沖縄県、国(沖縄総合事務局)の泡瀬地区公有水面埋立事業の「変更手続き」書類への意見

 

沖縄県沖縄市字古謝1166  前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長)

 

以下、T〜]Uに意見要旨を示します。

T.告示・縦覧のあり方は、問題だらけです。厚さ約5cmの両面印刷の書類を、港湾課などの廊下に置いて、告示・縦覧し、意見書を提出しなさい、なんていう「告示・縦覧」のあり方は、改善すべきです。インターネットが発達している時代です。WEB上での公開を行うべきです。

 

U.今回の変更手続きは、環境影響評価(アセス)は、ありません。今度の書類の中にも「環境保全に関し講じる措置を記載した図書」がありますが、従前の「環境監視委員会」に提出した、平成20年度、21年度の調査資料が記載され、あいも変わらず、「環境への影響はありません」などとの記述があるだけです。新しい事業(前の事業は裁判で否定され、新たな事業として取り組んでいる)なので、アセスは必要です。環境影響評価法に基づくアセス(方法書、準備書、評価書の手続き)を要求します。沖縄市が関係した専門家の、「東部海浜開発土地利用計画検討調査委員会」の委員長(池田孝之琉大教授)も新しい事業なので、アセスは実施されるべき、と意見を述べていましたが、「無視」されています。

V.国・県の変更手続きは、沖縄市の東部海浜開発(泡瀬埋立)事業の新しい土地利用計画案(以下、新沖縄市案)を基にしていますが、この沖縄市案は、問題点が多く、撤回すべきです。以下(1)〜(6)でその問題点を指摘します。

 

(1)総合的な観点からの問題点

 

1.旧案(2012年案)の規模を縮小(187a⇒96ha)しただけである。

2.人工島でありながら、アクセス道路については、沖縄県事業として詳細(規模・費用)は不明である。

3.「大型クルーズ船岸壁の整備を取り止める」ことになっているが、観光船・小型船だまり・マリーナは旧案通り計画されている。

4.「大型クルーズ船岸壁の整備を取り止める」ことになっているのに、人工島へのアクセス道路は旧案の橋に比べ、長さ・幅も拡大(4車線・約891m・歩道付き)し沖縄県が負担する。しかし、その明細は記載されていない。後で述べるように、防災対策も何も触れられていない。

5.この区域(第1区)は生物多様性の宝庫であり、サンゴ・海藻草類・新種の動植物・絶滅危惧種が生息しているが、その保全については、何も触れられていない。

6.スポーツコンベンション(公共施設)、民間部門(ホテル・医療施設・商業施設)が計画されているが、公共施設は赤字、民間部門も不透明であり、将来性・経済的合理性が無い。全てが順調にいっても、全体的には「赤字」である。沖縄市の財政に大きな悪影響を及ぼす。

7.この計画の作成、提出過程が、市民無視・選挙公約違反であり、前原大臣(当時)の承認も民主党政権のマニフエスト・政策インデックス2009・沖縄ビジョン2008に違反している。

8.この計画のために、様々な数値が予測されているが、科学的根拠が無く、ペテン・トリックの産物である。

 

(2)新沖縄市案の「用途及び面積」の問題点

 

1.健康医療施設用地8haがあるが、進出希望企業は無い。

2.商業施設(SC、飲食店、ショッピングモール、レストラン、8.5a)があるが、進出希望企業は無い。しかも、沖縄市周辺(うるま市・北谷町)にはSCが乱立し、旧アワセゴルフ場跡地(北中城村)や宜野湾市西海岸にも大型のSCが建設予定である。

3.ホテル・コンドミニアムあるいはコテージ進出希望の企業2社はあるが、「進出意向」を示しているだけであり、確定ではない。

 

(3)「需要予測」の問題点  

 

1.商業・健康・医療については、進出希望企業が無いことから「絵に描いた餅」である。

2.機能別の需要予測約415万人(延べ人数、毎日11,369人)は、H21年度の沖縄の有名な観光地の訪問者数、首里城180万人、海洋博公園220万人を上回っている。埋立地は、超沖縄一の観光地になるという想定は、余りにも現実離れしている。

