沖縄市小型船だまり規模算定、需要予測の問題点
泡瀬干潟を守る連絡会
(1)規模の算定、駐車場では、「ピーク日対象船舶隻数×1隻当たりの定員×乗船率×外来率」÷2.5台を使って駐車台数を計算している。1日ピーク日で169台(5,070u)になる。
ピーク日(全ての船舶がフル利用される)ではそうなるが、年間利用者数の計算による1日の駐車台数44台とあまりにもかけ離れている。(宿泊者はホテルの駐車場利用の計算)
(2)利用者数が年4.0万人(1日、109名)と想定しているので、44台、1,320u(109÷1台平均人数2.5=44台、44×30u=1,320u)の駐車場利用になる。駐車場の台数の計算169台(169×30u=5,070u)は、あまりにも過大計算である。
(3)極めてまれな特別の日(ピーク日、年30回、1月に1回)のために、日頃は閑散としている駐車場が必要か疑問である。そのような特別の日は、マリーナ駐車場を利用すればよい。マリーナ駐車場も過大に計算されている。
(4)旅客船2隻(くがに3、オルカ)が年305回(台風、悪天候など特別の日を除いてほぼ毎日)、1回103人(年間3.1万人)が利用するとあるが、東部海浜地区(以下、本小型船だまり)から、何処に行くのであろうか。近くの離島は津堅島しかないが、津堅島には平敷屋漁港からも旅客船がでている。わざわざ遠い(直線距離で約2倍)本小型船だまりから津堅島に果たしてこれだけの人が利用するか疑問である。久高島もあるが、津堅島より遥かに遠い。久高島に行くには、南城市(知念半島)安座真港が近い、僅か10分である。
(5)遊漁船15隻が1回305人を乗せ、年30回(毎月1回)、合計0.9万人利用するとある。
現在、泡瀬漁港から「一文字渡し」の遊魚船(釣り船)があるが、夏場利用する人が少しいる程度で、毎日25名(0.9÷365)利用する実態はない。勝連半島崎近くには米海軍原子力潜水艦の寄港地ホワイトビーチがあり、放射線もれなども報道され、遊漁船が行く場所ではない。津堅島周辺へは、先に書いたように平敷屋漁港が近い。近くには、泡瀬漁港、熱田漁港、南原漁港などもあるが、遊漁船(釣り船)で賑わっている状況ではない。釣り場が多い本島北部の羽地漁港のデータを使っているが、足元(泡瀬、熱田、南原)を何故見ないのか。本小型船だまりが出来ると、宿泊者の中から4.9万人が増え、急に「釣りブーム」になるとは、考えられない。
(6)需要予測では、全国の数値(レジャー白書08)を使っているが、マリーナ予測と同じように、全国所得平均の67%の沖縄にそのまま適用できないことは、マリーナ需要と同じである。
特に、旅客船需要については、先にふれたように、本小型船だまりの周辺には、離島は津堅島しかなく、離島の多い全国や、沖縄県北部(羽地)のデータで予測するのは、間違っている。
(7)マリーナ予測では、規模1.2万人、需要1.3万人(規模の1.08倍)であったが、小型船だまりでは、規模4.1万人、需要10.4万人(規模の2.5倍)になっている。小型船だまりの需要予測が、沖縄の実情にあっていないことは、明白である。需要予測が10.4万人であれば、小型船だまりの規模を2倍にしても成り立つはずである。
(8)H30年の沖縄県観光客市予測850万人、沖縄市観光客市予測68万人、東部海浜入域観光客市予測41万人、東部海浜入域観光客の小型船だまり需要約4.9万人を予測しているが、予測に使われている数値(850万人,68万人,41万人)が、数字のトリックで計算されたものであることは、「観光客数・宿泊需要の問題点」で指摘した。4.9万人は過大予測である。
(9)沖縄市人口から小型船だまり需要数を予測しているが、遊漁船・旅客船利用の半分が沖縄市を選択する、さらにその半分が本小型船だまりを選択するなどの予測は、何を根拠にしているか分からない。沖縄市の強い願望なのか。
