泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求事件 現地進行協議(0776日)報告

T.説明文書  U.新聞報道と写真

 

T.原告説明文書(パネルも使いましたが、省略します。後日掲載します)

泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求事件、現地進行協議  200776()  原告側説明要旨                 

1 中城湾出張所前

⑴ 泡瀬干潟埋立の目的は以下の2点であるが、いずれも合理性がない。

@ 新港地区航路の浚渫土砂の処分場との目的については、航路浚渫の必要性がない。すなわち、大型船も入港できる西埠頭は稼働率が計画の60%程度で赤字経営が続いており、東埠頭を整備しても需要が見込めない。後記のとおりFTZ構想は妥当性がないが、仮にFTZ構想のために埠頭の必要性があるとしても,西埠頭を使えば足りる。新港地区は新港地区航路の浚渫土砂で埋立てられる予定(自己完結)であったが、余剰又は埋立に使えなかった浚渫土砂を泡瀬埋立に使おうとしており、当初の新港地区埋立計画自体が杜撰極まるものであった。

A 海洋リゾート整備の目的についても需要を見込めない。すなわち、2000沖縄市実施の企業動向調査(アンケート)でも調査先108社(県内外)のうち、参加意向企業は僅か2社(ホテル1,建設1)であり、これも進出について確実性があるわけではない。計画にある栽培漁業施設,海洋研究施設も需要はなく、埋立地利用・分譲の見込はない。

⑵ 新港地区FTZ構想は破綻している。特別FTZ用地89.4aの内分譲済み面積は14.4a(実質は1.9a)、分譲率は16.1%(実質は2.1%)にすぎない。そのため、県は計画になかったレンタル工場を建設したり、分譲価格を3〜5割も割引して4年間で約47億円もの県税を投入したり、レンタル工場賃貸料年間1440万円を900万円に値下げしたりしているが、企業立地は進んでいない。

那覇地区FTZでも完全に失敗している(12社のみの賃貸で,赤字について一般会計からの繰り入れがされている)。

⑶ 新港地区埋立計画も破綻している。

未だ整備中で分譲予定の無い約26aの土地(住宅地)があるが、利用目的変更をせざるをえなくなっている。(甲27参照)。

⑷ 新港地区の埋立は、沖縄県の起債事業であり、分譲が進まず赤字が発生するためその返済に県税が投入されている。県財政悪化の一因である。

 

2 州崎橋

⑴ この地域が、もとの川田干潟(泥干潟)であり、野鳥の宝庫、トカゲハゼ(絶滅危惧TA類)の沖縄第2の生息地、オキシジミ(絶滅危惧TB類)の生息地であった。

⑵ 出島(人工島)方式の埋立地(1次:昭和58年着工、2次:平成4年着工、3次:平成7年着工)であるが、環境が大きく悪化した。

トカゲハゼは、かって約500尾生息していたのが、平成618尾まで極減し、県は 人工干潟を作りメンテナンスを繰り返し(平成6年以降)、そこにほとんど毎年稚魚を放流し続けて(平成7年以降)、ようやく人工干潟を中心として成魚が約1000尾に戻った。しかし、自然干潟のほとんどは壊滅状態である。

野鳥は、かって1000羽ぐらい飛来していたが、今は100羽以内で激減した。

オキシジミは、今は生息していない。

このように、新港地区埋立の環境影響評価手続も、極めて杜撰であった。

3 泡瀬総合運動公園展望台

⑴ 第一期工事(187aの内、約96a)の護岸作り、余水吐き地の埋立、航路浚渫が進んでいる。

⑵ 今年度の工事は8月〜来年3月まで行われる。護岸工事の延長と浚渫工事の延長等である。

⑶ 護岸完成後、新港地区の浚渫土砂がポンプ浚渫・パイプ輸送される。今行われている工事も「汚濁防止膜の海底破壊」「泥付き石材の投入」「防砂ネットの破損」「汚濁防止膜の破損」などがあり、シルトが流れ出し海洋を汚染してきた。新港地区の浚渫土砂投入が行われるとシルトが主成分の土砂と思われるので、この海域の汚染がさらに一層進むと思われる。今見える埋立地の一部に「沈殿池」をつくるとしているが、第一期工事区域約96aの浚渫土砂投入場所(埋立地)で流れ出すシルトが処分できるとは思われない。

⑷ 第一期工事の場所は、大型海草被度50%以上の海草藻場が約25aあった。

⑸大型海草は移植して保全するとアセス書に記載してあるが、現時点で移植技術は確立されていない(環境省答弁、海藻草類専門部会座長発言)のに、「海草を移植で保全する」として、機械移植実験、手植え移植を強行した。海草移植は、失敗であった。残った約24aの海草藻場は被度が50%以下であるとして、移植されず、そのまま埋立てられている。

