意見陳述      三浦正道
 
 私は、昨年2月に東京から移住して参りまして、浦添市に在住している者です。移住以前も、
沖縄の海に魅せられて24年間に亘り幾度となく通って来ておりました。その間に泡瀬の干潟とい
う名称は何度か耳にしたり、目にしたりしておりましたが、あの市街地に隣接した海岸が、綺麗
なはずはない、との先入観で一度も訪れたことはありませんでした。昨年の秋、新聞で観察会の
案内に接し初めて足を運んでみましたが、目から鱗とは、まさにこのことで干潟の美しさ、貝類
の豊富さ、海草・海藻の豊富さには目を見張るばかりで、大きな感動を受けました。しかし、沖
に目を転じますと正面に完成した埋立地の一部が、水平線の景観を断ち切って異様な姿を見せて
横たわっておりました。これを見た瞬間、この工事は止めなければ、という思いを強く感じまし
た。その後、今日まで20回ほど干潟を訪れて参りましたが、砂地に群れるミナミコメツキガニ、
砂地の藻場で揺れるクビレミドロ、海中の砂地に散在するウミエラの神秘的な姿、或いは、深夜
の浅瀬に幻想的に光るウミホタル等々、訪れるたびに新しい出会いを経験して、この思いは更に
強固なものになって参りました。
 しかしながら、私は、何が何でも自然環境を守れと言うつもりはありません。人間生活にとっ
て開発というものが、必須の営みであることは、十分理解しているつもりです。開発の是非は、
その結果獲得できる利便性、経済性、或いは、福祉の向上等々のプラス面と開発に要する財政負
担、更には維持管理に要する財政負担、或いは、自然環境破壊等々のマイナス面とのトレード・
オフで、どれだけプラス面が勝るかということを、その地域の住民の方々、あるいは、その地域
に関わって生活している方々、更には、第三者が十分に理解しあって決定されるべきものである
と考えております。泡瀬干潟埋め立てに関しては、この議論が決定的に不足しているように思わ
れてなりません。浚渫土砂の廃棄場所の確保、或いは、一部業界の利益と言うものが優先しては
いないでしょうか。
 先日、海上埋め立て工事周辺をカヌーで訪れる機会がありましたが、人工ビーチ予定地と言わ
れる場所に直径30cm以上の大きな石がワイヤーネットで大量に固定されているのを目に致しまし
た。岩ですら固定しておかなければならないあの場所にビーチの砂を留めておけるとは、とても考えら
れません。大量の砂を恒久的に補充し続ける必要があります。些細なことかもしれませんが、これも、周
辺の自然環境に影響を与え続けることになりますし、費用も発生し続けることになります。
 工事を推進されている方々は、この埋め立ては、出島方式であるが故に、自然環境は保全され
る、と仰っていますが、私が見ておりますこの短期間でも、通信基地近傍の市街地よりへの砂の
流入、砂洲の形状変化等、干潟の状況は確実に変化してきております。沖の一部が完成しただけ
で海流は大きく変化しています。全工事が完了した時点での干潟の生物相への影響は計り知れな
いことを示していると思われます。
 我々の子供・孫・曾孫の世代から、この沖縄有数の、いや、世界に誇るべき大きな遺産を奪う
ことに繋がる、この工事が即刻中断されることを希求して止みません。