200783

 

泡瀬干潟および中城湾の保全と開発に関する提言

 

WWFジャパン

 

 泡瀬干潟の埋立(中城湾港泡瀬地区埋立事業および沖縄市東部海浜開発事業)について,その計画が立てられた1980年代と現在とでは,環境保護に関する考え方や社会経済的な状況に大きな変化がみられる.今では,発展のため埋立が必要という意見もあるが,埋立の見直しを求める市民運動は全国的な広がりを見せている.一見対立しているようだが,実は,自然環境を守りたいという考え方は共通であり,むしろ,現在の埋立計画では,自然を残せるのか,市の活性化につながるのか,疑問があるということではないだろうか.

2006年4月の沖縄市長選挙では「泡瀬干潟埋立については,情報を精査し,検討委員会を立ち上げ,その意見をもとに判断していく」とした東門美津子市長が誕生し,専門家委員や市民委員による「東部海浜開発事業検討会議」が設置された(200612月から07728日まで、約7ヶ月).この検討会議の報告をもとに,市長判断が示されることになっている.

 このような泡瀬干潟の将来を左右する重要な時期にあたり,WWFジャパンは,泡瀬干潟および中城湾の保全と開発に関して,以下のことを提言したい.

 

1.      泡瀬干潟の埋立に関連する事業だけではなく,広く中城湾全域を見渡して,海域・陸域双方の保全と開発の観点から,総合的な計画を立てるべきである.その際,自然環境(泡瀬や佐敷の干潟や藻場,サンゴ礁,マングローブ湿地など)と文化遺産(斎場御嶽,中城城跡,勝連城跡の世界文化遺産や久高島など)にも配慮して,幅広い計画にするべきである.

2.      中城湾および湾岸の保全と開発に関する総合計画(仮に「中城湾ベイ・プラン」とする)の策定には,既存の内閣府沖縄総合事務局の環境監視委員会と環境保全・創造検討委員会,沖縄市の東部海浜開発事業検討会議を再編成し,さらに沖縄県,湾岸自治体(うるま市,沖縄市,北中城村,中城村,西原市,与那原町,南城市),地域住民や利害関係者,環境団体も加えた新たな検討委員会を組織するべきである.委員会の運営等に関わる費用は内閣府が負担すべきである.

3.      「中城湾ベイ・プラン」が策定されるまで,泡瀬やその他の海岸,干潟,藻場,サンゴ礁などの埋立はモラトリアムとするべきである.

 

以上

問い合わせ先

花輪伸一 WWFジャパン自然保護室

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