泡瀬判決に関して,沖縄県弁護士会が,本日次のような会長声明を発表したようです。
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泡瀬干潟埋立事業に対する那覇地方裁判所判決に関する会長声明

1 那覇地方裁判所は,2008年11月19日,沖縄市泡瀬の泡瀬干潟を埋め立て,人工島を造成して埋立地を利用する中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業・臨海部土地造成事業(以下,「本件埋立事業」という。),沖縄市東部海浜開発事業(以下,「本件海浜開発事業」という。これら事業を併せて「本件埋立事業等」という。)に関し,被告の沖縄県と沖縄市に対して,公金支出差し止めを命じる判決を言い渡した。
判決は,2007年12月の沖縄市長の方針表明について,第T区域については具体的な土地利用計画が何ら定まっておらず,当該区域における埋立工事が相当程度進んでいるという事業の進捗状況を追認したにすぎないとし,また,第U区域については,基本的に見直す(計画を撤回する)というものであり,沖縄市が行う本件海浜開発事業は経済的合理性を欠くとした。
そして,判決は,本件海浜開発事業が経済的合理性を欠く以上,本件埋立事業の経済的合理性も認めることはできないとして,本件埋立事業等への公金の支出が,地方自治法及び地方財政法に違反する違法なものであると認定した。
2 当会は,泡瀬干潟が南西諸島の生物地理的特徴を示す貴重な大規模干潟で,且つラムサール条約登録湿地となるための国際的に重要な湿地の基準を満たしており,国際的にも極めて重要な湿地であるにもかかわらず,本件埋立事業等が経済的合理性を欠いていることに鑑み,上記沖縄市長の方針表明をふまえて,2008年1月28日,泡瀬干潟の貴重な自然を保全するために事業計画の再考と工事の中止を求める会長声明を発表した。
 本判決は,本件埋立事業等が経済的合理性を欠くものであると明言し,将来の公金支出の差し止めを命じることによって,実質的に本件埋立事業等の中止と見直しを求めるものであるところ,本件埋立事業等の経済的合理性が欠如していることを明確に示しており,高く評価できるものである。
3 本件埋立事業等の工事がこのまま継続すれば,計り知れない経済的損失を被ると共に,かけがえのない貴重な自然を失うことになりかねない。
本判決によって本件埋立事業等が経済的合理性を欠くものであることが明らかにされたのであるから,沖縄県,沖縄市は,本判決を真摯に受け止め,国と協議して本件埋立事業等を中止し,既に行われた工事によって破壊された自然を再生するために必要な措置を講ずることを強く求める。
以 上