3.多目的広場・展示、交流(スポーツコンベンション施設)は毎年1.8億円の赤字を産む施設である。

4.沖縄市には、泡瀬埋立地近郊(米軍泡瀬通信施設・北側)に沖縄マリーナがある。その利用状況は、年々減少している。経営は、苦しく、サムズバイザシー(レストラン)で成り立っていると思われる。また、県の中城湾港マリンタウンプロジエクト(与那原・西原地区)の主要施策に掲げていた「与那原マリーナ」の整備事業が企業の破綻や不況によるボート愛好家の減少により変更を余儀なくされていることは、新聞でも報道された(20091118日、「琉球新報」)。沖縄県は全県の小型船舶所有者に対して、泡瀬埋立地のマリーナ利用意向調査を2010年初め頃に実施し、その結果を集計し、この計画にそのデータを使っているが、その利用は、恣意的であり、また、「レジャー白書08」などの全国の平均的なデータで需要予測を推計するなど、実態を無視し、単なる期待値になっている。沖縄市案では、立地希望のマリーナ経営者はいない。また、沖縄市周辺・埋立地周辺で「小型船だまり」で賑わっているところはない。

5.民間部門の計画は沢山あるが、進出希望の企業は、僅か2社である。

 

(4)「波及効果」の問題点

 

1.波及効果は需要をもとに計算するが、沖縄市は、就業者数(まだ実際の数値ではない、民間企業がすべて進出したとして想定している)をもとに計算している。産業連関表の利用を間違っている。

2.1,933人で60億の雇用者所得誘発額を計算している(訂正された連関表で計算し修正されたデータは、1,927人、59億円)。しかし、沖縄市は、就業者数の職ごとの数、その所得額を示すように要請しているが、産業連関表から引き出した数値なので、個別のデータは分からない、と答弁している。1,933人の種別の人数も明らかに出来ないで、60億円を示す沖縄市案は、本当に経済的合理性を示し得るのか疑問である。これでは、現在の沖縄市の職種別ごとの所得と比較できない。また、市民への説明責任もはたしていない。

産業連関表やその数値を使った計算の方法が分からない人は、沖縄市案を批判するな、ということであり、「市民を馬鹿にした態度」といわれても過言ではない。

3.稼動時年間169億円(修正では148億円)の生産誘発額は、これまで示したように「虚構」で計算されている。

4.使われている「建設投資額」は総事業費ではない。総事業費を示すと次のようになる。

357+沖縄市補助125482億円  国は、332億としている

沖縄県

306億円(国庫補助を含む)

沖縄市

177億円

民間

197億円

1,162億円   国の332億で計算すると、1135億円

 旧案(H12年案)は、面積が187aで総事業費は約1,004億円であったが、新沖縄市案は規模は半分(96a、国・県では95a)になったのに、総事業費は1,162億円(1135億円)となる。面積は半分になったのに、総事業費は増えている。おかしな話である。

 また、民間の197億円は民間総事業費であり、ホテル・土地購入代約16a52億円と医療・商業施設土地賃貸権利金6億円(年間)は含んでいないので、これが失敗すると、沖縄市が土地購入費・賃貸権利金を負担するので、沖縄市の負担は増える。

 

(5)「市の財政への影響」の問題点

 

1.波及効果の問題点、「虚構」の数値であることは前に指摘した。

2.稼動時30年間で67億円の赤字であるとしているが、この数値も間違っている。

3.この計算で沖縄市案は根本的な誤りを犯している。新沖縄市案では、民間企業が全て順調に行ったとして、市民税・固定資産税の税収は全て収入とされているが、地方交付税を交付されている沖縄市は、税収の増加分の75%は「基準財政収入額」に算入され、その分地方交付税が減少し、実質沖縄市の税収増加分は25%である。約2億円の25%5千万円の増収にしかなりません。30年間では、5千万×3015億円です。沖縄市案の税収57億円増加は、実質15億円の間違いです。30年間では、119393415109億円の赤字である。

4.このような間違った計算については、沖縄市議会の答弁でも「地方税交付の影響については詳細を検討していない。事業段階での税収増加として計算している」ことを認めていますから、「市財政への影響」も再度検証する必要があります。

