与那原・西原「中城湾港マリンタウン」
マリーナ、ホテル、バスセンター用地(県所有地20.9ha)売却できず、用途変更
それでも、泡瀬干潟埋立地に「マリーナ」を造る?!
西原・与那原のマリーナの失敗、泡瀬でのマリーナ構想の問題二ついては、以前にも指摘してありました。しかし、国・県・沖縄市は、この構想をそのまま進めています。
以前の記事は下記です。
以上をもとにした、最近の総合的な批判です。↓
需要予測・マリーナの問題点 前川盛治
マリーナ(整備面積2.7ha、利用者数約1.2万人、需要者数1.3万人)
(1)規模の算定
A.マリーナ用地(単位、ha)
エプロン |
上架施設 |
陸上保管施設 |
洗艇場 |
修理施設 |
駐車場 |
管理棟 |
通路・緑地帯 |
計 |
0.3 |
0.05 |
0.58 |
0.04 |
0.16 |
0.59 |
0.05 |
0.96 |
2.7 |
B.マリーナ収容対象隻数
■マリーナ保管隻数需要の推計(沖縄本島内プレジャーボート所有者を対象としたアンケート調査の結果より、マリーナ保管隻数需要を推計した。また、本土からの需要を宜野湾港マリーナの県外オーナーの占める割合より算定)
|
区分 |
小型 |
中型 |
大型 |
合計 |
本島内からの需要 |
MB |
154 |
3 |
1 |
158 |
CY |
12 |
|
|
12 |
|
水上バイク |
60 |
|
|
60 |
|
計 |
226 |
3 |
1 |
230 |
|
県外からの需要 |
MB |
|
21 |
21 |
42 |
CY |
|
2 |
2 |
4 |
|
計 |
|
23 |
23 |
46 |
|
|
合計 |
226 |
26 |
24 |
276 |
アンケート結果(沖縄県H22.6)より
■
マリーナビジター艇需要の推計
宜野湾港マリーナのピーク日のビジター実績をもとにビジター隻数を推計
|
海上係留 |
陸上保管 |
MB |
4 |
7 |
CY |
|
1 |
水上バイク |
|
2 |
計 |
4 |
10 |
宜野湾マリーナの実績より
■
海陸別保管隻数(宜野湾港マリーナの実績をもとに海陸別保管隻数を算定)
|
|
小型 |
中型 |
大型 |
計 |
海上係留 |
MB |
97 |
14 |
22 |
133 |
CY |
8 |
1 |
2 |
11 |
|
計 |
105 |
15 |
24 |
144 |
|
陸上保管 |
MB |
57 |
10 |
|
67 |
CY |
4 |
1 |
|
5 |
|
水上バイク |
60 |
|
|
60 |
|
計 |
121 |
11 |
|
132 |
|
合計 |
MB |
154 |
24 |
22 |
200 |
CY |
12 |
2 |
2 |
16 |
|
水上バイク |
60 |
|
|
60 |
|
計 |
226 |
26 |
24 |
276 |
宜野湾マリーナの実績より
以上は、沖縄市の推計、「規模の算定F−1 マリーナ」の記述です。
上に出てくる「沖縄本島内プレジャーボート所有者を対象としたアンケート調査結果」で、関連する部分の結果は下記です。
(3)問3 本マリーナについてのお考えを教え下さい 1保管場所として本マリーナに興味があるか 1大変興味がある 127 17.7% 2興味がある 214 29.9% 3興味はない 369 51.5% 4不明 6 0.8% 計 716 100% (4)問4 「@大変興味がある」及び「A興味がある」に回答した方に伺います。どの様に興味をもたれましたか。 1)船の保管場所として 1船の保管場所として 1海上バース 76 22.3% 2陸上ヤード
105 30.8% 3保管検討してもよい
55 16.1% 4整備状況により検討したい 80 23.5% 5その他
17 5.0% 99不明
8 2.3%
計 341 100% |
大変興味がある、興味があると回答した人341名の中で、海上バース、陸上ヤードを船の
保管場所として回答した人は、僅か181名です。上記のマリーナ保管隻数需要の推計(本島内からの需要)の230名は、「保管検討してもよい55」を加えた数236名とも合いません(小型船だまりの保管対象隻数の中に、「泡瀬地区マリーナアンケ結果より」として4隻記載がありますが、これを入れても数が合いません)。
また、このアンケートは、県外の人もアンケート回答者(東京5、千葉1、神奈川1、大阪1、岡山1、鹿児島2、計11名)になっていますから、県外の11名もアンケートに反映されていると思います。
沖縄市のマリーナ需要予測(規模の算定)の問題点
1.
