沖縄市の観光客数予測の間違い
泡瀬干潟を守る連絡会
2012年3月5日、内容を若干修正した。
結論を先に書きます。
1. 沖縄市の観光客数の予測は、過大予測であり、平成11年は実績と138万人の誤差(20%)があり、全く信頼できない。
2. 沖縄県予測も、単なる推計値であり、最近見直しをしているが、その値も信頼できない。
3. 国、県は沖縄市は県と比較して、「硬めの予測」をしているから正しいとしているが、それも間違いである。
4. 沖縄市の様々な需要予測で使われている二つの「沖縄市立寄り率」はトリックである。
5. 沖縄県の平成16年度、18年度のデータを使っているが、異質のデータを繋ぎ合わせて予測しており、間違っている。
6. 県観光客の「ビーチに訪れた率60%」をそのまま、「東部海浜開発地区立寄り率」として使い、宿泊者を割り出しているが、あまりにも非科学的である。
7. 沖縄市の宿泊需要予測は、トリックで予測された数値と、希望値である沖縄市宿泊率2.71を使っており、信頼できない。
8. 宿泊需要13万人の増加、そのうち9万人を埋立地の宿泊施設需要とする予測は、信頼できない数値である。
沖縄市の推計は、県のデータを使い、あたかも「妥当な推計」の如く言っていますが、それは、トリックです。
県データをしっかり見る必要があります。次のいくつかの表は、H16年,H18年の県データです。
T.H16年度の県調査 77箇所の具体的な地名から複数選択する調査↓
U.上記のアンケートの結果 複数回答ですから、全体は514.3%になります。↓
市は、これから@「中部東海岸観光客の沖縄市立寄率61%」、A「中部地域観光客の沖縄市立寄率19.2%」を出しています。
@の計算 分母:伊計島5.3+勝連城跡2.4+中城城跡2.1+東南植物楽園7.9+沖縄市(コザ)7.4=25.1
分子:東南植物楽園7.9+沖縄市(コザ)7.4=15.3
15.3÷25.1×100=61%(中部東海岸観光客の沖縄市立寄率)
Aの計算 分母:伊計島5.3+勝連城跡2.4+中城城跡2.1+東南植物楽園7.9+沖縄市(コザ)7.4+北谷アメリカビレッジ16.5+琉球村13.6
+残波岬10+ムーンビーチ4.3+座喜味城跡3.7+むら咲むら3.7+コンベンションセンター2.9=79.8
分子:東南植物楽園7.9+沖縄市(コザ)7.4=15.3
15.3÷79.3×100=19.2(中部東海岸観光客の沖縄市立寄率)
※上記の二つの計算式は、複数回答の結果を足したり、割ったりしていますから、意味のない式です。また、「中部東海岸」とか
「中部地域」とかは、後のH18年の調査と辻褄を合わせるための「市の部類分け」です。東南植物楽園、沖縄市(コザ)が「中部東海岸」
なんておかしな話です。
※ 沖縄市の計算式は、複数回答の数値を足したり、割ったりしている。
例えば、東南植物楽園を訪問した人が、沖縄市(コザ)も訪問したら、この人は2回計算されたことになる。また有る人が、この地域のすべてを訪問すれば、5回計算されたことになる。1地域だけ訪問すれば、1回だけ計算される。この式(東海岸訪問者の沖縄市立寄率)が成り立つためには、重複部分を除くためにデータを調べ直す必要がある。また、そのように計算された値は、「5つの地域」を訪問した人の中の沖縄市を訪問した割合であり、「中部東海岸」の訪問者に対する割合ではない。さらにこの値は、平成16年度の結果であり、平成30年には当てはまらない。ましてや、「東南植物楽園」は現在閉鎖されており、このデータを使って平成30年を予測するのは根本的な間違いである。
上記の計算式は成り立たない(間違いである)が、もし、この計算式が成り立つとすれば、同じ資料をもとに県入域観光客数(全体)から沖縄市入域観光客(東南植物楽園+沖縄市コザ)の割合が計算できることになる。
分母:514.3(全体)、分子:15.3(東南植物楽園+沖縄市コザ)、15.3÷514.3×100=3%、850×0.03=26万人。
