平成17年(行ウ)第7・8号 泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求事件

準 備 書 面(16)要旨

平成19年5月16日

第1 海草の保全と環境影響評価手続との関係

本準備書面では、これまで、準備書面(4)、同(8)で海草移植実験で指摘した問題点について、環境影響評価手続上の問題点を指摘するものである。環境影響評価法及び同法に基づく指針などでは、海草の移植という、代償措置によって、環境保全措置を行う場合においては、環境影響評価において、以下の点が記載されていなければならない。

@ 環境保全措置の検討にあたっては、環境影響の回避低減を優先しなければならないこと

A 環境保全措置を検討するにあたっては、環境保全措置の効果の不確実性が適切に検討されなければならないこと

しかしながら、本件の環境影響評価手続においては、上記の点が満たされていない。

 

第2 環境影響評価手続の問題点

1 代償措置の検討について

本件の環境影響評価手続において、甲8、6−1頁以下で検討がされているが、同6−5頁において「(3)環境影響の回避・低減が困難であることから代償措置を検討したもの」としており、環境影響の回避・低減が困難であることについて、全く検討がなされていない。

2 海草移植実験の不確実性について

海草移植実験の不確実性については、準備書面(4)(8)で指摘をしたが、同準備書面の提出以降、海草移植実験の実現可能性について、新たな事情が明らかになった。

平成18年3月22日の参議院環境委員会において、環境省の政府参考人である南川秀樹は「海草の移植でございますけれども、まだまだ確立まで時間を要することでございます。まだとても日本では確立されたと言えない状況にございまして」と答えている。そのため、環境省の政府参考人の発言として、海草の移植技術が確立されていないとしている。

また、中城湾港泡瀬地区環境保全・創造検討委員会委員であり、海草藻類専門部会座長である野呂忠秀鹿児島大学教授は「海藻・草類の専門家で、移植によって(藻場が)保全されると本音で考えている人はいない」と述べている。本件で被告は、被告沖縄県知事は、準備書面で専門家などの指導助言を受けるとしているが、指導助言を与えるべき委員会の委員がこのように発言したことは、移植による藻場の保全が当初より不可能であったことの証左である。

3 以上より、海草移植については未だに、技術的に確立されたとは到底言えない状況にあり、海草の移植は不可能な状況にある。

しかしながら、環境影響評価手続においては、環境影響の回避低減による環境保全措置を全く検討することなく、代償措置として、本来は不可能であるはずの海草移植が可能であることを前提として環境保全措置が検討されている。

このことは、環境影響の回避低減をまず検討してから代償措置を検討し、環境保全措置の効果の不確実性について検討することを要求した基本的事項、環境保全措置指針、配慮事項に明らかに違反している。

よって、環境影響評価手続は、環境影響評価法及び同法に基づく各種指針などに違反したものであり、違法である。

以上