5.沖縄市案は、「市の財政への影響」で、実質公債費比率の最大値は15.8(リスクケースでも16)であり、財政指標でみる市財政の健全性は確保されるとありさらに、民間への土地売却価格が10%下がった場合でも実質公債比率は16%であり、レッドカードの18%を下回っているから、市財政の健全性は確保できるとしている。これらの試算は、上の税収の間違いや、民間部門が失敗した場合は当てはまらない。国の財政が厳しい折、沖縄市の財政は益々硬直化し、他の事業での財政支出、この事業での

失敗等で、公債比率は18%以上になるおそれがあり、沖縄市は「債権団体転落」になる危険性は一層増大する。

 

(6)「環境への配慮について」の問題点

 

1.第U区は中止だから、干潟は98%のこり、干潟・クビレミドロは保全できるとあるが、この考え方は、生態系を無視したものである。

2.干潟の機能は、干潟とそれに続く浅海域を一つの生態系として考えるのが科学的な常識であり、干潟に続く浅海域96a(1)を埋めれば、残った干潟が正常であるはずは無い。現に、2区の自然環境は劣化している。

3.埋立地1区は生物多様性の宝庫であり、サンゴ・海草藻類・新種・貴重種・絶滅危惧種の生息地であり、沖縄県も評価ランク1に指定したところである。そのような貴重な場所を埋めて、干潟が保全されるとは、世界の笑いものである。

4.環境省は、2010930日に、埋立予定地1区を含め、中城湾北部(泡瀬干潟を含む)全体を、ラムサール条約登録候補地に選定した。選定理由は、中城湾北部が登録の世界基準を十分満たしている、世界に誇る貴重な場所だからである。

 

W.県・国の出発点は、沖縄市の需要予測のデータである。しかし沖縄市の需要予測は、間違いだらけ、統計学のレベルにも達していないものです。国・県は、沖縄市案をそのまま認め、事業を推進するものであり、根本的に誤りを犯しています。沖縄市の需要予測の間違いを指摘します。以下(1)〜(4)

 

(1)沖縄市立寄率の計算は、数字のトリックである。

a.沖縄市は県のH16年のデータを使っているが、そのデータは、複数回答であり、その値をそのまま足し算、割り算するのは科学的に間違い。

b.重複部分を取り除いた後(データを再調査し)、使うべきだが、市はそのまま使っている。

c.仮に、そのように正しく計算しても、そのデータはH16年度のデータであり、H30年にはそのまま当てはまらない。

d.データに、東南植物楽園が使われているが、現在閉鎖されており、H30年の予測には使えない。

e.仮に、正しく計算されても、その値は、5つの場所に行った人」の、沖縄市立寄率であり、「中部東海岸観光客」の沖縄市立寄率ではない。

  また、もう一つの計算(中部地域観光客の沖縄市立寄り率)も「12の場所にいった人の、沖縄市立寄率」であり、「中部地域観光客」の沖縄市立寄率ではない。

f.H18年の県調査は、15の地域から複数選択するものであり、H16年の77箇所から複数選択する調査とは、年度、対象者、内容が違う。

g.沖縄市は、H18年調査の「中部東海岸」を選択した人と、H16年の「5つの場所」を選択したものを同じものとして考え、H18年の県のデータをH16年の沖縄市が計算した立寄率で沖縄市観光客を予測しているが、全く違うデータを掛け合わす推測は間違いである。

  同じく、県データの「中部地域観光客」から沖縄市観光客数を予測する方法も間違いである。

h.県のデータは、国内観光客に対するアンケート結果であるが、沖縄市は、外国観光客を含めた850万人にそのまま使っている。外国観光客を除いた「国内観光客」を母数とすべきである。

 

(2)沖縄市宿泊需要の考え方の問題点

 

a沖縄市宿泊率の計算は、「沖縄市が独自に調査したH20年の市内6つのホテルの平均宿泊日数1.84」が使われている。H18,H19年、H20年の調査をして平均して使う、また、市内の調査可能なホテルを全て調査すべきであるが、50室以上のホテル6つだけを調査しているのは、恣意的であり、市宿泊率を上げるための操作である。

