2008年11月27日
泡瀬干潟埋立事業への公金支出差止を命じた那覇地裁判決の速やかな確定を求める声明
ラムサールCOP10のための日本NGOネットワーク(略称ラムネット)
共同代表 花輪伸一(WWFジャパン)
同 呉地正行(日本雁を保護する会)
同 堀 良一(日本湿地ネットワーク)
別紙名簿記載声明賛同者一同
2008年11月19日、那覇地方裁判所は泡瀬干潟の埋立事業の公金支出を差し止める判決を下しました。生物多様性に富む沖縄最大の干潟を実現可能性がほとんどない利用計画の下で埋立ようとする事業の不合理性は語り尽くされていながら、この事業を止められないことは、沖縄、そして日本において統治機構のシステムが健全に機能しなくなっているという閉塞感を象徴していました。同様に閉塞感の象徴であった諫早湾干拓事業について、2008年6月27日に佐賀地方裁判所が開門調査を命ずる判決を下し、ようやく日本において今までの自然の摂理に反する大きな過ちを自ら正していける端緒を得ましたが、諫早に続き今回泡瀬干潟で公金支出差止の判決が下されたことは、正に画期的であり、私たちを絶望の淵から救い出す大きな希望の光となりました。
私たち湿地保全に関わるNGOは、2008年3月、この10月28日から11月4日に韓国チャンウォンで「健全な湿地 健康な人々」をテーマにして開催されたラムサール条約第10回締約国会議(ラムサールCOP10)のために、「ラムサールCOP10のための日本NGOネットワーク」を組織しました。
ラムサール条約の最大の拠出国である日本は、東アジアで初めての締約国会議であった1993年に釧路でラムサールCOP5を開催したにもかかわらず、以来この15年の間に、日本最大の干潟であった諫早干潟を干拓事業により破壊し、沖縄最大の干潟である泡瀬干潟の埋立を強行して、条約締約国の義務である国内のすべての湿地の賢明な利用に逆行する政策を継続してきました。私たちがラムサールCOP10のために日本のNGOネットワークを組織した動機のひとつは、この日本の湿地保全に関する二枚舌の姿勢を糾し、日本において真に湿地の賢明な利用を実現する契機としてラムサールCOP10に取り組もうと考えたからです。
ラムサールCOP10の本会議に先立つ10月25〜27日に、私たちは「ラムサールCOP10のための韓国NGOネットワーク」に協力して、世界湿地NGO会議を開催しました。世界から約400名の湿地保全のNGOが参加した会議の中で日本のNGOからは100名以上が参加し、そこでは、締約国会議を招致した韓国が他方で大規模な湿地開発を進めている矛盾を糾弾すると共に、日本の諫早、泡瀬をはじめとする賢明でない利用が続く問題状況を議論しました。私たちは、日本の恥をあえて曝し、世界に対し日本の姿勢を問うことで日本の状況を改善しようと考えたのです。
かつて、東アジアには農林漁業を基盤にした持続可能な社会が確かに存在し、ラムサールCOP10のテーマであった「健全な湿地 健康な人々」を実現していました。地球温暖化をはじめ地球環境の最大の危機を迎えている中で、私たちは東アジアの風土に根ざした持続可能なかつての社会システムを再構築していかなければなりません。そのためには、水源地から河川、湖沼、水田、干潟、浅海域までに及ぶ湿地を賢明に利用することは必須のことです。
沖縄にとって宝の海である泡瀬干潟をここで確実に保全できるかは、まさに私たちが地球的規模での環境危機を乗り越え、生き残っていけるかの試金石となるでしょう。ラムサールCOP10を終えて、私たちNGOネットワークは、湿地保全のための恒久的なネットワークに改組し、2010年に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(CBDCOP10)で人類の生存にとってかけがえのない湿地における生物多様性を高めるための取組を追求して行こうとしていますが、環境省は、この11月21日に、CBDCOP10のコミュニケーションワードに「地球のいのち、つないでいこう」という標語を採用したことを発表しました。地球レベルではなく、先ず日本の足元にある泡瀬干潟を保全してそこに生息する多様な生きもののいのちをつなぐことができずに、「地球のいのち、つないでいこう」というキャッチフレーズのもとで日本政府が名古屋でCBDCOP10を開催するならば、それは世界を欺くことにほかなりません。
私たちは、泡瀬干潟のいのちを確実につないでいくために、沖縄県、
泡瀬干潟のいのちを守ることは、私たちのいのちを守ることそのものであることを、私たちの肝に銘じて。
