紙智子参議院議員(日本共産党)の質問に対する前原誠司沖縄担当大臣(兼国交相)の答弁 2010323日(火) 参議院・沖縄及び北方問題に関する特別委員会

 

紙委員:泡瀬干潟埋立問題について。

 

前原沖縄担当大臣は先日、就任後2度目の沖縄訪問をされ、次期沖縄振興計画の重要性について、「『コンクリートから人へ』。いかにソフト面を定着させるか。文化、伝統、自然を含めた観光を沖縄の確固な地場産業にし、発展の核にするのか、われわれは考えなければならない」と発言したと報じられている。非常に重要な方向性を述べられたと思う。

泡瀬干潟の埋立問題が重要な局面を迎えているが、この泡瀬干潟は約265aの干潟と藻場が広がっている沖縄島で最大級の干潟です。環境省の「日本の重要湿地500」に選定され、沖縄県は「厳正な保護区域」に位置づけている。干潟と周辺の浅海域では、市民グループがニライカナイゴウナなど10種以上の新種や希少種の生息を確認しており、海草(うみくさ)の多様性は日本一といわれています。こうした泡瀬干潟の自然の重要性について、大臣の認識を問う。

 

前原大臣答弁

 

私は、就任直後の記者会見において、この泡瀬干潟の1期工事については中断、2期工事については中止と述べさせていただき、現在1期工事が中断されているところでございます。

また、私が申し上げただけでもなく、裁判において、公金差止め訴訟について、経済合理性の観点から判決が下され、今、沖縄市・県で改めて計画の練り直しが行われている。

大きなポイントは、採算性とそして将来需要予測、経済合理性、が大事であるし、合わせて、紙委員が指摘していただいたように、泡瀬干潟は、貴重な植物などが生息している大事な所と思っている。私は、2期工事は中止を言ったのは1期工事区域では、干潟の占める割合は2%、2期まで行えばかなりの干潟がダメージを受ける、仮に1期工事が行われたときでも2%の消滅で留めることが出来るということで、2期工事の中止を表明した。干潟の自然を出来るだけ残して貴重な動植物を残していきたい、努力していきたいと思っている。

 

紙委員:泡瀬干潟裁判について

 

泡瀬干潟はまた、底生生物やトカゲハゼ等の生息・生育の場であり、干潮時には多くのシギ・チドリ類、サギ類が飛来し、良好な餌場、休息の場ともなっている。政府は、「生物多様性国家戦略」のもと、各地の生態系保全、回復をかかげていますが、藻場・干潟は生物多様性保全にとって非常に重要な位置づけをもっている。

その泡瀬の埋め立て事業が、「貴重な干潟の生き物を失わせる」として住民らが起こした訴訟の結果、昨年1015日、福岡高裁那覇支部は埋立計画を違法として「経済的合理性があると認めることはできない」、事業を進める前提として「相当程度に手堅い検証が必要」と、強い表現を用いて厳しい判決を下した。

大臣は、控訴審判決が出る直前、沖縄を訪問され、泡瀬埋立の「1区中断、2区中止」を表明されていたが、裁判所の2度にわたる「現時点で経済的合理性を欠く」という判決の中身についてをどう受け止めているのか。

 

前原大臣答弁

 

今、紙委員のご指摘の通り、これまでの裁判においては、土地利用計画の経済合理性の見通しについて極めて厳しい判断が示された、と認識している。高裁判決では土地利用計画の見直しのための調査費などの公金支出は認められ、現在沖縄市において新たな計画の策定について、鋭意見直しをしているところである。

いずれにしても、厳しい判断が下されたことを踏まえて、私どもは、経済的合理性、計画の実行可能性についてしっかり提示してくださいと沖縄市長に重ねて申し上げてきた、そして沖縄市・沖縄県からの打ち返しを待っていると申し上げてきた。

 

紙委員:沖縄市の土地利用計画見直しについて

 