b.H20年の市観光客数が、先に示した「トリック」で計算された数値48.4万人が使われている。

c.この「市宿泊率」は信頼できない数値である。

d.この値が、仮に正しいとしても、H20年のデータであり、全ての年に当てはまるとして使うことは出来ない。

e.H30年の市観光客数もトリックで計算した68万人が使われ、それに信頼できない「宿泊率」36.98%を掛けて、H30年市宿泊人数25.1万人を出している。

f. H30年の市宿泊需要の計算に、市宿泊日数2.71が使われている。宿泊率の計算には1.84を使って数値を上げ、さらに需要数の計算では2.71を使って上乗せしている。

g. このようにして計算された新規の「東部海浜宿泊需要数」13万人は、信頼できないし、明かに過剰予測である。この値は、現在の市の宿泊人数を2倍以上にしないと達成できない。

h. H30年の市予測850万人は、H20605万人の1.4であり、宿泊人数だけが2倍になるとは考えられない。

 

(3)県観光客沖縄市予測H30年、850万人は実現不可能です。

下記の表は、沖縄市提供のデータである。沖縄市の「入域観光客数」予測に使われている各年度の県観光客数の予測(2008年以降)

年度元号

年度西暦

実績数

沖縄市予測数

H20

2008

605

605

 

H21

2009

565

630

-65

H22

2010

586

653

-67

H23

2011

 

676

 

H24

2012

 

699

 

H25

2013

 

723

 

H26

2014

 

747

 

H27

2015

 

772

 

H28

2016

 

797

 

H29

2017

 

822

 

H30

2018

 

848

 

 

泡瀬埋め立て沖縄市案での県観光客数予測と県の実績(上記表)を見てみると、沖縄市の予測は、過大予測になっていることが分かります。

2018年県観光客沖縄市予測850万人は、実現できそうにありません。2010年沖縄市予測653万人は、県実績586万人を67万人も過大予測しています。沖縄県の観光客数は大震災後、減少傾向です。20114月は、前年同月比21.3%(10400人、「琉球新報」517日)減でした。

5ヶ月連続前年割れです。この傾向がそのまま続けば、2011年県観光客は約466万人の可能性があり、2011年沖縄市予測676万人は、210万人過大になります。しかし県・国は、今進めている「埋め立て変更手続き」では、沖縄市の予測は堅めの想定をしている(511日、参議院沖特委、内閣府答弁)として「修正なし」で事業を進めようとしています。

 

(4)沖縄県の観光客数が「不正確」と、沖縄観光連盟が指摘しています(527日、「琉球新報」)。

この新報記事によると、沖縄県のデータを基にしている、沖縄市の観光客数も「不正確」ということになります。今進められている、国・県の泡瀬埋立変更の手続きは、「沖縄市の予測は全て正しい」を出発点にしています。根本的な見直しが求められます。

 

X.今回の、県・国の変更手続きは、今回の大震災を教訓としていない。沖縄の防災専門家は沖縄でもM8.5、津波10m〜20mは想定しなければならないと警鐘を鳴らしている(「琉球新報」430日)。海の埋立地についても、見直さなければならないと指摘しているが、これらは何も考慮されていない。

Y.枝野沖縄担当大臣の511日の紙智子参議院議員への国会答弁「津波、液状化の対策につ  

いては、県の防災計画の変更を見て対応する。リスク等については、沖縄市・国も検証し評価しなおし対応する。経済合理性も沖縄市と相談する。」でも明らかな様に、今後、検証・見直し、金額面も見直し、沖縄市の財政に与える影響も検証しなおさなければならないのに、検証も無しで事業は進行していくという根本的な間違いを犯している。

Z.沖縄市が計画案に記述してある総投資額は、1,020億円であるが、これは、沖縄市への国庫補助が含まれていない。それを入れると総事業費は1162億円以上になる。それも津波・液状化のリスクは考慮されていないから、今後事業費はもっと膨れ上がると予想されるが、それが、沖縄市財政に与える影響は何も考慮されていない。沖縄市案では、「事業公債費比率は16%であり、危険水域の18%も下回っているから、市財政の健全性は確保できる。」とあるが、震災対策を考えれば沖縄市の公共工事費(スポーツコンベンション拠点形成)はもっと膨れ上がることを考えれば、沖縄市の財政は、公債費比率が18%に達し、危険水域に突入することは予想される。

