第1回海藻草類専門部会の報告です。 |
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私の意見・質疑に対する検討結果は黄色の枠で示しました。 |
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2007(平成19)年度、第1回海藻草類専門部会、2007年7月4日(水) |
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意見と質疑 |
前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会事務局長) |
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T.別添資料1」の【参考】手植え移植藻場の季節変動と長期的な変化 |
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「手植え移植藻場は、短期的には夏季に被度が高くなり、冬季に被度が低くなる季節的な増減が |
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見られる」と記し、下に、夏季と冬季の被度変化の図がある。 |
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この図で、被度が増加しているのは「H17.1」から「H17.7」のところだけであり、他は「被度は同じ」 |
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である。この図からは、「手植え移植藻場は、短期的には夏季に被度が高くなり、冬季に被度が低く |
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なる季節的な増減が |
見られる」ことは読み取れない。また、次の「移植海草の生育状況」でも、 |
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「季節的な変動」は読めないことを示した。 |
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この図は前回の委員会で「被度20%エリアが拡大している」事を示すために示されたが、私(前川)が |
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疑問を出したために作り変えられ、「季節変動」を示すためのデータになっているが、まだ、仮説だと |
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思う。 |
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年度 |
15.8 |
16.6 |
17.7 |
18.7 |
19.7 |
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被度 |
10% |
10% |
15% |
15% |
? |
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増減 |
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同じ |
増加 |
同じ |
? |
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U.手植え移植藻場の追跡調査結果 |
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1.1移植海草の生育状況 |
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全区画(下から6行目)「平成19年度3月に再び10%に減少した。この被度の低下は、・・・・・・・ |
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、季節的な変動であると考えられるが、・・・・・・・」 |
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図1.3の被度変化の表から、「季節的な変動」は、読めない。 |
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年度 |
h16.1〜3 |
h16.7〜11 |
h17.1〜3 |
h17.7〜11 |
h18.1〜3 |
h18.7〜11 |
h19.3〜5 |
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被度 |
10 |
10 |
10 |
15 |
15 |
15 |
10 |
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増減 |
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同じ |
同じ |
増加 |
同じ |
同じ |
減小 |
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事業者 |
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増加? |
減少? |
増加 |
減少? |
増加? |
減少 |
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私はこれまで、冬季の被度(2I、10H)について、事業者のデータは値が高いのではないか、また2I,10hの |
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被度が低下しているのに、全体的に被度は変化していないのはおかしいと指摘してきたが、事業者は |
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それを認めなかった。事業者のデータからは、季節的な変動は読めない。 |
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前川意見:「別添資料1」で、「15.8から16.6は被度は同じ、16.6から18.7にかけては、被度は増加して |
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いることはわかるが、17.7から18.7は同じである。「夏季の被度は増加している」かどうか,今年度の夏 |
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の結果を見ないと分からないのではないか。この判断は、次回でも遅くない。 |
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また、被度の測定も精度を上げる必要がある |
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「被度は17年7月に15%に増加したが、平成19年3月には10%に減少した。これが季節的な変動で |
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あるかどうか、継続したモニタリングが必要である」と修正する。 |
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検討結果:「季節的な変動」については、今のデータでは明らかでないので、記述を改め、事実に即した |
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内容に改める。 |
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詳細枠「2区画ともに、・・平成17年以降は、1月、3月に面積・被度ともに低くなり、7月〜11月頃 |
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に高くなるという規則的な季節変動がみられた。」 |
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2Iについては、その傾向が見られるが、10Hでは、面積については「規則的な季節変動」は見ら |
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れない。 |
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10Hの面積は平成19年1月以降はずっと増加している。(10Pの面積データ) |
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季節的な変動を強調しているようだが、確実にそれがいえる状況にはないと思われる。 |
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前川意見:「季節的な変動」を削除して整理する。 |
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検討結果:「季節的な変動」については、今のデータでは明らかでないので、記述を改め、事実に即した |
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内容に改める。 |
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2.移植した枠外(32枠)の面積について。 |
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@移植した枠外(32枠)の面積が増加していることは事実である。 |
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Aしかし、その枠外(32枠)の被度は、一部15%のところ(北側5区画)はあるが、それ以外は |
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5%以下であることも事実である。 |
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B事業者の整理の仕方は、「増加面積」が強調されて、「被度」については、あまり触れようと |
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していない。 |
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C図1.3移植海草の面積変化には、枠外の増加面積は加えられているが、被度変化には、 |
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枠外の被度は、加えられていないと思われる。 |
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D事業者のデータで枠外の増加面積、被度の平均(平成19年5月)を示すと、次のようになる。 |
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増加面積、約51.2u |
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枠外の被度平均、約4.6%(事業者のデータの+(5%以下)は被度4%として計算した |
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E移植藻場の評価については、面積、被度で評価するようになっている(この評価の仕方につい |
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は、私は疑問をもっているが)。 |
