東門美津子市長への要請

前川盛治（泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長）

10月6日(金)、午前10時から約15分間、東門美津子沖縄市長に要請を行いました。

その結果を報告します。要請文は、文末に掲載してあります。

１． まず、私たちの要請に対して、誠意ある回答はなかった、というのが全体的な概況です。

２． 回答は、１０月26日の上告断念に当たっての記者会見の内容と全く同じ（07年12月の記者会見内容を実施したい、2区は中止して1区の土地利用計画見直しを進め、来年3月末までには完成したい、そのことを前原誠司大臣にも報告した、）であり、沖縄市が自ら調査して発表した「市民意識調査」も全く反映されていませんでした。

３． 市民意識調査については、東門美津子市長の理解も弱く、東部海浜開発（泡瀬埋立）事業については、今回の調査の重点施策順位も番号の８を見て、8位と間違う（実際は9位）など、十分検討もしていないことを自ら暴露しています。

４． この市民意識調査は、沖縄市が5年ごとに行い、調査の目的にもある「市民が主役」の行政の基礎資料です。

そのような市民意識調査でも、支持が低迷している東部海浜開発（泡瀬埋立）事業を、沖縄市の最重点課題でもあると錯覚している、東門美津子市長の態度は、市民意識と乖離したものであり、許されません。

５． 判決でも「経済的合理性のなさ」が指摘され、10月4日の前原誠司国交相との面談でも「採算性が有るのか、ペイできないときは、市民の税金で負担できるのか」などと指摘され、今回の民意識調査でも、支持が低迷している東部海浜開発（泡瀬埋立）事業を、継続していきたいとする東門美津子市長の態度は、全く不可解なことです。

６． 泡瀬干潟の再生事業についての答弁も、積極性は見られませんでした。私たちは、事業が継続できるかどうかも不明な現時点において、可能な限り泡瀬干潟の保全･再生、例えば、護岸の一部撤去、トカゲハゼ生息地のヒルギ類の除去など、を国･県に要請して行うべきだと要請しましたが、「国・県と相談する」との回答にとどまっています。ヒルギ類の除去については、2年前にも要請し取り組むと回答していながら、全く前進がないことも指摘しました。

７．僅か15分間で十分な論議はできませんでしたが、市長が進めている「土地利用計画の見直し」は、市民の理解も得られないし、実現できる見通しもないことから、即時中止するように再度申し上げ、要請を終わりました。

要請文･･･････････････････････････････････････・・・・・・・・・・・・・・・・

　　　　　　　　　　　　　　2009年11月6日

沖縄市長　東門　美津子　様

泡瀬干潟を守る連絡会　　共同代表　小橋川共男　　漆谷克秀

　連絡先　090-5476-6628（前川盛治・事務局長）、住所：沖縄市字古謝1171−3　ｺｰﾎﾟMK　１階　　電話：098−989-0245、FAX：098−939−5622

泡瀬干潟裁判の控訴審判決確定にあたっての要請

泡瀬干潟裁判（泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求控訴事件）の控訴審判決は、沖縄市長･沖縄県知事が上告を断念したことにより、住民側勝訴、県･市の敗訴が確定し、県・市は、今後泡瀬干潟埋立に直接係わる公金の支出は差止めされました。那覇地裁・福岡高裁那覇支部が、この事業に「経済的合理性はない、公金支出差止め」を言い渡したことの意義は大きいです。

ところで、県・市は、上告を断念しながら、土地利用計画の見直しを進め、将来、事業を再開したいことを表明し、10月28日沖縄担当相に「事業継続」を伝えています。判決で「埋立に経済的な合理性がない」｢見直しも相当程度に手堅い検証を必要とする｣等指摘され、前原誠司大臣も10月4日の泡瀬干潟現地視察・東門美津子沖縄市長との面談のとき、「採算性があるのか」「ペイできないときは沖縄市が負担できるのか」と発言されているのに、なお、県･市が事業継続をしようとしていることは、県民･市民からみれば理解できないし市民合意も得られないことは明らかです。

沖縄市は、2009年3月に「生活環境　意識調査　報告書」（5年毎の調査）を公表しています。その中に「沖縄市が特に力を入れるべき重点施策」の調査結果がありますが、「東部海浜開発」はわずか11.8％です。03年5.8％、1998年13.3％であり、沖縄市民の「東部海浜開発」への思いは、低迷しています（3つ選択のため、全体合計276.6％）。裁判でも「経済的合理性がない」と指摘され、「第4次沖縄市総合計画」の基礎資料になる市民意識調査で、市民の支持も低迷している事業をさらに継続したいという市･県の態度は許されません。市･県の行政は「市民が主役」であるべきです。市民の意見とあまりにも乖離した市･県の「事業継続」の行為は、糾弾されるべきです。

一方、この泡瀬干潟埋立事業の目的の一つである「新港地区FTZ東埠頭の整備」事業も大きな問題を抱えています。すでに指摘されているようにFTZ用地の実質分譲率は僅か2.1％です。そのような状況の中で、県も、企業誘致が低迷しているFTZについて、制度のあり方や面積の妥当性の検討を始めています。FTZの抜本的な見直しが必要です。

埋め立て目的が完全に破綻したこの埋立事業は、即刻中止されるべきです。この問題は、長年に亘って論議されてきたことですが、控訴審判決確定、新政権の「無駄な公共工事見直し」、市民要求も低いことが市民意識調査で結果判明したこの時に、きっぱりと「事業中止」の結論を下し、沖縄市の新たな発展をみんなで考える時だと思われます。

つきましては、下記を要請いたします。ご高配の程お願い申し上げます。

記

１． 事業継続を撤回し、「1期中止」を表明して下さい。

２．　自然との共生をめざした、沖縄市の活性化事業を検討してください。

３．　　　泡瀬干潟をそのまま放置するのでなく、再生事業（護岸の一部撤去、ﾋﾙｷﾞの除去等）を取り組んでください。

以下マスコミ報道です。

上、琉球新報、下、沖縄ﾀｲﾑｽ（09年10月07日）