公共事業チェック議員の会の「事務局」を担当している、亀井亜紀子参議院議員が、泡瀬干潟の件で、質問主意書を内閣府に送りその回答がありました。 現在行われている工事(護岸工事、浚渫工事)に対する、内閣府の考え方を知る重要な資料になりますので、掲載します。

 

中城湾港泡瀬地区埋立事業第一区域への土砂投入工事の着工に関する再質問主意書

私が二月二十三日に提出した「中城湾港泡瀬地区埋立事業第一区域への土砂投入工事の着工に関する質問主意書」(質問第六二号。以下「前回質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質一七一第六二号。以下「前回答弁書」という。)においては、本年一月十五日着工の中城湾港泡瀬地区埋立事業第一区域への土砂投入工事は、一時的な緊急避難措置として終わるものではなく、あくまでも中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業(以下「本件埋立事業」という。)本工事の一環として位置付けられ、したがって平成二十一年度以降も継続する方針であることが明らかにされた。

前回答弁書の内容を踏まえ、以下に再質問をする。

一 平成元年に沖縄市が策定した東部海浜地区開発計画(二百四十ヘクタール)や平成三年の埋立計画(百九十五ヘクタール)はいずれも、国は「採算が取れない」「将来見通しが甘い」などとして国庫支出の要求を拒否していた。ところが平成十年になると国は、突如としてこの埋立計画を推進する立場に変化した。従来の計画では採算がとれないと判断した根拠、現計画なら採算がとれると判断した根拠はそれぞれ何か。

二 沖縄市長が平成十九年十二月五日に行った「東部海浜開発事業に関する市長表明」(以下「本件市長表明」という。)においては、「土地利用計画の見直しを前提」としながらも、第一区域を「推進せざるを得ないと判断」した唯一の理由は、「工事の進捗状況からみて」とされているところである。一般論として、工事が一定程度進捗したことのみを理由に、その後の事業の見直しの選択肢から中止・休止が外されることは、公共事業の効率性を保つことを目的の一つとして導入された公共事業再評価制度の趣旨にも反するのではないかと考えられるが、政府の見解を問う。またこれまでに支出済みの事業費額と、完成時までの総事業費に占める割合(事業費ベースの進捗率)を示されたい。

三 前回質問主意書に対し、前回答弁書において「第一区域への浚渫土砂の投入工事の施行について、「見直し計画の策定を待つべき」とは考えていない。」と答弁しているが、沖縄市は、第一区域の工事の推進については、本件市長表明において「土地利用計画の見直しを前提」としているところであり、この政府答弁は沖縄市の意向を無視するものと考えられるが、工事の施行について、国は沖縄市の了承を得ているのか確認したい。

また、平成二十一年四月十七日付の新聞報道等によると、沖縄総合事務局は「裁判もあり、沖縄市が土地利用計画の見直しをしている最中で、不確定な要素がある」として、中城港湾新港地区の浚渫工事を保留しているとある。本来、中城港湾の整備と第一区域の埋立事業は別事業であり、関連付けるべきではないと考えるが、埋立事業を凍結する一方、新港地区の必要な整備は進めるという可能性はないか、政府の見解を示されたい。

四 本件市長表明においては、第二区域は「推進は困難と判断」し、「具体的な計画の見直しが必要」とされている。それにもかかわらず国は、現計画に基づいて本件埋立事業を着工したことになるが、国として、沖縄市の方針に対しては反対なのか、見解を示されたい。また、計画が見直されて第二区域の埋立てが行われなくなった場合、新港において浚渫される土砂のうち約二分の一が埋立てに利用できなくなるが、その処分はいかにするのか、計画があるなら示されたい。

五 国が行う本件埋立事業が事業再評価の対象となるのは平成何年度か。また現計画における費用対効果を、その詳細な算定根拠を含めて具体的に示されたい。

六 本件埋立事業に係る環境アセスメントについては、先の那覇地裁判決では、違法とまでは言えないとしながらも、その不十分性が縷々指摘されたところであるが、最近の調査によっても第一区域内外のサンゴには既に工事の影響が及んでいることが明らかになっている。また海草、クビレミドロなどの移植技術が確立していないことは、環境省自らも認めている。こうした中にあって、アセス以降に発見された多数の新種や希少種を含む種の保存や、泡瀬干潟の生物多様性の保全を図るために、環境省としていかなる具体策を実施するつもりか。

右質問する。

 

内閣府の回答