アンケート調査結果からすると、泡瀬地区マリーナ(以下、本マリーナ)の需要は僅か181名ですが、数字を上乗せ(検討してもよい、を上乗せ)して、230名をアンケートからの需要数にしています。さらに、需要を増やすために、宜野湾港マリーナの県外からの需要数46をそのまま加えて、合計276名を推測しています。宜野湾マリーナの利用者がそっくりそのまま、本マリーナを利用することは、考えられません。偽りの推計です。
2.宜野湾港マリーナのピーク日のビジター実績をもとにビジター隻数を推計しています。全てのマリーナが宜野湾港マリーナと同じように利用されるという推計は、我田引水です。
3.アンケート結果では、海上係留76、陸上ヤード(保管)105、合計181であるのに、宜野湾マリーナの実績をそのまま利用して、海上係留144、陸上保管132、合計276と推計するのも問題です。
4.本マリーナの直ぐ近くに、沖縄マリーナがありますが、現在あまり賑わってはいません。宜野湾港マリーナも同じ状況です。
5.県の中城湾港マリンタウンプロジエクト(与那原・西原地区)の主要施策に掲げていた「与那原マリーナ」の整備事業が企業の破綻や不況によるボート愛好家の減少により変更を余儀なくされ、現在放置されたままです。近くに「佐敷マリーナ」もありましたが、20数年前に閉鎖されました。沿岸・近海での漁業資源の減少や海のレジャーの不振、不況等により、マリーナの需要は急速に減少しています。
6.管理棟の面積は「西原与那原地区マリーナ管理等計画と同規模程度」として、0.05haを想定していますが、稼動していないマリーナが参考にならないことは当然です。
7.多くの施設を想定していますが、基本の「マリーナ収容対象隻数」の予測が、過大(誤った推計)であれば、施設規模は、造られても利用されない状況になります。
8.このマリーナ構想については、進出希望の企業は、ありません。
9.県のアンケート結果では、マリーナの利用状況は、ほぼ毎日は3.6%、週1回が20.5%、月1回が22.8%
です。上記の276名が仮に利用したとして、毎日は、276×0.036=10名、週1回が57名、月1回が63名です。ボート所持者で考えると、1日、約20名(10+8+2=20)しか利用しません(県外の所持者46名は、年数回と思われますから、もっと少なくなり、実際は20名以下でしょう)。県の調査は、所持している船の種類・定員・利用状況が分かりますから、詳細に分析すれば、所持者以外の利用人数も分かるはずです。ビジター(上記ピーク日、10名)は、市は2名を予測していますから、ボート所持者を含め、1日、合計22名+α程度の利用です。
県のアンケート結果 3)現在の利用状況 716名回答者 1.ほぼ毎日 26
3.6%
2.週1回
147 20.5% 3.月に1回
163 22.8% 4.2〜3ヶ月に1回 94 13.1% 5.半年に1回
40 5.6% 6.年に1回
37 5.6% 7.夏季シーズンを中心
194 27.1% 10.その他
0 99.不明
15 2.1% 4)1回当たりの平均的な利用人数(具体的な人数) 716名回答者 1.1人 90(12.6%)
2.2人 186(26%) 3.3人 173(24.2) 4.4人 111(15.5%) 5.5人 84(11.7%) 6.その他 12(1.7%) 99.不明 60(8.4%) |
10.沖縄市マリーナ利用者の車の駐車場面積を次のように計算しています。
276隻がピーク日集中率0.24。車利用率は0.892。また、ボートの種類に係わらず1隻2.7台の車が利用される。結果、276隻の駐車場160台4,800u、ビジター2台100u、一時利用駐車場960u、合計5,900u(0.59ha)
