今後の工事予定(泡瀬干潟・浅海域埋立工事)

 

1.           環境監視委員会での事業者説明資料(2011926日配布資料)

 

2.            公共事業チェック議員の会で配布された内閣府・国土交通省説明資料(2011927日、東京、衆議院議員会館)

※ 上の二つの資料をご覧になって、違いが分かりますか?

※ 環境監視委員会の委員に配布された資料では、国の工事の1区護岸内での「埋立工事」の部分が「欠落」しています。事業者は、「不備」な資料を委員会で配布しています。

 

環境監視委員会で、開発委員の隣にいた委員が、「護岸内への浚渫土砂埋立はないので、工事の影響は無い」と話していたそうです(開発委員の証言)。他にも、そのように思った委員がいたかも知れません。

 

今度の国の工事の「埋立土砂投入」は「空気圧送船でのパイプでの流し込み」であり、しかも「汚濁防止膜」を設置しない工事ですから環境への悪影響(汚濁の外海への広がりなど)は当然予想されるのに、そのことが不十分な資料(意図的に土砂投入を隠した?)で説明され、悪影響を論議しなかった環境監視委員会は、大きな誤りを犯しています。

 

このような例でも明白なように、環境監視委員会は「形骸化し」「事業推進委員会になり」「第3者の監視の役割をはたしていません」。

 

日本自然保護協会の開発法子委員はこの監視委員会について、次のように抗議しています。

 

2011.9.26

泡瀬干潟・浅海域埋立事業 環境監視への抗議声明

アセス想定外の自然環境・生物多様性の破壊が生じても

なぜ、原因を究明して保全策をとらないのか。

事業ありきの環境監視は環境アセスメントに反する。

 

中城湾港泡瀬地区環境監視委員

公益財団法人日本自然保護協会 開発法子

 

不測の環境悪化をすべて「台風のせい」にする事業者

 環境アセスメントに基づき設置された環境監視委員会は、本来、事業に伴う環境の事後調査結果について、科学的・客観的な立場から検討し、アセスの「周辺の環境には影響なし」とした評価を監視する機関である。

 これまで進んだ第T区域の埋立工事により、海草藻場の消失、サンゴの死滅、砂洲地形の変化・土砂の堆積などアセスでは予測していなかった環境の悪化が生じている(*1。事業者が実施している環境監視調査結果においても、その変化はデータで示されている。平成223月まで開催されてきた環境監視委員会でも、毎回、委員から埋立てによる環境悪化の影響が指摘され、工事の中断と保全策の実施が求められてきた。

しかし、事業者は「台風の影響であり工事の影響ではない」とし合理的な説明をすることなく、委員会で出された科学的根拠に基づく指導・助言を無視して、事業を進めてきた。

新計画は環境アセス法違反である

本事業は沖縄県民による訴訟で公金支出差し止めの判決を受けた。それにより作り直された埋立・土地利用の新計画は、第U区域は埋め立てずに保全を図るものとした。第U区域は海草藻場と干潟が広がり多様な生物が生育・生息している貴重な自然環境である。にもかかわらず、この海域に関する環境現況調査、影響予測・評価、保全策は何もなされていない。この行為は環境アセス法に反するものである。

科学的根拠のない環境監視調査計画

そして、第U区域の現況が何も明らかにされず、影響予測・評価も保全目標もないまま環境監視調査計画を策定し、事業を進めようとしている。そのため、本日の環境監視委員会に示された環境監視計画には、第U区域の生態系の特徴を踏まえて設定すべき監視項目、例えば海草藻場とそこに生息する底生生物等の調査が欠落している。さらに、これまでの埋立工事で砂洲等の地形変化を引き起こした、海水の流れや海底の土砂の移動についても、全く考慮していない。今回示された環境監視調査計画は、著しく科学的合理的根拠を欠いたものであり、到底認められるものではない。

事業ありきの手続化した環境監視委員会

本日の環境監視委員会では、専門家等により客観的に検討されるべき議事に、事業者が大きく介入して事業ありきの議事進行に誘導した。環境監視委員会は、もはや本来の科学的客観的な立場からの監視機能を失い、事業者は委員会を単なる事業推進のための形式的な手続きにしてしまった。

以上のことから、形骸化した環境監視委員会の運営に強く抗議する。

事業者は、監視調査結果に基づき、埋立工事を直ちに中止し、泡瀬干潟・浅海域の保全と、

工事の影響で悪化した泡瀬干潟の自然環境の再生をはかるべきである。

           *1の調査レポートは日本自然保護協会のWebサイトからダウンロードできます。

 

公益財団法人日本自然保護協会 開発法子(事務局長) 

104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F  Tel.03-3553-4101 http://www.nacsj.or.jp

 

 

泡瀬干潟を守る連絡会も、次のように抗議し、「独立した環境監視機関」の設置を訴えています。

2011926日、記者会見

中城湾港環境監視委員会について

泡瀬干潟を守る連絡会

共同代表 小橋川共男 漆谷克秀

連絡先 前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長)

    携帯電話:09054766628

1.            中城湾環境監視委員会の役割、経過。

2000年の中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業に伴うアセスに基づいて設置されてきた「中城湾環境監視委員会」は、「工事実施にともなう埋立地周辺の環境影響の評価、異常な事態が発生した際の原因究明、所要策検討」等を目的にしてきた。しかし、これまでの経過を見ると、「事業者の意向に沿った調査結果や今後の対策」が「承認」され、事業進行にともなって環境に重大な影響を与える異常な事態が生じているにもかかわらず、「事業の影響ではない」としてこれを無視し、ひたすら事業者の工事進行を後押しする機関の役割を果たしてきた。その特徴的な事例を幾つか紹介する。