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F3Pの被度変化(平成19年3月以降)は、枠外の被度を含めた表示をしないと、正しい評価が |
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できない。 |
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G事業者のデータで枠外の区画(32区画)を含めた被度の平均(平成19年5月)は、8.7%である。 |
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前川意見:被度を、枠外被度を含めたデータにする。あるいは、枠外については、被度・面積を |
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別の表でまとめる。 |
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検討結果:枠外(32枠)については、別途、面積・被度を新たに設ける。 |
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3.追加調査(15P)について |
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@図2.1の「被度分布」のデータは何時のものか? 面積が平成18年9月21日であるから、 |
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その時点での被度分布のデータを示すべき。(枠外のデータは平成19年3月以降である。) |
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事業者のデータ(資ー43)をみると、被度分布のデータは「平成19年3月」のものと思われるが、 |
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面積分布は「平成18年9月」であるから、正確な比較ができない |
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前川意見:平成18年9月21日の被度分布を示す。 |
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検討結果:そのように被度も示す。 |
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4.環境条件と海草の生育状況の関連の考察のまとめ(31P) |
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1)環境条件の考察 |
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「西側、南側の底質は、・・・硬い地盤・・地下茎の伸長が妨げられて藻場が拡大していない・・」として |
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いるが、ここは、手植え移植地の適地として選定されたのではないか。 |
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「海草移植計画」(平成14年12月16日、総合事務局)(17P)「移植先の候補地については・・・実験結果 |
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より・・・以下の通り定め・・候補地とする。・・ハ)貫入試験において深度5cm以上が20回中15回以上」 |
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(19P)「その後貫入試験などの詳細な調査を行った結果、・・図4.1-4中赤枠で示した約2haを対象 |
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とする」 (図は省略・・・現在の手植え移植地を含む2ha) |
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前川質問: |
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@手植え移植区域は、貫入試験などから、全区域が「適地」であると選定されたのではないか? |
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前の適地選定は、正しくなかった、ということか? |
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A前回委員会(2月28日)で、「被度が低い区画の要因把握と被度を向上させる対策の検討」のところ |
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で、「ヤシマットの敷設+砂の補給を検討する」などが提起され、検討の結果「目的などをはっきりさせて |
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、次回委員会で提起」となった。私はこの提案には反対した。 |
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この委員会配布の資料には、そのような提起はないが、「提起無し」と判断していいのか。 |
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質疑に対する回答:前の適地の選定は、大きな範囲での選定であり、条件に適合する適地としては |
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間違っていなかった。今回はより詳細な場所での「貫入試験」であった。 |
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前回委員会で提起したことは、今回は「無し(砂の補給の意味がない)」ということです。 |
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2)生育状況の考察 |
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○被度の分布 |
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「被度を高めるには、まず面積が拡大することが重要であると考えられる」とあるが、疑問である。 |
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理由.手植え移植藻場は面積は、事業者のデータではこれまで約2倍に増加してきたが、被度は |
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30%から10%まで低下している。縁辺部と比較しているが、そこでも面積は増加してきたが、被度 |
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は、減少してきた。例えば、2Iは平成15年1月1.16から平成19年5月3.71と3.2倍になったが、 |
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被度は20%から10%に減少してきた。 |
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前川意見:「被度が増加しない原因については、さらに調査分析が必要である。」に修正 |
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検討結果:面積と被度の関係は明確でなく、被度が上昇していかない理由には、様々な条件が考え |
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られるので、今後検討していく。 |
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3)まとめ(手植え移植藻場の状況)(34P) |
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「また、被度の増加は面積が増加した後・・・・面積が拡大傾向である手植え移植藻場では、今後 |
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被度の増加も期待される」とまとめているが、これは「願望」であり、まとめとしては賛成できない。 |
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理由1.上記理由で、手植え移植藻場では「面積拡大」→「被度拡大」にはなっていない、ことを |
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いったが、さらに補足する。 |
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理由2.10P、10Hの図で面積は平成18年1月から増加しているが、被度は30%から25%に低下 |
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理由3.私が前から指摘しているが、事業者の面積は小型海草を含めての面積であり、大型海草 |
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の移植での面積測定としては、問題がある。 |
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理由4.面積も「株と株の間が10cm以内であれば、海草分布面積」としており、そのように測定さ |
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れた、「面積データ」をもとにして、「被度」との関係を正しく把握できるか疑問である。 |
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理由5.私が事業者のデータをもとにした「大型海草の面積」は、次の通りである。 |
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移植した区画(当初移植59区画)の大型海草の面積変化、面積はu(事業者データから前川が作製) |
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前川計算 |
事業者 |
h16.11 |
h17.1 |
h18.1 |
h19.1 |
h19.5 |
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115 |
95 |
90 |
95 |
120 |
145 |
144 |
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移植直後の面積(前川)は移植海草を入れた容器の面積×個数 25×35×1315個=115u |
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大型海草の面積が増えていないから、被度も増加しないと思われる。 |
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前川意見:面積の測定については、改善が必要である。 |
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「また、被度の増加は面積が増加した後・・・・面積が拡大傾向である手植え移植藻場では、今後 |