(10) コザ・石川圏人口(沖縄市・うるま市・北谷町・嘉手納町・読谷村)から小型船だまり需要数を予測している。沖縄市以外の4市町村の方が、遊魚船(釣り)、離島客船需要が多い。にもかかわらず、地元選択2分の1、沖縄市選択4分の1、本小型船だまり2分の1選択も何を根拠にしているか分からない。例えば、釣り場・離島・橋でつながった大きな島・津堅島へ行く港があるうるま市(H30年人口約12万、石川・具志川・勝連・与那城、沖縄市の人口にやや近い)の16分の1(7,500人、毎日約21名)が本小型船だまりを利用するなどの予測が成り立つのか、疑問である。これも沖縄市の強い願望か。
(11) 小型船だまりの需要(10.4万人)は、沖縄市にはそのまま適用できないレジャー白書を使い、また、沖縄市の希望的強い願望で予測されている。その結果、規模の計算での予測(4.1万人)の2.5倍の数値になっている。
(12) 沖縄市の小型船だまりの「規模・需要予測」は過大予測である。将来の沖縄市の財政負担を予測させるものになっている。
以上の問題点の根拠の資料(沖縄市の需要予測を整理したもの)を下記にしめす。
沖縄市、小型船だまり、規模の算定(整備面積1.0ha、利用者数約4.0万人)
1.
小型船だまり用地
|
エプロン |
旅客施設 |
駐車場 |
道路 |
合計 |
必要面積ha |
0.09 |
0.12 |
0.51 |
0.26 |
1.0 |
2.利用対象隻数
■保管対象隻数
需要を把握するため漁業組合及び定期旅客船運航者、遊覧船事業者、ダイビング事業者等ヘアンケート・ヒヤリング調査(沖縄県H22.6)を実施し、その結果より、保管対象隻数を11隻とした。
|
区分 |
船名 |
トン数 t |
全長 m |
喫水 m |
定員 人 |
事業者名 |
ダイビング・遊覧事業者ヒヤ結果 |
遊魚船 |
ラッキー |
20.0 |
17.0 |
1.2 |
60 |
シーサー |
南海丸 |
4.4 |
14.5 |
1.1 |
25 |
アオカワダイビングサービス |
||
スウィフト |
13.0 |
17.3 |
1.2 |
33 |
ブルーフィールド |
||
ときよ |
19.0 |
14.8 |
1.2 |
- |
シーワールド |
||
中型艇 |
15.0 |
- |
1.1 |
- |
ピンクマーリンクラブ(他社程度を想定) |
||
シーフォックス3 |
17.0 |
14.7 |
1.2 |
48 |
エムズ |
||
遊覧船 |
オルカ |
19.0 |
23.9 |
1.1 |
202 |
ウエストマリン |
|
アンケート調査結果 |
遊魚船 |
和船 |
0.6 |
7 |
0.7 |
- |
泡瀬地区マリーナアンケ回答より |
モーターボート |
1 |
4 |
1.0 |
- |
泡瀬地区マリーナアンケ回答より |
||
クルーザーヨット |
19.0 |
16 |
2.8 |
- |
泡瀬地区マリーナアンケ回答より |
||
クルーザーヨット |
4.0 |
7 |
1.5 |
- |
泡瀬地区マリーナアンケ回答より |
■
乗降利用対象隻数
アンケート・ヒヤリング調査(沖縄県H22.6)の結果より、乗降利用対象隻数を6隻とした。
|
区分 |
船名 |
トン数 t |
全長 m |
喫水 m |
定員 人 |
事業者名 |
ダイビング・遊覧事業者ヒヤ結果 |
遊魚船 |
ハッセイジU |
17.0 |
18.0 |
1.2 |
35 |
サウスワード |
ラヴァニール |
14.0 |
13.6 |
1.1 |
35 |
シーマックスダイビング |
||
グッカパラ |