1台の駐車面積はほぼ、30uとしていますから、約197台の駐車場になります。これは、上記の利用者数の予測から見ると、あまりにも過大予測です。
11.利用者数1.2万人の予測は次のようになっています。
マリーナ需要隻数 |
1隻利用人数 |
1隻利用者数 |
年間回数 |
年間利用者数 |
合計 |
水上バイク60 |
1 |
60 |
19 |
1,140 |
1.2万人 |
MB小178 |
2 |
356 |
19 |
6,764 |
|
MB大22 |
5 |
110 |
19 |
2,090 |
|
CY16 |
5 |
80 |
23 |
1,840 |
|
|
マリーナ基本構想計画調査報告書 |
|
沖縄県業務委託調査 |
|
表を見て分かるとおり、年間回数が19回〜23回となっています。マリーナ需要隻数はアンケート調査結果を使いながら、年間利用回数はアンケート結果を使わないで、「沖縄県業務委託調査」を使っています。何のためのアンケート調査なのかが問われます。アンケートを詳細分析して、例えば、あるMB所持者はどの様な利用状況か、その船は定員何名かを調べて利用者数を予測すべきです。市の予測では、春夏秋冬、雨の日も風の日も1日33名(1.2万人÷365=33)の予測になります。隣接する沖縄マリーナの実態(毎日10名弱)から見れば、過大予測と思われます。
また、上記駐車場面積の計算では、1台必要面積約30uとして、合計5900u(197台の駐車場)の計算をしていましたが、年1.2万人の利用は1日、33名の利用となり、面積は33人×30u=990uにしかなりません。駐車場の計算(約6倍)がデタラメであることが分かります。
沖縄市の「マリーナ需要予測」の問題点
1.沖縄市の予測(年1.3万人、毎日36名の需要予測。規模は1.2万人、毎日33名だから手
堅い検証)
(1)H30年沖縄県観光客数850万→沖縄市観光客68万→東部海浜41万人→0.5%「ヨットモーターボート」参加率(レジャー白書08)→H30年東部海浜入域観光客のマリーナ需要約0.2万人
(2)H30年沖縄県人口142.4万人→コザ・石川圏人口34.1万人→0.0935回マリーナ参加回数(レジャー白書08)×1/3(北谷フイッシャリーナ、沖縄マリーナを考慮して3分の1)→H30年コザ・石川圏のマリーナ需要約1.1万人
(3)0.2+1.1=1.3万人 → 本マリーナ需要者数(規模は1.2万人、需要は1.3万人であり、手堅い計画になっている。)
2.需要予測の問題点
(1)全国の数値(レジャー白書08年)を使っている。全国所得平均の67%の沖縄にそのまま適用できない。沖縄は海のレジャーはそれほど盛んではない。(海のレジャーはある程度裕福の方のレジャーである。)
(2)コザ・石川圏の0.0935回マリーナ参加回数(レジャー白書08)×1/3(北谷フイッシャリーナ、沖縄マリーナを考慮して3分の1)が現実のものであれば、沖縄マリーナも賑わっているはずであるが、実態は違う。
H22年コザ・石川圏推計値は33万人であるから、33万×0.0935×3分の1=10,285人(毎日28人)が沖縄マリーナを利用していることになるが、現実は違う。
沖縄マリーナの実態は、正確なヒヤリングではなく、電話での問い合わせ(H23年3月)によると、保管隻数45隻(そのうち海上ヤード12隻)、毎日の利用者は平均しておおよそ10名弱である。H22年コザ・石川圏からの推計は、北谷フイッシャリーナ、沖縄マリーナ、本マリーナの3つを考慮しての計算であるが、現在本マリーナは無いから、2分の1で計算すると15,428人(毎日利用、42名)となり、益々実態(毎日利用は、10名弱)とあわない。
(3)市は、様々な企業アンケートを実施しているが、本マリーナへの進出希望企業はいない。
(4)沖縄市のマリーナ需要予測は、過大予測である。