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被度の増加も期待される」を先のように「被度が増加しない原因については、さらに調査分析が必要 |
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である」に修正 |
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検討結果:面積と被度の関係は明確でなく、被度が上昇していかない理由には、様々な条件が考え |
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られるので、今後検討していく。 |
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追加意見.前にも記述したが、手植え移植藻場の評価は、面積だけで評価していない。 |
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34Pの図は「面積」のみを示し、「被度」は示されていない。被度と面積の関係を考察するのに |
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被度(平成19年5月7日)のデータを示さないのは、「面積だけを強調し、被度にはあまり触れない |
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様にしている」と指摘される。 |
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前川意見:このページに、被度(平成19年5月7日)のデータを挿入する。 |
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検討結果:改善する |
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V.クビレミドロの調査・実験について |
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(1)泡瀬地区の調査について |
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@泡瀬地区におけるクビレミドロの生育状況(3P) |
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「平成19年3月、平成19年4月の濃生域は、例年と同じ程度の面積で推移していた。」? |
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前年度との比較が大事ではないのか。同年の3月と4月の変化を前年と比べる意味は? |
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前川意見: |
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「平成18年3月と、平成19年4月の生育域を比較すると、高密度生育域は、70%減少、低密度生育域も |
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17%減少している。」という記述を追加すべきである。 |
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高密度生育域 |
低密度生育域 |
藻体確認範囲 |
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図2.1−3(4P) |
平成18年度 |
200 |
14,000 |
73,400 |
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平成19年度 |
60 |
11,600 |
70,000 |
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70%減少 |
17%減少 |
4%減少 |
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A関連して,13P、9行 |
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「平成19年3月のクビレミドロの生育状況は、平成18年3月時に比べて高密度生育域の範囲がやや |
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縮小し、低密度生育域等の形状がわずかに変化したものの、全体的に大きく変わっておらず」 |
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という記述は、間違っている。上記のように訂正すべきである。 |
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検討結果:18年度と比較して、19年度は、高密度生育域、低密度生育域が減少しているので |
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それを明示する。同年の3月と4がつの比較については、意義が薄く、3月がピークであることから、 |
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3月だけの比較にする。 |
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(2)勝連地区現地実験について |
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@実験区と対照区を設けて実験しているが、対照区は「対照実験」になっていない。 |
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対照区を設置する場合、実験の目的(石垣を設置する)以外の条件は、同じにしないと、「対照実験」 |
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にはならない。この実験は、実験区と対照区が「小型海草の生育状況」が違っており、対照実験に |
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なっていない。 |
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A32P、<移植1年後の藻体期におけるクビレミドロの生育状況>で、「対照区にクビレミドロの生育が |
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確認できた」ことから、35P〜38Pで、「小型海草が分布している地点では、小型海草自体が緩衝材 |
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となって環境が静穏に保たれるとともに、小型海草の地下茎が砂の流出を防ぎ、クビレミドロの卵が |
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分散するのを抑制する機能を果たしていると考えられた。」と分析していることは、疑問である。 |
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理由1.対照区には確かに小形海草の被度が10%以上生息していることは事実だとしても、それが、 |
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卵の流出を抑制していることを言うためには、もうひとつの「対照実験(小型海草が生えていなくて、 |
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対照区と条件が同じところに、同じような実験をして、1年後の経過・結果を比較する)」が必要である |
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が、そのような実験はしていない。 |
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理由2.対照区のクビレミドロは移植直後と1年後の藻体の数を比較すると、1年後は僅か、4.5%しか |
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再生産されておらず、言い換えれば、95.5%が再生産なしである。このデータから先の結論を引き |
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だすのは無理がある。 |
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対照区のクビレミドロ藻体の比較(3月時点での比較)(33Pの表から作成) |
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対照区 |
実験区 |
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移植直後の群体数 |
942群体 |
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199群体 |
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1年後の群体数 |
42群体 |
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0 |
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1年後の再生産率 |
4.50% |
(95.5%は再生産なし) |
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0% |
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前川意見:次のようにまとめる。 |
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1.クビレミドロの勝連地区の「石囲み内への移植実験」は、1年後の再生産はゼロであったことから、 |
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失敗であった。 |
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2.クビレミドロの自然海浜への移植については、引き続き実験をする必要がある。 |
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3.小型海草の卵流出抑制効果については、引き続き実験の必要がある。 |
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検討結果:対照区が対照実験になっていなかったことはその通りです。また、実験区で再生産が |
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なかったこともその通りである。但し、対照区については、対照実験ではなかったが、 |
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その区域内で、小型海草の被度の違いはあり、その点での分析は可能であったので資料に示した。 |
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しかし、小型海草の抑制効果については、新たな実験が必要であるので、検討し、提案実施していく。 |
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