H30年度の沖縄市入域観光客は26万人となり、沖縄市の68万とは大きな差がでる。この二つの推計は、どちらも間違いである。
V.平成18年の県調査票です。↓ 15の地域をあげ、複数選択する調査です。よく見れば、H16年の調査(77箇所から選ぶ調査)
と違うことが分かります
W.上記の調査の結果です。↓
※
6の地域(中部東海岸)を訪問した割合は15.1ですが、ここで言う「中部東海岸」とは、その区域の「無数の場所」をさしています。
H16年の「沖縄市の5箇所」(中部東海岸)とは違います。調査の内容を見れば、H16年とH18年の調査は、全く違う概念(内容)で調査されています。
※
上記の1−15のデータ、「中部西海岸28.2」、「中部東海岸15.1」と、1−16のデータ「本島中部地域35.4」に注目してください。複数回答ですから、
「中部西海岸」と「中部東海岸」を単純に足して、「本島中部地域」28.2+15.1=43.3は、意味のない数値です。両方を選んだ部分(重複)を考慮し、
データを調査した結果が「本島中部地域35.4」なのです。また、この「本島中部地域」とH16年度の沖縄市の「中部地域」とは、全く違うものです。
※
先ほどのH16年度のデータから沖縄市立寄率を計算した考え(両方を足す)によれば、「本島中部地域43.3」になりますが、それは間違いであること
は、明らかです。
X.沖縄市の観光客数予測 ↓ 下表は、沖縄市が予測した考え方です。
※
使われている「中部東海岸入域観光客沖縄市立寄率61%」、「中部地域入域観光客沖縄市立寄率19.2%」が意味のない数値です。
※
県のデータからH30年中部東海岸入域観光客128万人は、「850」に問題は有りますが、15.1%はその通りです。
※
県のデータからH30年中部地域入域観光客301万人は、「850」に問題は有りますが、35.4%はその通りです。
※
H30年中部東海岸入域観光客128万人から、中部東海岸入域観光客沖縄市立寄率61%を使って沖縄市入域観光客数78万人を出すのは、トリックです。
意味のない数値61%が使われ、年度・内容・調査対象の違うH16年、H18年のデータが組み合わされています。
※
H30年中部地域入域観光客301万人から、中部地域入域観光客沖縄市立寄率19.2%を使って沖縄市入域観光客数58万人を出すのは、トリックです。
意味のない数値19.2%が使われ、年度・内容・調査対象の違うH16年、H18年のデータが組み合わされています。
※
H18年の県データ(県観光客の「海・ビーチ・海浜リゾート」訪問率60%を、そのまま「東部海浜開発地区立寄率」に使い、68万人の60%、約41万人(毎日1123人)が埋立地のビーチを訪問する、というのは、あまりにも非常識です。
下の表は、平成18年度県調査結果です。「海・ビーチ・海浜リゾート」訪問率60%をそのまま、各地に当てはめるとどうなるでしょうか。
例えば、那覇市はどうなるでしょうか。那覇市の観光客立寄り率は、68.3%(上記のH18年度県調査、表T-15)で、H18年入域観光客(国内)は約554万人ですから、那覇市のビーチ(「波の上ビーチ」しかない)に350万人(毎日9,600人)の観光客が訪問するということになります。このような非常識がまかり通るはずがありません。
Y.沖縄市の「宿泊需要の考え方」です。↓
※
ここで使われている数値で信頼できる数値は、H20年沖縄県観光客数605万人(県発表)、H20年沖縄市延べ宿泊人数32.9万人だけです。
他は「虚構の数値」です。
※
沖縄市宿泊日数が、沖縄市の都合のいい様に、使い分けられています。1.84(沖縄市実績だが、市が把握していないデータ)を使ったり、2.71(沖縄県発表のデータ)を使ったりです。
※
「沖縄市宿泊率」なるものが、「市が把握していない沖縄市宿泊日数1.84と、トリックで作られたH20年沖縄市観光客数48.4万人で作られています。
※
この宿泊率が「不変の数値(どの年にもそのまま当てはまる)」として、H30年の沖縄市宿泊人数の計算に使われています。
※