環境裁判、行政裁判で自治体の支出が差止められるということは極めて画期的なものです。泡瀬干潟でやれれようとしていることは、貴重な干潟の埋立であり、採算性の検証も極めて困難です。この判決を真摯に受け止めるならば、沖縄市は事業を無理に推し進めるのではなく、勇気をもって撤退すべきです。

ところが沖縄市の検討調査委員会が発表した新しい土地利用計画案は、サッカー場、5000人規模の会議場、300室の中級ホテル、医療施設、ショッピングセンターを配置、総事業費は、3月の発表時点で1,050億円となっている。

類似の施設は近隣にもあり、旧案の「縮小版」ともいえる内容だ。需要予測や採算性はこれからとのことだ。

沖縄で前原大臣は「見通しを大幅に下回り、新たな借金を生む公共事業が多かった。税金をどう使うべきなのか、優先順位をつけていかなければならない」「夢を持っておられるのは分かるが、観光事業の競争が厳しい沖縄で、本当にペイできるのか」と述べている。新しい案は、まさに大臣が懸念された内容であり、厳しく判断せざるを得なくなるではありませんか。

 

前原大臣答弁

 

1回目に沖縄を伺い東門市長に会った時も、紙委員の言われている内容のことをのべ、2番目にお会いした先般も、同じ内容のことをお話した。

いずれにしても、現在そういった裁判所の判断や、私どもが申し上げている条件を踏まえて、事業の投資効果、需要見通し、採算性、こういったものをしっかり、沖縄市の方で検討していると考えている。沖縄市がどのように判断し、どういう計画を示すのか、我々としては、待たせていただきたいと考えている。

 

紙委員:沖縄市の土地利用計画見直しについて、合理性が無いとき、市民の合意が無い時は認めないということですね。

 

前原大臣答弁

 

何処に線を引くか、なかなか厳しい判断を求められていると思う。司法判断も下されている、我々も、国費を投入する以上、経済合理性、採算性、厳しい需要予測に基づいた計画をお立てくださいといわざるを得ない。

しかし、日本は地方自治を基本的な考え方としているので、沖縄市が計画を立てる段にどういう協力が我々に出来るのか出来ないのか、一義的には、沖縄市と県がしっかり相談してどのような案を我々に提示するのかということだ。

しかし、繰り返しで恐縮ですが、裁判所でも厳しい判断が示された、私どもも、経済合理性、採算性、需要予測など厳しい前提に基づいてやって頂きたいと申し上げている。沖縄市ではそれを真摯に受け止めていると思っている。

 

紙委員:新港地区との関連について

 

市の計画を見て判断するということだが、合理性が無い計画はきっぱり止めるべきだ。そもそも泡瀬干潟埋立の発端は、中城湾港新港地区の「特別自由貿易地域」の設定にある。そこに隣接して大型船が接岸できる深い護岸を建設し、航路を造る、その浚渫工事で出てきる土砂を埋立に使う、ということで埋立が始まった。

埋立先が決まって、その利用計画が後を追いかけているのが、根本的な問題だ。前原大臣は、市の計画の採算性を検証することを強調しているが、国自身の東埠頭建設の妥当性が問われている。FTZのための東埠頭建設とそれに基づく浚渫工事の採算性の見通しはあるのか。先ずは,FTZの土地利用状況について資料をご覧下さい。企業誘致目標は、75社に対して、立地企業数は23社。これまで転出した企業数は14社。23社のうち、立地企業は7社とのことですが、そのうち土地を買ったのは僅か3社、面積はわずか1.9aで、2.1%にすぎません。あとの4社は買い取り条件つき貸し付けというものです。しかも立地企業23社のうち、16社は、国が国費を3億円かけて建てたところに賃貸で入居しているものです。先日、当委員会でもFTZを視察してきましたが、いくつかあるだけで、広い埋立地が使われなく広がっていました。FTZは土地も売れない、企業立地も進まないのが現状ではないのか。ここに新たに東埠頭を造る必要があるのか。

 

前原大臣答弁

 

