意見陳述書 宜保幸男
私は、祖国復帰運動の二大目的の一つであった「格差是正」を肯定し、「開発」を公
衆善だと信じていました。しかし現在は、あらゆる生態系と人類と自然を破壊する大
型公共工事は、在沖米軍基地同様縮小することが公衆善だと考えるようになりました。
さて、今月10日に中城湾港開発計画全地域を見学してきました。1951年に半
年コザ高校寄宿舎で過ごし、1964年から3年中部工業高校に勤務していたころと
は、新港地区も内海と塩田などの泡瀬既埋め立て地区も大開発で超大変貌を遂げてい
ました。それでも、通信施設南側の息絶え絶え奇跡的に残る数少ない貴重な泡瀬干潟
など広大な海浜埋め立て大開発をまだ際限なく続けるのか、せめて今止めなければ千
載に悔いを残すことになります。政府と県は、嘉手納米空軍基地などに市域の36%
を接収された沖縄市の市街地の拡大・大型都市開発を目的として、今なお沖縄最大の
泡瀬干潟の埋め立てを強行しています。そうであるなら、泡瀬通信施設・嘉手納黙認
耕作地・自衛隊射爆予定地などを返還しその跡地の有効活用をこそ推進すべきです。
復帰前と違い住民世論も大分裂しています。住民運動側は、住民相互の人間関係に
齟齬をきたすことを憂慮し、「住民投票」で住民意思を問うことを数度に及び提起した
が議会にそのつど否決されてきました。今現市政は埋め立て問題を東部海浜開発検討
会議に掛けて住民の意見をまとめることを決定しています。また時代も大きく動き「開
発」よりは「地球温暖化防止」につながる「自然保護」が世界史的人類的課題として
重視されるようになってきました。環境保護に関する各種国際条約に照らしても「自
然保護」の潮流は尊重されなければなりません。
しかし、今後も政府は「沖縄振興計画・米軍基地周辺地域振興策」に基づく「超高
率補助・大型公共事業」を在沖米軍基地とリンクした「米軍基地との共存共栄・その
維持強化と新増設・環境破壊」の道を県民に押し付けようとしています。それは陸地・
海浜を問わず自然を乱開発し、広大な「清ら海(ちゅらうみ)」の埋め立てを行い、
砂浜・干潟に棲む絶滅危惧種を含む生態系を破壊します。沖縄の大型公共事業は、特
に復帰後は広大な海浜の埋め立てと基地内工事に頼り、残念ながら日本一の県土拡大
県になっています。
このことが米軍基地返還を遅らせ、さらには買弁的為政者・財界人達に「拝金主義
的退廃」をもたらし、私達ウチナーンチュの「精神の自立」を失わせ、結果的にはま
たもや生態系を破壊する悪循環に陥らせています。これは「米軍基地」を最大の理由
にした自然保護軽視による「安保沖縄差別」であります。
新世紀も、列強大国のエゴによって人類と地球の危機を増幅させ続けています。人
類は今、地球温暖化問題・種の生態的対等性などを重視し、喜捨で象徴される人類相
互の寛容と共感を大切にし、欲望を抑制し、自然環境との共生を果たすことが迫られ
ています。それを実現するには、世界から差別・暴力・破壊・収奪・貧困の非生産的
な連鎖を断ち切らなければなりません。今、「核兵器等」に象徴される急激な「人類
破滅」の危機とともに、地球温暖化・環境破壊による「地球破滅」が進行しています。
人類は、地球を再生保全し未来に継承するという「歴史・時代の要請」を真剣に受
け止め実践することが焦眉の急となっています。
裁判官には、歴史と時代の要請に応える公正な「審判」を強く望みます。