(この文書に関する問い合わせ先)ラムネット事務局 事務局長 浅野正富
〒323-0034
TEL 0285-25-6577 FAX
0285‐25-6627 e-mail m-asano@msd.biglobe.ne.jp
ラムサールCOP10のための日本NGOネットワーク 声明賛同者名簿 |
||
|
||
|
団 体 名 |
氏 名 |
|
|
|
|
WWFジャパン |
花輪 伸一 |
|
(財)日本野鳥の会 |
古南 幸弘 |
|
〃 |
金井 裕 |
|
〃 |
山本 裕 |
|
(財)日本自然保護協会 |
開発 法子 |
|
〃 |
廣瀬 光子 |
|
〃 |
大野 正人 |
|
日本雁を保護する会 |
呉地 正行 |
|
日本国際湿地保全連合 |
佐々木 美貴 |
|
〃 |
岸本 伸彦 |
|
日本湿地ネットワーク |
堀 良一 |
|
〃 |
柏木 実 |
|
〃 |
伊藤 昌尚 |
|
〃 |
伊藤 恵子 |
|
〃 |
小沢 秀造 |
|
〃 |
笹木 智恵子 |
|
〃 |
松尾 武芳 |
|
〃 |
池田 愛美 |
|
日韓共同干潟調査団 |
山下 博由 |
|
〃 |
長田 英巳 |
|
ラムサール条約湿地を増やす市民の会 |
浅野 正富 |
|
NPO生物多様性農業支援センター |
田崎 愛知郎 |
|
〃 |
原 覚俊 |
|
潟Aレフ |
橋部 佳紀 |
|
はぜっ子倶楽部 |
新妻 香織 |
|
〃 |
島田 靖孝 |
|
アサザ基金 |
飯島 博 |
|
〃 |
諏訪 茂子 |
|
渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会 |
猿山 弘子 |
|
千葉県自然保護連合 |
牛野 くみ子 |
|
千葉の干潟を守る会 |
大浜 清 |
|
〃 |
竹川 未喜男 |
|
〃 |
伊藤 章夫 |
|
三番瀬を守る会 |
田久保 晴孝 |
|
三番瀬を守る署名ネットワーク |
織内 勲 |
|
千葉県野鳥の会 |
加藤 敬美 |
|
市川緑の市民フォーラム |
尾崎 めぐみ |
|
ラムサール条約と私たちの湿地 |
伊藤 よしの |
|
NPO法人東京港グリーンボランティア |
千葉 久光 |
|
諫早干潟緊急救済東京事務所 |
矢嶋 悟 |
|
琵琶湖ラムサール研究会 |
宮林 泰彦 |
|
(社)大阪自然環境保全協会 |
田 直俊 |
|
NPO法人南港ウェットランドグループ |
高田 博 |
|
|
|
|
日本野鳥の会徳島県支部 |
山内 美登利 |
|
〃 |
三宅 武 |
|
〃 |
綿谷 春代 |
|
〃 |
村松 貴美子 |
|
とくしま自然観察の会 |
井口 利枝子 |
|
〃 |
田島 正子 |
|
NPO法人水辺に遊ぶ会 |
足利 由紀子 |
|
曽根干潟を守る会 |
原戸 真視 |
|
ウェットランドフォーラム |
松本 悟 |
|
和白干潟を守る会 |
山本 廣子 |
|
〃 |
山之内 芳春 |
|
〃 |
片岡 佐代子 |
|
諫早湾しおまねきの会 |
大島 弘三 |
|
有明海漁民・市民ネットワーク |
菅波 完 |
|
〃 |
羽生 洋三 |
|
泡瀬干潟を守る連絡会 |
前川 盛治 |
|
〃 |
小橋川 共男 |
|
泡瀬の干潟で遊ぶ会 |
水間 八重 |
|
〃 |
桑江 直哉 |
|
沖縄野鳥の会 |
山城 正邦 |
|
ハチの干潟調査隊 |
岡田 和樹 |
|
コウノトリ湿地ネット |
佐竹 節夫 |
|
コウノトリ生息地保全協議会 |
上田 篤 |
|
〃 |
宮垣 均 |
|
|
坂本 成彦 |
|
ふくおか湿地保全研究会 |
土谷 光憲 |
|
〃 |
服部 卓朗 |
|
(財)自然保護助成基金 |
目代 邦康 |
|
NPO法人表浜ネットワーク |
田中 雄二 |
|
〃 |
田中 美奈子 |
|
〃 |
今村 和志 |
|
生物多様性フォーラム |
原野 好正 |
|
〃 |
清水 雅子 |
|
沖縄リーフチェック研究会 |
安部 真理子 |
|
〃 |
鋒山 謙一 |
|
渥美自然の会 |
大羽 康利 |
|
韓国田舎情報室 |
田中 博 |
|
自然の権利基金 |
余門 光子 |
|
里山シンポジューム実行委員会 |
荒尾 稔 |
|
キープ協会 |
湊 秋作 |
|
八代野鳥愛好会 |
高野 茂樹 |
|
個人 |
中丸 素明 |
|
〃 |
嶋田 久夫 |
|
〃 |
新海 美佳 |
|
〃 |
大畑 孝二 |
|
〃 |
稲葉 光國 |
|
個人(ミュージシャン) |
KEN子 |
以上90名