事業関係として申し上げると、確かに新港の建設の浚渫土砂の残土を泡瀬干潟1期埋立に使うとなっている。新港地区での整備事業は継続していきたい。仮に、沖縄市の泡瀬での1期工事が止められたとしても、我々は別の捨て場を捜して、新港の浚渫は続けることを明確に申し上げておきたい。

FTZ地域は、埋まっていない。買い取りで2.1%、買い取り条件付分譲を含めると7.2%、賃貸工場12.3%IT津梁パーク19.4%を入れると、ようやく38.9%であり、6割が未分譲である。あまり使われていないことはその通りです。他方西埠頭はかなりの企業が埋まっている。私も先般同地区を訪問したが、計画取り扱い貨物量110万トンにたいして、平成20年度93万トン、83%であり、過去5年で25万トンも増加傾向がある。需要予測に近づいてきている。東埠頭の会社をいくつか訪ねたが、荷物を那覇まで持っていき、出荷している、早めに東埠頭を使えるようにという要望もあった。始め、きっかけは浚渫残土の埋立場所が泡瀬干潟の1期工事であったが、それとは切り離して、新港についてはしっかり進めていきたい。

 

紙委員:新港地区、東埠頭の必要性について

 

西埠頭の利用状況を見ると、貨物量、入港船舶ともに港湾計画を下回っている。入港船舶は最大1,348隻、また大型船舶特に外国船舶985隻を見込んでいたのに、ほとんど入っていないのも特徴です。

定期航路もない。西埠頭の2倍の貨物量をもつ東埠頭の浚渫工事を続けて新港を造ることによって、西埠頭の貨物量をさらに減らし、効率を低下させてしまうことになるのではないか。西埠頭を充実させ、稼働率を上げるべきではないか。

 

前原大臣答弁

 

こういう新たなものを造る時は、ニワトリが先か、卵が先か、このようなことが論議されるが、こういう議論は大切だ。いずれにしてもFTZ地域は6割の未分譲の状態である、企業を誘致していくために、港の整備は不可欠である。西埠頭は83%まで来ている、もっと高める努力をしていく、また6割の未分譲を高めるために新港計画を進めていく。

 

紙委員:新港地区、東埠頭の必要性について、再度の質問

 

前原大臣の発言は民主党のビジョンと違っているのではないか。民主党沖縄ビジョン2008では、今私が指摘したことと同じことが書いている。

「泡瀬干潟埋立事業は、FTZ新港地区の浚渫土砂の受け入れ場としての事業となっており、見直す必要がある。計画は頓挫している。」とある。この時点から、現状は何も変わっていない。見直すべきではないのか。

 

前原誠司大臣答弁

 

ですから、先に答弁したようにリンクさせていない。もう既に。沖縄市が1期を申請した時、中身を厳しく検討したい。継続となれば、1区の埋立に使うことになるが、仮にそれが無かった時、別の処分場所をみつけて、新港建設を引き続きやらせていただきたい。マニフエストには矛盾していないと思う。事業として結び付けていくことが破綻している。切り離していく。1区工事については、どのような案が出てくるか、是か非か厳しく検討させていただく。新港地区については、FTZ地区の価値を促進させるため、新港の建設を進めていく。

 

紙委員:最後に、一言

 

最初の段階で述べられたこと、また沖縄を訪問された中でのべれられたように、事業が推進されその結果県民に負担が押し付けられること、そういう形で港湾が巨大な釣り堀になっているのが各地で見られることにもあり、冒頭でしめしたように、大臣は今後の沖縄振興について「文化、伝統、自然」を含めた観光の重要性に触れている。その沖縄で、大切な干潟が減り、例えば1997年までの20年間で干潟が823a消滅し、コンクリート化が進んでいる。今こそ、「コンクリートから人へ」の公約を実行して、埋め立て事業をストップすべきだ。

 

前原誠司大臣答弁

 

干潟の大切さ、残していきたい、ということは共有していると思う。だからこそ1期中断2期中止と政権発足当時に申し上げてきた。いずれにしても1期を仮にやられたとしても干潟の消滅は2%である。2%というものをどうとらえるかによりますが泡瀬干潟は基本的には残すということで取り組んでいきたい。