1.5 |
7.0 |
0.7 |
11 |
マリンスペース |
||
中型艇 |
12.0 |
16.0 |
1.1 |
30 |
トロピコインターナショナル |
||
遊魚船 |
13.0 |
15.0 |
1.2 |
- |
沖縄市漁組員 |
||
旅客船 |
くがに3 |
30.0 |
21.7 |
- |
84 |
神谷観光 |
3.駐車場用地(5,070u)
必要面積=駐車台数×1台当たり必要面積
(旅客)47台+(遊魚)86台+(旅客従業員)6台+(遊魚従業員)30台=(169台)×30u=5,070u
※
1台当たり必要面積:30u/台
※
駐車台数
(1)旅客不定期船利用者用
ピーク日対象船舶隻数×1隻当たりの定員数×乗船率×外来率÷1台当たり乗車人数
2隻×143人/隻×60%×0.683÷2.5人/台≒47台
(2)遊漁船利用者
ピーク日対象船舶隻数×1隻当たりの定員×乗船率×外来率÷1台当たり乗車人数
15隻×35人×60%×0.683÷2.5人/台≒86台
※
対象船舶隻数:旅客不定期船(遊覧船)2隻、遊漁船15隻、
※
1隻当たり定員数:旅客不定期船143人/隻、(2隻の定員平均は、(202+84)÷2=143人)
遊漁船35人/隻(15隻の定員平均は、7隻は不明だが、(60+25+33+48+35+35+11+30)÷8=35人)
※
乗船率:60%(想定)
※
1台当たり乗車人数:2.5人/台
※
外来率:0.683 1−(本地宿泊施設利用者13万人/本地入域観光客数41万人)=0.683
(3)旅客不定期船従業員用=ピーク時対象船(在籍船)×従業員数 1隻×6人=6台
(4)遊漁船従業員用=ピーク時対象船(在籍船)×従業員数 10隻×3人=30台
※従業員数 旅客不定期船6人(運行委員3名、サービス要員3名、計6名)
遊漁船3人(船長、インストラクター2名、計3名)
4.小型船だまり利用者数(約4.0万人)
小型船だまり 需要隻数 |
定員 |
1回当たり最大利用者数 |
利用率 |
1回当たり利用者数 |
年間活動回数(上)・運行回数(下) |
年間利用者数 |
遊漁船15隻 |
35人/隻 |
525人 |
60%(設定) |
315人/回 |
30回/年 ※3 |
0.9万人 |
旅客船 2隻 |
143人/隻 |
286人 |
36.1% ※1 |
103人/回 |
305回/年 ※2 |
3.1万人 |
※1、※2 「運輸要覧(羽地漁業協同組合の事例)より」
※3 「沖縄県海洋レジャー実態調査報告書」より
沖縄市の「小型船だまり」の需要予測
1.沖縄市の予測(年10.4万人の需要。規模は4.0万人。手堅い検証)
(1)H30年沖縄県観光客数850万→沖縄市観光客68万→東部海浜41万人→11.9%小型船だまり参加率(レジャー白書08)→H30年東部海浜入域観光客の小型船だまり需要約4.9万人
(2)H30年沖縄県人口142.4万人→コザ・石川圏人口34.1万人→H30年沖縄市人口約13.9万人→1.1644回小型船だまり参加回数(レジャー白書08)×2分の1(沖縄市を選択する確率)×2分の1分担率(泡瀬漁港を考慮)→H30年沖縄市人口の小型船だまり需要約4.0万人
(3)H30年沖縄県人口142.4万人→コザ・石川圏人口34.1万人→沖縄市を除く、コザ・石川圏人口20.2万人→1.1644回(小型船だまり参加回数・レジャー白書08)×2分の1(地元以外を選択する確率)×4分の1(沖縄市を選択する確率)×2分の1(泡瀬漁港を考慮)→H30年コザ・石川圏のマリーナ需要約1.5万人
(4) 4.9+4.0+1.5=10.4万人 → 本小型船だまり需要者数(規模は4.1万人、需要は10.4万人)は、手堅い計画になっている。