⑹ 工事の進行で潮流が変化し、フジイロ砂州の西側やクビレミドロ砂州の東側で海草藻場の劣化が起こっている。工事着工前(平成13年調査)の泡瀬海域の大型海草被度50%以上の海草藻場は約57aあったが、現在ゼロである。また、埋立地内にあった約24haの被度50%以上の海草藻場も現在ゼロである。

⑺ クビレミドロ砂州の東側でも砂の堆積が進み、海草藻場の劣化が進み、ハボウキガイの死滅が起こっている。

⑻ このように、本件埋立計画に関する環境影響評価手続も杜撰で適格でない。

 

4 比屋根湿地

⑴ 渡り鳥の楽園(宝庫)である。東側に広がる広大な干潟(約265a)と比屋根湿地、及び休息地(米軍泡瀬通信施設・泡瀬総合運動公園)があるために、渡り鳥の飛来地になっている。

⑵ 干潟とそれに続く浅海域が埋められ、これに伴い環境の変化により、野鳥の採餌場所が減少し、野鳥の包摂能力が低下し、比屋根湿地を含む泡瀬干潟への野鳥(渡り鳥)の飛来数は激減すると思われる。

⑶ 沖縄野鳥の会調査では、泡瀬干潟では約165種の野鳥が確認されているが、事業者は約70種しか確認していない。

⑷ 泡瀬干潟へのシギ・チドリ類の飛来数は、ラムサール条約登録湿地の漫湖(那覇・豊見城)よりも多い。

⑸ ムナグロの越冬数は日本全国の約53%が泡瀬干潟であり(2000年調査)、ムナグロ等の渡り鳥にとって泡瀬干潟の価値は極めて大きい。

⑹ 泡瀬干潟はラムサール条約に登録する条件(クライテリア)を満たしており、登録して保護すべきである。

⑺ 埋立工事が進行し、人工島が出来上がると、かっての新港地区と同じように、渡り鳥の飛来数が激減し、ラムサール条約登録湿地の条件を失ってしまう。

⑻ 比屋根湿地は陸地化が進行しておりその整備が必要であるが、これだけでは野鳥の生息地は維持されない。泡瀬干潟が健全であることがどうしても必要である。

 

5 仮設橋梁根元(ここの説明は原告が先)

⑴ この地域は泥干潟があり、トカゲハゼ(絶滅危惧TA類)の生息地である。現在約10尾〜18尾程度生息している。

⑵ 人工島が出来上がると、潮流の変化で陸地化(砂の堆積)が起こり、トカゲハゼの生息に大きな影響を及ぼす恐れがある。

⑶ 事業者は、造成した人工島の北西側に「人工干潟」を造成し、トカゲハゼを保存するとしているが、「稚魚放流」の計画はなく、人工干潟造成だけでトカゲハゼが保全できる見通しは無い。

⑷ 新港地区もトカゲハゼの生息地であり、新港地区埋立計画の環境影響評価手続ではトカゲハゼ生息地の干潟は保全され、トカゲハゼへの影響は軽微であるとの予測・評価がなされたが、実際には埋立工事(人工島造成)により数百尾から18尾まで激減してしまい、その後の人工干潟造成・稚魚放流でトカゲハゼの生息を維持している状況である。自然のままでは新港地区のトカゲハゼは絶滅した可能性が高い。この新港地区の教訓は全く生かされていない。

⑸ この仮設橋梁の根元のサンゴ礁岩石には貴重なオキナワヤワラガニ(沖縄県絶滅危惧U類、環境省DD種)が生息している。人工島造成による影響予測・評価もされていない(工事進行で生息数がどうなるか調査しているが、将来の保証は無い。)。

 

6 仮設橋梁先

⑴ 眼前の東方(一期工事区域の南側)の海域は、サンゴの生息地である。アセス書では、ここのサンゴ被度は10%未満とされているが、スギノキミドリイシ、リュウキュウキッカサンゴなど被度50%以上の群落が約871uもある。そこも保全されず、埋め立てられる計画である。今、沖縄本島沿岸では白化現象や赤土汚染等によりサンゴ群落の多くが死滅し、サンゴが生息しているところは少ない。西海岸や石西礁湖(八重山・石垣)ではサンゴを移植して保全している。沖縄観光の目玉、サンゴ生息地を埋めるのは、国際サンゴ礁学会シンポジウム(04628日〜72日沖縄開催)で採択された宣言(「危機にある世界のサンゴ礁の保全と再生に関する沖縄宣言」)にも反する。

⑵ 西防波堤北西の海域(将来航路建設予定)もアセス書では、サンゴ被度10%未満とされているが、現在被度50%以上のヒメマツミドリイシ群落が約3万uあり、0768日、初めて産卵が確認され、ここが、中城湾のヒメマツミドリイシの卵の供給場所であることが明らかになった。このような貴重な場所を航路建設・埋立工事で失ってはならない。

