200796

沖縄市長 東門美津子 様 

「泡瀬通信施設における沖縄市による在日米軍施設・区域の共同使用に係る協定書」の契約更新問題について(公開質問書)

                    泡瀬干潟を守る連絡会

共同代表 小橋川共男  漆谷克秀

                      連絡先 前川盛治(事務局長)

                    携帯:090-54766628

 連日のマスコミ報道にしめされているように、今、「泡瀬通信施設における沖縄市による在日米軍施設・区域の共同使用に係る協定書」(以下、「共同使用協定書」)の契約更新の問題が大きくクローズアップされております。東門沖縄市長は、共同使用協定書を1年延長する手続きを進めていると、新聞では報道されています。さて、この更新問題には多くの疑問点があります。そこで以下のとおり公開質問いたします。誠意あるご回答をお願いいたします。

1.        この共同使用協定書の更新問題には、泡瀬埋立問題、新たな米軍基地提供と深く関わっている重要な問題です。しかし、新聞報道では庁議で議論されたこともなく、「時間がなくやむなく更新せざるを得ない」ということで、進行しています。

質問1:この協定書の契約更新の問題については、市長は何時、どの担当部局から説明を受けましたか。また、国や県からこの協定更新についての説明は事前にありましたか。あった場合、どの部局からいつ、どのような説明がなされましたか。

質問2:この問題を庁議(あるいは3役会議)で何時論議しましたか。具体的な日付でお答え下さい。また、検討の結果をお願いいたします。

2.        8月29日、9月3日の関係者の会議では「1年延期の意向であるが、正式な決定ではない、今後意見調整する」としながら、実際は8月31日に「更新依頼書」を沖縄防衛局に発送し、9月4日にはその「更新依頼書」が、沖縄防衛局を通して米軍に届けられています(沖縄タイムス9月5日夕刊報道)。

質問3.このことが事実であれば、「市議会開会の前に再度審議して今後の対応を決める」としたことを裏切ることになると思いますが、見解をお願いいたします。

3.        この共同使用協定書は、第5項aで「378、000平方メートルの当該水域の共同使用を認める。」bで「埋立が完了した後、312000平方メートルの新たな埋立地は、日本政府より合衆国政府に提供される」とあります。

質問4:上記の協定書第5項は、明らかに新たな米軍基地用地提供を意味するものと読めますが、このことについて東門市長の見解を示してください。

質問5:この共同使用地は、埋立終了後、沖縄市が購入する計画ですが、

(1)その購入予定価格はいくらですか。

(2)また上記の購入費用の返済計画はどうなっていますか。

(3)この土地は、沖縄市が提供した軍用地ですから、軍用地料が支払われますが、軍用地料の算定はどうなっていますか。

(4)この共同使用地の一部は「住宅用地」として計画されています。しかしこの区域は協定書で様々な制限(10mを越える建造物制限、電波障害制限、非ディーゼル燃料貯蔵制限が、有事の際の無条件撤退等)がありますが、このような制限のある共同使用地は住宅地として販売できるのですか。

(5)この共同使用地の一部は「業務・研究施設用地」として計画されています。上記に挙げたような制限のある共同使用地は「業務・研究施設用地」として利用・販売できるのですか。

(6)この共同使用地が住宅や多目的広場として開発された場合、米軍通信施設の運用や居住者や入込み客の生命・安全に影響を及ぼすおそれがないことは、確かめられていますか。

(7)「共同使用協定書」6−17条において、原状回復、不備の是正、無線周波数への干渉に関する全ての責任と義務、損害賠償責任などが「使用者」すなわち沖縄市に課せられています。すなわち、上記の「住宅用地」「多目的広場」「業務・研究施設用地」において、住民、業者、研究機関、広場の利用者などが設置した施設・建築物やなした行為について、米軍がその活動に支障をきたすと判断した場合、沖縄市が賠償したり原状復帰しなければなりません。それぞれの条項について、発生しうる事案の態様や市の負担額、充てるべき財源について検討されていますか。

(8)「共同使用協定書」12条において、「使用者」沖縄市の活動に対する、国による影響の防止・軽減・解消義務が定められています。この共同使用地にかかる管理等の責任の所在について、国・県・沖縄市の間でどのように調整されていますか。その結果、沖縄市は具体的にどのような義務・せきにんを負うことになりますか。

4.        1年契約更新は結局、現在進行している1期埋立工事をそのまま追認することであり、「検討会議の報告を受け、埋立の是非の判断を年内に行う」という市長のこれまでの表明と矛盾する結果になります。

質問6:1年契約更新または延長は、現段階において「1期工事をそのまま認める」ことになりますが、それについての市長の見解を示してください。

質問7.「今度契約更新をしなければ、1期工事も出来なくなる」と解釈されていいますが、それは事実ですか、また、その根拠を示してください。さらに、このことと関連して、協定書18条に、「埋立工事期間の共同使用を含む当該きょうていに掛かる詳細は、現地段階において調整される」とありますが、埋立事業者たる国・県と在日米軍の現地担当者との間で、どのような「現地段階」での「調整」がなされているのか、説明してください。

質問8:来年度契約更新しなければ、2期工事はできなくなると思われますが、1期工事はどうなりますか。

質問9:現在進行している埋立事業は、1期工事・2期工事ともに、中城湾港新港地区浚渫土砂の捨て場を確保することが第一義的な目的であることは、国のこれまでの説明からも明らかな事実です。そして、埋立事業の事業者は国と県です。一方、沖縄市は、国と県に対して埋立事業により造成された土地の売買について何らの契約も交わしていないと、これまでくり返し表明してきました。すると、もっぱら国と県が行っている泡瀬埋立事業は、実は、港湾管理者でも事業者でも土砂の排出者でもない沖縄市が、米軍と交わした「共同使用協定書」に依拠して実施可能となっているということになります。なぜこのような不自然な関係になっているのですか。

 5.東門市長は昨年の選挙で「閉鎖的な「市長室」のシャッターをあけます。市政の主役は市民。市民の力を最大限に輝かせるために、役所職員の力を存分に発揮させます。」と公約しています。また、東部海浜開発事業(泡瀬埋立)では「全ての情報を市民に公開、市民と一緒に検討して、結論を出したいと考えています。」と公約しています。

質問10:共同使用協定書に関する市長の対応は、「秘密裏に密室で進めてきた」ものです。これは、上に示した選挙の公約に反しませんか。

質問11:沖縄市が設置した東部海浜開発事業検討会議では、沖縄市当局は、「埋立に関し沖縄市は何も権限がない、沖縄市は埋立後の土地利用についてだけ検討できる」と繰り返し強調していました。今回の共同使用協定書の契約更新問題は、「埋立事業に関して沖縄市は、大きな根本的な権限を持っている」ことを示しています。検討会議での沖縄市当局の説明は間違っていたと思いますが、市長の見解を示してください。

質問12:この共同使用協定書は、現地協定書で、沖縄市長、在日合衆国軍隊代表の間の契約になっており、立会人として那覇防衛施設局施設部長が署名しています。本来このような契約は、日本国代表と在日合衆国米軍の間で調印された上位の協定書があり、その下に、この現地協定書があると思いますが、そのような上位の協定書が存在するのですか。