事業については、最後のところにあります。
「東部海浜開発事業は、市民目線で見直します。」
見直しの中身は、4党と合意した次のことです。
@ 沖縄市の土地利用計画に経済的合理性が無い時は、事業を推進しません。
A 泡瀬干潟を守り、貴重種・希少種の保護や持続可能な環境保全に取り組みます。
政策の表紙です。↓
政策の1枚目です。↓
政策の2枚目です。↓
この政策発表を新聞は報道しています。しかし、「沖縄タイムス」は政策を発表に基づいてわりと正確に報道していますが、「琉球新報」は、政策発表の内容を伝えるのではなく、その後の記者との質疑応答の一部を伝え、全体を伝えていないため、読者に誤解を与えています。
その報道記事を見比べて下さい。
先ずは「沖縄タイムス」です。↓
「1区推進、2区中止」とした土地利用計画の見直しを進め、市民、市議会、支持政党に説明した上で判断するとした。事業の進退は「最終的に国が判断」との見解を示した。
次は、「琉球新報」です。↓
東部海浜開発事業については「事業は必要」との認識を示し、経済的合理性のある土地利用計画を作り、国に提出していくとした。同計画の策定時期については明言しなかった。
どちらの記事が、政策発表を客観的に報道しているかは、明らかです。「琉球新報」の報道は読者に誤解を与える報道になっていないでしょうか。
しんぶん赤旗は次のように報道しています。↓
「沖縄タイムス」「しんぶん赤旗」に報道されているように、泡瀬干潟を守る連絡会は5月8日、県庁の県政記者クラブで、沖縄市長選挙の取組(幹事会決定)を記者会見で明らかにしています。
次は記者会見した内容です。
沖縄市長選挙について 泡瀬干潟を守る連絡会 3月30日(火)、第439回幹事会
T.泡瀬干潟を守る連絡会の、今度の市長選挙に対しての取組の経過
(1)
2010年2月18日の県内政党への要請
泡瀬干潟を守る連絡会と沖縄環境ネットワーク、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、泡瀬干潟を考える大学人・知識人の会は、2010年2月18日に「泡瀬干潟を守るための要請」を沖縄県内各政党に送付し、そのことを記者会見で公表しました。その要点は次の通りでした。
1.
泡瀬干潟は種の多様性の宝庫、沖縄・日本・世界の宝である。
2.
今年は、国連生物多様性年であり、10月には名古屋で日本が議長国となって生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催される節目の年である。
3.
泡瀬干潟裁判(一審・二審)は泡瀬干潟埋立について「経済的合理性はない、公金を支出するな」と判決を言い渡している。
4.
重要な節目の年に行われる沖縄市長選にあたっては、次の基本的立場を確認することが重要である。
(1) 生物多様性豊かな泡瀬干潟を沖縄の宝・世界の宝として保全する。生物多様性の宝庫を守ることは、米軍基地に頼らないで、自然との共生をめざし沖縄の未来を切り拓く上で不可欠の基盤でもある。
(2)
日本の自然保護活動にとって画期的な意義をもつ泡瀬干潟裁判の判決の成果を尊重し、干潟を含む自然の保全に生かしていく。
(3)
地球温暖化を防ぐなど世界的な課題解決・世界の自然保護・環境保全の立場からも泡瀬干潟は保全すべきである。
5.
以上の立場から、沖縄市長選にあたっては、「泡瀬干潟埋立(東部海浜開発)事業を中止する」政策を明確にし、その立場にたつ候補者選定を行うべきであること。
(2) 2010年3月8日の声明
上記の私たちの要請も踏まえて、4党は、政策合意を確認していますが、それに対し、私たち(泡瀬干潟を守る連絡会、沖縄環境ネットワーク、泡瀬干潟を考える大学人・知識人の会)は、3月8日に次の声明を発表しました。その要旨は次の通りです。
以上の私たちの要請は、沖縄市長選挙4党(社民党、共産党、社大党、民主党)協議の中でも論議され、4党の「沖縄市長選挙に関する政策・組織協定書」には、私たちの指摘した泡瀬干潟の保全に関する「基本的立場」が含まれています。4党のご努力を高く評価するものです。
しかしながら、東部海浜開発事業への対応については、4党の合意書は「沖縄市の土地利用計画に経済的合理性がないときは、事業を推進しません。」と判断を先送りし、これが確約できる確実な保障はありません。「基本的立場」と事業推進は両立しません。
改めて私たちは「基本的立場」に基づき、以下の点を、政党、環境団体、個人等、沖縄市の未来、泡瀬干潟の未来に関心を持つ皆様に要請します。
1.「埋立事業中止」を表明する候補者選定をすすめ、早い時期に候補者を擁立すること。
2.「基本的立場」と埋立事業は両立しないとの認識に立ち、沖縄市が進めている「土地利用見直し計画」の内容を検証し、市民・県民に公表すること。