⑶ 仮設橋梁の北側の干潟の中にある深ぼれ跡(掘削跡)はドロクイ(方言名アシチン)の産卵地である。沖縄で唯一ここだけが確認されている貴重な場所である(環境保全・創造検討委員会での立原委員の報告)。ここが埋められたら、沖縄唯一のドロクイの産卵地が失われる。

⑷ 埋立第一期工事区域内は、アセス後、新種・貴重種が続々発見されたところである。

数例をあげれば、ホソウミヒルモ、ニライカナイゴウナ、ユンタクシジミ、ヒメメナガオサガニ、ザンノナミダ、カラクサモク、アワセカニダマシマメアゲマキ、リュウウキュウズタ、ジャングサマテガイなどである。

しかし、それらの新種もほとんどが「生埋め」である。アセス書で保全を約束しているが、守られていない。

⑸ 泡瀬干潟・海域は貝の宝庫であり、約320種の貝の生息が確認されている。干潟域での種類数では日本一である。絶滅危惧種の貝も約103種確認されている。しかし、アセス書に記載された貝は僅か23種であり、絶滅危惧種の記載は僅か1種であった。

アセスの杜撰さが際立っている。

 

7 クビレミドロ砂州(ここの説明は、原告が先)

⑴ この場所は、細砂性の干潟で、マツバウミジグサ等の小型海草が生える特異な場所であり、クビレミドロが生息している。

⑵ 泡瀬干潟は、多種多様な環境(4種の干潟、海草藻場、サンゴ生息域)があり、生物多様性の宝庫になっている。

⑶ クビレミドロは絶滅危惧TA類の黄緑藻類であり、世界の中で沖縄本島の3箇所(泡瀬干潟、屋慶名、恩納村太田)だけに生息し、学術的にも貴重である。

⑷ 事業に伴うアセス書では当初記載されず、沖縄県の指摘を受け、再調査し、補正後のアセス書にその生息が記載された。

⑸ クビレミドロ生息地は、埋立地の境界線に位置することから、その場所の保全は難しいとして、アセス書では、代償措置で「移植して保全する」とした。

⑹ アセス書では「移植試験を実施した結果、移植が可能であると判断された」と記載されているが、アセス書記載の時点での移植試験は、ただクビレミドロを屋慶名地区に移しただけであり、「移植が可能」とした判断は、科学的な根拠も無く、子供だましであり、科学を冒涜する、許されない行為であった。

⑺ クビレミドロが「人工干潟」に移植できるかどうかは、現在も勝連地区で実験中であり、まだまだ検討課題も多く、移植技術は未だ確立していない。

⑻ 最近実験室内でやっと、「藻体→卵・精子形成→夏眠卵形成→糸状体→藻体」の全過程が確認できたばかりである。屋外での実験、人工干潟への移植実験は、これからである。

⑼ 現時点でも未だ移植技術が確立されていない「クビレミドロ移植」をアセス時点で「移植可能」と判断したことは、大きな誤りであり、アセス書の杜撰さを改めて示している。

 

 

U.新聞報道と写真

右端の説明している方が、原告代理人、御子柴慎弁護士です。

左端の帽子をかぶって聞いている方が裁判長です。

場所はクビレミドロ砂州です。中央の左が被告県の説明者、その右が

前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会事務局長)です。

 

 

泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求事件 現地進行協議(0776日)状況

撮影:水野隆夫

新港地区。機能していないFTZ、未分譲地の広がる場所に虚しく立つ看板。新港地区のFAZ用地の分譲率は僅か2.1%です。

 

新港地区。州崎橋。完成しているが、開通していない橋です。近くにトカゲハゼの人工干潟があります。稚魚放流と人工干潟のメンテナンスを続けて現状維持です。毎年数百匹放流です。稚魚一匹、2〜3万円。

泡瀬総合運動公園展望台。遠くに工事進行中の泡瀬干潟が見えます。

比屋根湿地、野鳥観察場所前。ムナグロ、クロツラヘラサギ、セイタカシギなど貴重な渡り鳥の県内最大の飛来地。

仮設橋梁根元。池原副代表と話す、東部海浜開発局の職員。背中は屋良事務局次長。

仮設橋梁根元。原告のパネルを見て説明を聞く裁判官ら。

仮設橋梁先で、パネルを説明する。

被告県の現地説明状況。

クビレミドロ砂州で説明する、小橋川共男共同代表と屋良朝敏事務局次長、前川盛治事務局長

歓迎に現れたスジホシムシ(新種の貝、ユンタクシジミが共生する星口動物。ミミズではない。)ユンタクシシジミはいませんでした。裁判官も興味深く観察していました。