[.完成も国平成283月、沖縄県平成3210月となっており、規模は縮小されたのに、工事期間は永くなっている。
従前の計画(187a)の埋立は「着手から59月以内」となっていた。今回は、面積が半分、しかも護岸はほぼ完成しているのに、「23年着手から完成までは5年」は、長すぎるし、長い期間、海上工事によって海を汚染し続けることになる。県の完成もH32年となっており、着手23年から9年もかかる。沖縄市の様々な需要予測は、平成30年を基準にしているが、それとの整合性もない。

\.アクセス道路については、「長さ890m、4車線、沖縄市国体道路とつなぐ」とだけ記載があり、工事費、震災対策などの記載は一切ない。与那原・西原の埋立地は陸側と3本の橋でつながれているが、それでも津波襲来の時の防災上の問題点が指摘されている(加藤祐三琉大名誉教授、519日、新報論壇。)1本(4車線)で大丈夫なのか、何も検討されていない。関連して、埋立地内の避難場所(高台)などは、全く考えられていない。

沖縄市の計画では、延べ利用者数は年間415万人、1日平均11,369人(延べ人数なので、三分の一で計算しても3,800名)の人が避難する20m以上の高台、面積にして、一人1uとして、3,800u(0.4a)の高台が必要になる。この「高台」は何処に作るのか、何処が金を出して造るのか、何も示されていない。

].国が埋立に使う新港地区東埠頭の整備の浚渫土砂は、491㎥(変更前885㎥)とある。従前の約55%の利用である。この事業の国の目的は、東埠頭が早期に使えるようにするためであるが、浚渫土砂の利用は約半分であるから、泊地・航路は半分しか利用できないとなり、目的は達成されないことになる。国の工事着工の目的に大きな問題点がある。「工事着工ありき」の批判は当然である。半分の浚渫土砂でも東埠頭は十分使えるとなれば、従前の885㎥の浚渫は、世界に誇る貴重な泡瀬干潟を「浚渫土砂処分場」で破壊してもかまわないという、自然環境破壊の行為・計画であったことが明かである。

   また、変更前の「埋立てに関する工事に要する費用の額の明細」の中で、個別の事業の金額は記載されているが、変更後のものは、金額、過年度金額がまとめて記載されており、個別に記載されていない。これでは、比較できないし、埋め立て面積は半減したのに、埋立て費用が、変更前314億円から変更後332億円になったことの説明責任を果たしていない。明細を明かにすべきである。

   また、沖縄県の変更後の工事費の明細で、平成23年度、平成24年度の金額が全て「ゼロ」になっており、改修工事は平成28年度から支出、臨海部土地造成工事は、平成平成29年度からの支出になっている。沖縄市・中部地域の活性化のためを言いながら、着工から約6年間は、県工事が行われないということは、この工事の目的が、「国の浚渫土砂処分場造り」のみにあることを示している。20112月県議会で可決された泡瀬埋立関連沖縄県予算は、執行されないのに議決されたのか、大きな問題である。

]T.沖縄県の埋立工事の「設計概要説明書」の商業施設その2の地盤高が、従前C.D.L.5mとなっているのに、今回(変更後)C.D.L.4mになっている。大震災を考慮すれば、+5mより、さらに高くならなければならないが、逆に1mマイナスの+4mになっている。説明が、「泊地・航路の浚渫土砂のバランスを考慮してとある」。掘削された航路はこれ以上広げない、マリーナ・小型船だまりの泊地の面積が縮小したため、「浚渫土砂の数量が減少したためバランスを考慮して」地盤高が低くなった、とある。大潮平均高潮面から見れば、2m以上の津波が来たら、被害を受けます。沖縄でも10m20m以上の津波は予測されています。これは、まさに大震災による被害についての考慮が全くない事例の一つである。このような全く杜撰な計画で進められる埋立は許されない。国も、地盤高が20cm下げられています。

   新港地区の浚渫土砂の量が減少したことが理由のようですが、この問題点はZで触れました。

]U.アセスが実施されていないことは、上に記述した。埋立地(1区)の中に約1,000uのサンゴ礁があったこと、それが事業者の責任ではなく、沖縄市や民間NPO法人が「一部移植したこと、その結果」等は、何も記載がない。また、埋立地(1区)の中には、海草藻場が残っているはずだが、何も記載がない。もちろん、従前の計画の時の「代償措置としての海草移植」については、詳細がない。アセスを実施すべきである。