泡瀬埋立、海上工事の汚濁防止膜の杜撰さ、浚渫場所のシルト(記者会見資料) 

  2007129日 泡瀬干潟を守る連絡会

汚濁防止膜の撮影のビデオ(200712日撮影)を入手しました。その中から、写真にし

たものです。事業者は2重に汚濁防止膜を展張してあり、護岸工事の石材投入による海洋汚染を

防いでいるといっていますが、実情は写真の通りで、膜が防止の役割りをはたしていません。海

面上で見ると防止膜を吊り下げる黄色のブイがきれいに2重に展張されて、あたかも防止膜がき

れいに張られているように見えますが、吊り下げられている防止膜は、@ところどころ切れてい

る、A繫ぎ目が空いてる、B底の方が巻上げられていて海底に着いていない、C底のほうが切れ

て、海底に着いていない、等、石材投入の際に発生するシルトを海底に堆積させ、拡散を防ぐ役

割りを果たしていません。

この場所は私たちが西のホットスポットと呼ぶ海域です。そこは、新種のホソウミヒルモ、リュウキュウズタ、深場

のコアマモ、泡瀬で絶滅したといわれるスイショウガイ、スギノキミドリイシ・リュウキュウキッカサンゴ・ハナガサミドリイシ等

のサンゴが生息する場所です。貴重な種がこの工事で消滅しようとしています。

 汚濁防止膜の杜撰さは過去にも例があり、私たちはそれを指摘してきましたが、改善が見られ

ません。

 杜撰な海上工事を改めさせ、海上工事の中断を求めるため、写真を公表します。

 なお、ビデオは117日、第11回泡瀬干潟「自然の権利」訴訟・公判報告・学習会(農研セ

ンター)で公開しました。

防止膜がいたるところで破れ、隙間だらけである。

膜がワイヤで束ねられ、底が空いている。

つなぎ目が開いている。向こうに石材が見える。

膜がところどころ束ねられている。左下に投下された石材が見える。

底が破損しているため、膜が長い範囲で束ねられている。下に 石材が見える

古タイヤも石材と一緒に投棄されている。

 

(左の写真の説明)

底が破損し束ねてあるため、海底に膜が届かない。石材が見える。投入された石材は、波や潮流に洗われ、投下されたときに発生したシルトは周辺海域に拡散していた。

この海域の貴重なスギノキミドリイシ

浚渫場所の状況・・シルトが堆積し海洋汚染・汚濁の源となっている。

 埋立工事東側の航路浚渫場所は、シルトがヘドロ状に溜まっています。このヘドロ状のシルト

は汚濁防止膜で今の区域に留まっていますが、膜が撤去されたら(工事は4月〜7月に一応中断

されますから、撤去されます)泡瀬海域に広がり影響を与えます。

この場所は私たちが東のホットスポットと呼ぶ場所です。新種の可能性のあるニライカナイゴウナが発見され

た場所であり、トウカイタママキ、フジイロハマグリなどの絶滅危惧種が生息する場所です。また、普通は深場

でしか見られないウミエラ(サンゴの仲間)もここで見られます。この場所の浚渫で、貴重種や絶滅危

惧種の貝等は余水吐け護岸の埋立地で死骸になって積み上げられていると思われます。

浚渫で海域は濁りで汚染されます。昨年はそのために、この近海のモズクは生育せず、モズク

はほとんど採れませんでした。今年も、この付近ではモズクは採れないでしょう。浚渫の始まる

前までは、天然のモズクが豊富に採れた所です。

 このように汚濁防止膜は、工事期間中、シルトを留めておくだけであり、海洋汚濁・汚染を防ぐも

のではありません。

「汚濁防止膜を2重に張って周辺海域を保護している」、ということは誤魔化しです。

 昨年、浚渫場所の南側の汚濁防止膜は工事を中断していた期間(4月〜7月)も撤去されず、

展張されたままでした。汚濁を少しでも防ごうとしましたが、3方は撤去されていますから、効

果はありませんでした。周辺海域は、潜ったら何も見えないほど、濁っていました。

 次は、埋立工事東側の航路浚渫場所を撮影したビデオから写真にしたものです。

H鋼の底からシルトが流出しています。右は溜まったシルトです。

左のH鋼の底が低く、右が盛り上がっています。流出が分かります。

浚渫した跡に溜まったシルトは少し触るだけで崩壊し拡散します。

左の写真の連続です。

少し触っただけで亀裂が拡がります。

シルトが溜まったところでは海草は生きられません。死んだ海草塊。

コブヒトデも死んで浮遊していました。

シルトの溜まったところは非常にもろく崩れていきます。

左の写真の連続です。指を差し込んだだけで、もろく崩れます。

取り残されたサンゴ片をとるだけでシルトが拡散します。右は人の指

左の写真の連続です。右下でサンゴ片をつまみ出すだけでシルトが拡がる

浚渫場所の汚濁防止膜も巻上げられていて、役割りを果たしていません。

この海域は左の写真のようにきれいな細砂性の海底でした。

ウミエラ

 

参考資料1 濁り調査地点(通常)

 

参考資料2 工事期間中の濁り調査地点

 

参考資料3 新聞報道(琉球新報)

 

参考資料4 新聞報道(沖縄タイムス

 

参考資料5 国要請後の新聞報道

      琉球新報  沖縄タイムス