U.2010年3月27日、東門美津子氏と4党の政策合意
以上の経過を経て、東門氏と4党は、3月27日、「沖縄市長選に関する政策・組織協定書」に調印し記者会見をしています。東部海浜開発事業への対応は、次の通りになっています。
@
沖縄市の土地利用計画に経済的合理性が無い時は、事業を推進しません。
A
泡瀬干潟を守り、貴重種・希少種の保護や持続可能な環境保全に取り組みます。
上記@Aは政策協定に文章化されていますが、合理性の有無の判断についても4党と東門美津子氏は、次のことを確認しております。
B
経済的合理性の有無の判断は東門氏と4党で協議する。
これについては、「琉球新報」「沖縄タイムス」(2010年3月28日)をご覧下さい。↓
V.予定候補者3氏の泡瀬干潟埋立事業の政策比較
|
東門美津子氏 社民・共産・社大・民主 |
喜屋武満氏 自民・公明 |
江洲真吉氏 無所属 |
東部海浜開発(泡瀬埋立)事業 |
C
沖縄市の土地利用計画に経済的合理性がないときは、事業を推進しません。 D
泡瀬干潟を守り、貴重種・希少種の保護や持続可能な環境保全に取り組みます。 3月27日、協定書↑ 4月3日の公開討論会の報道記事↓ 新計画の経済的合理性を市民に説明して、判断 |
1区2区を含めた当初計画通りに進める。埋立と同時に市民意見を集約し、時代に合わせた計画で市民理解を得たい。 3月25日、沖縄タイムス↑ 4月3日の公開討論会の報道記事↓ 環境に配慮し当初計画187haを埋立推進 |
東部事業は環境と共生する形で進めるのが基本姿勢だが、住民投票で賛否を問い、市民決断に従う。 3月25日、沖縄タイムス ↑ 4月3日の公開討論会の報道記事↓ 1区2区推進。国連アジア本部、海洋大学を誘致 |
W.沖縄市の「土地利用計画見直し沖縄市案」の策定状況
これまで、沖縄市は、沖縄市案を2010年3月末までに策定し、前原大臣に提出するとしてきたが、3月27日の4党との政策協定調印後の記者の質問に対して東門市長は、次のように答えた。
【「もう少し時間がかかる。なるべく早い時期にと思っている」と述べ、計画の策定時期について東門市長は4月25日の投開票までには行いたいとの考えを示したが、具体的な日は明言しなかった。今月中の策定が困難な理由について「合理性のある計画にするには、いろんな観点からチェックしなければならない」と述べた。】(琉球新報3月28日)(前日26日「琉球新報」は、沖縄市幹部の発言として、同様の内容を報道している。)
3月末までに提出するとしてきたが、それができないことは「土地利用計画に経済的合理性が示せないこと」を自ら証明していることになる。
4党合意は、「なるべく早く、合理性の有無について東門美津子氏と4党で協議し判断する」、としていることから、「土地利用計画の合理性がないので、事業は推進しない」ことの表明・埋立事業中止の表明が展望できる状況になっている。喜屋武氏や江洲氏の政策は「泡瀬干潟埋立全面推進」であり、事業中止の展望はありません。
X.前回市長選挙との比較
2006年の市長選挙では、東門氏は、市民意見を集約し検討会議で検討する等とし、賛成・反対のはっきりした態度を表明しなかった。相手陣営(桑江朝千夫氏)は埋立全面推進であったが、東門氏が勝利した。そして、4年後の今、「土地利用計画に経済的合理性がないときは、事業を推進しません」を正式に公約に掲げ、それが実現できる展望が開けている。4年前とは違い、前進である(4年前、埋立推進だった社大党も今回この政策合意に調印している。)。
Y.他予定候補者との比較
「土地利用計画に経済的合理性がないときは、事業を推進しません」という公約の意義を市民に訴え、選挙戦でその実現に奮闘する、そして東門氏の勝利を勝ち取ることが、泡瀬干潟埋立中止を実現する道である。喜屋武氏、江洲氏は、1区2区全面推進を基本的立場にしており、両氏が勝利すれば、埋立問題は、また振り出しに戻り、苦難の戦い(中止要請、裁判闘争、中止の様々な取組)を再度構築しなければならない。
Z.泡瀬干潟を守る連絡会の基本的立場
これまでの経過については、不満な点はあるが、4党及び東門氏の努力でここまで到達したことの成果を生かし、そして、道理ある立場で選挙戦を戦い東門氏の勝利を勝ち取ることで、埋立中止が実現できれば、泡瀬干潟を守る連絡会の目標「埋立中止」が達成できる。
[.以上の立場から、泡瀬干潟を守る連絡会としては、東門美津子氏の勝利のため奮闘する。
@ 「土地利用計画に経済的合理性はないので事業を推進しない」、を4党と東門氏に早めに表明させるようにする。
A 泡瀬干潟埋立事業全面中止をさせるため、東門美津子氏の勝利を期して奮闘する。