意見陳述書 中石清重

 

 私は、沖縄市在住の者です。80歳になります。伊計島の出身で、海と深くかかわって生きてきました。

私は、貴重な動植物が生息し、渡り鳥の飛来地・休息地である豊かな自然、泡瀬干潟を守り、子々孫々まで残してほしいと思っています。

 沖縄市には豊かな自然が残っている場所は少なくなりました。今度返還される予定だった旧東恩納弾薬庫跡地も本島北部と同じように豊かな自然が残っているところですが、前市長が自衛隊と賃貸契約を結んだため、自衛隊のライフル射撃場として使われそうです。豊かな自然、市民の財産が軍用地として提供され、自然が破壊されることは、残念なことであり許されないことです。

 昨年、「レッドデータおきなわ」が発刊されましたが、それに記載されている絶滅危惧種の131も泡瀬干潟・海域に生息していると聞き、びっくりしています。ところが、今進められている泡瀬埋立予定地内の絶滅危惧種は、保全されず、一部は他の海域に「移動」されるが、ほとんどはそのまま「生き埋めにされる」と聞いて、まさかそんなことが平気で行われているのか、と怒っています。729日の「琉球新報」報道によれば、事業者が埋立予定地内のみで確認している貝5種も、他の海域で生存しているかどうかの調査もしないで、そのまま生き埋めにされるそうです。これら5種の貝は沖縄では、埋立予定地内のみで生息しているかもしれないのです。

 自然を大切にする、環境に配慮するといった事業者の言動がまったくの嘘であったことが明らかになりました。豊かな自然を破壊した上、絶滅危惧種も「絶滅」に追いやる事業者の態度をそのまま許すことはできません。

 このような貴重な場所を埋め立てて「人工ビーチ」をつくる、また、実現が疑問視されている「リゾート地」をつくることが、本当に沖縄市民の夢、沖縄市民の総意でしょうか。私も沖縄市民ですが、このような愚かなことに賛同した覚えはありません。去った4月の市長選挙で、「埋立積極推進」の候補者を破り当選した東門市長は「検討委員会を立ち上げ、市民の意見を聞き、結論を出したい」としています。この事業はこれまで「沖縄市の強い要請で進められてきた」経緯がありますが、東門市長の誕生で状況は変化し、根拠が崩れていますから、事業者(国・県)は、沖縄市での検討委員会の結論が出るまでは、事業を「中断」して、しばらくは静観すべきではないでしょうか。工事を早く進める理由はないのです。

 沖縄は、去った太平洋戦争で地上戦を経験し、多くの自然を失いました。残った自然も戦後そして復帰後の「開発」で危機的な状況です。残された貴重な自然をこれ以上失ってはいけません。自然破壊の最悪行為である戦争を2度と起こさせないことと同時に、今行われている一部業者の「開発」の名で行われる自然破壊も止めなくてはなりません。そして私たち年寄りや子どもたちが、自然豊かな環境で生きていける世の中をみんなで築き上げたいものです。裁判官の公正な判断を期待して、私の意見陳述といたします。