A.          泡瀬干潟・浅海域は豊かな海草藻場が発達したところであった。大型海草被度50%以上の大型海草藻場が約56aあった。しかし工事進行に伴い、その海草藻場が激減し、今はそれがゼロである。しかしこのことを、「台風の影響である」などとして、工事による影響を無視してきた。

日本自然保護協会による通信基地先での藻場調査の結果でも、藻場の「激減」がはっきりしているのに、それも「工事の影響ではない」として無視している。

B.          第1工事区域には豊かなサンゴ群落が存在するのに、その保全を行わず、そのサンゴを事業者の責任でなく、「沖縄市・民間NPO法人」の責任で一部を「移植」し、アセスの不備を黙認してきた。

また、西防波堤の北西部にあるヒメマツミドリイシ群落をアセスで見落とし、私たちの指摘でその存在を認めたのに、その保全についても明確な態度を示していない。

C.          事業着工後これまで、多くの新種・貴重種・絶滅危惧種が発見されてきたが、「事業者が約束してきた保全策」も反故にされてきた。

その結果、「区域外を保全する」といいながら実際は保全せず、「区域内は保全できない」として多くの種が生き埋めにされてきた。

D.          工事の進行によって、県泡瀬総合運動公園側の砂洲が消失した。米軍泡瀬通信基地先の砂洲(フジイロ砂洲、泡瀬干潟のシンボル的な存在だった)ではウミガメの産卵も確認されたのに、その砂洲も、満潮時には水没するなど、環境が激変している。これらは、護岸の完成による潮流の変化によると思われるが、これも無視されている。

E.          国・県はこれまで控訴審判決「埋立事業は経済的な合理性はない」などによって事業を中断していたが、沖縄市の「新たな計画」にもとづき、事業を再開しようとしている。これまでのアセスが不備であった上に、上記ADの問題もあり、また今度の事業は新たな事業である(2区は中止)ために、新たなアセスが必要であり、そのことが今日の委員会でも開発委員が指摘しているのに、新たなアセス無しで、この事業が推進されることを今日の委員会は「承認」している。アセス法に違反する行為が平然と認められていることは許されない。また、再開される国の浚渫土砂の揚土工事は汚濁防止膜を使わない。1区の内海と外海は繋がっており、潮の干満での出入りもあり、内海の濁り・汚染は外海に拡がる事が予想されるのに、国の事業報告を「承認」したことも許されない。

 

2.            中城湾環境監視委員会は「事業推進の機関」になっている。

これまでの「経過」で具体的に示したように、事業によって、泡瀬干潟・浅海域の環境は激変し、悪化しているにもかかわらず、環境監視委員会は、これらを無視し、「事業者の報告、今後の対策」を承認し、事業の監視ではなく「事業推進の機関」になっている。

さらに「事業推進の機関」であることをはっきり示したのが、今回の委員会再発足にあたっての山城正邦委員(沖縄野鳥の会、会長)の「首切り」である。山城正邦氏の説明によれば、山城氏が今度の泡瀬干潟裁判(第二次訴訟)の原告になったために、「事業推進に反対の立場の人は委員には委嘱できない」とのことである。今まで「各分野を専門とする学識経験者や有識者など」で構成するとしてきたのに、「環境監視委員会」は、「事業推進の立場の人・専門家を集めた事業推進機関」に成り下がってしまった。

なお、泡瀬第二次訴訟は、県・沖縄市が相手である。委員の委嘱権者である(材)港湾空間高度化環境研究センター(民間団体)(今回から「みなと総合研究財団」)や国(沖縄総合事務局)は、山城氏が原告であることをなぜ知っているのか、個人情報を保護する立場からもその説明が求められる。

 

3.            このような「事業推進の機関・環境監視委員会」は解散し、事業者の意向に左右されない「第3者の環境監視委員会」を設置すべきである。

 以上述べたように、環境監視委員会は「公正・公平・中立・客観的な立場」に立っていない。このような監視委員会は即座に解散し、新たな事業者の意向に左右されない「第3者の環境監視委員会」を設置すべきである。今度の311東日本大震災に伴う「福島原発事故」に示されたように、原子力の規制機関とされる原子力安全・保安院が、推進機関である経産省の一部門(従属)となっていたために、放射性物質が放出される重大事故(苛酷事故)に対応できなかった事例がしめすように、「独立した環境監視機関」が必要である。

 

4.            国・県は、事業再開を第二次泡瀬訴訟が結審するまで「中断」し、今回の再開にかかる予算を311東日本大震災の復興に使うべきである。 

 311東日本大震災は戦後最大の国難である。その復興には莫大な国家予算(復興財源)が必要である。また、その後の「豪雨」「台風」による被害が今、国民を苦しめている。災害支援・復興にはさらに大きな国の支援が必要であり、被害にあった国民は早急な対策を求めている。国は復興財源を増税で賄おうとしているが、その前に、泡瀬干潟・浅海域埋立など「緊急な課題」でもなく、311の教訓も活かされず、合理性が検証されなければならない事業、不要不急な「無駄な公共事業」を見直すべきである。泡瀬埋立事業は総投資額が1,020億円以上である。国・県は「事業ありき」の立場を反省し、冷静に行政を進めるべきである。9月末再開の国事業、10月中旬再開の県事業は、「中断」すべきである。 

                以上