現在の沖縄市宿泊日数は、把握はしていないが、実績から1.84としながら、H30年には、いつの間にか、「沖縄県の現在の平均日数2.71を使って、
市の宿泊需要数を上乗せしています。
※
「H30東部海浜新規宿泊需要数13万人」は、トリックで推定された数値です。
※
H30年の沖縄県観光客数予測850万は、過大です。H22年実績(沖縄県発表・約586万)と沖縄市予測(653万人)では、67万人の誤差が出ている。
※
H23年実績(沖縄県入域観光客数 548万)と沖縄市予測(676万)も大きな誤差(676-548=138万)が出ています。誤差20%の数値は信用できない数値です。
詳細は下記をご覧下さい。
http://www.awase.net/maekawa/2011kenkankoukyaku.htm
※
平成20年と平成30年では、観光客数は850÷605=1.4倍である。平成20年の沖縄市延べ宿泊者数33万人泊の1.4倍は46万人泊、現在の33万人泊を引くと、新規は13万人泊、宿泊需要数は、1.84で割ると7万人である。沖縄市の新規13万人は、過大である。850万が実現できなければ、新規宿泊需要数も減る。
※
沖縄市は、13万人の需要、9万人規模の宿泊施設を想定しているが、過大予測であり、宿泊施設の倒産が予想される。
[.下記の表は、沖縄市提供のデータ(沖縄市予測数)と沖縄県の入域観光客数(実績数)との比較である。
表にはないが、沖縄県は平成28(2016)年度は、1,000万人を推定していた。
沖縄市の「入域観光客数」予測に使われている各年度の県観光客数の予測(2008年以降) 単位は万人 |
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年度元号 |
年度西暦 |
実績数 |
沖縄市予測数 |
差 |
H20 |
2008 |
605 |
605 |
|
H21 |
2009 |
565 |
630 |
-65 |
H22 |
2010 |
586 |
653 |
-67 |
H23 |
2011 |
548 |
676 |
-128 |
H24 |
2012 |
|
699 |
|
H25 |
2013 |
|
723 |
|
H26 |
2014 |
|
747 |
|
H27 |
2015 |
|
772 |
|
H28 |
2016 |
|
797 |
|
H29 |
2017 |
|
822 |
|
H30 |
2018 |
|
848 |
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H30年、沖縄市県観光客予測848万人(約850万人)は、実現不可能である。
沖縄市、沖縄県、国(内閣府)は、沖縄市の予測は、沖縄県の予測(平成28(2016)年度、1000万人)より低く、固めの予測をしていると評価しているが、これも誤りである。
沖縄県は、カジノ・エンターテイメント検討事業報告書(平成23年3月、沖縄県)では、入域観光客数の見直しをしており、それによると、平成32(2020)年度は、796万人(平成30年は約760万人)である。
この予測は、「外挿」予測(データのある期間の数値を使い最小二乗法による推定回帰式を求め、その推定回帰式が示す直線を単純に延長する方法)
であり、統計学的には、「希望的観測に限りなく近い予測値」であり、信頼性に乏しい。
沖縄市の推計方法も、y=0.1919X2乗+13.238X+201.72の式にX=経過年数を挿入しての計算方法であり「希望的観測に限りなく近い予測値」であり、信頼性に乏しい。
しかし、沖縄市も県も国も、全く「見直し」をしない。沖縄市の予測は正しいとしている。
\.沖縄県の観光客数が「不正確」と、沖縄観光連盟が指摘しています。沖縄県のデータを基にしている、沖縄市の観光客数も「不正確」という
ことになります。今進められている、国・県の泡瀬埋立変更の手続きは、「沖縄市の予測は全て正しい」を出発点にしています。
根本的な見直しが求められます。