7月28日、下記の要請文、資料を基に事業者(総合事務局・県)に要請をしました。
回答は概略次の通りでした。
1.
沖縄市長からは工事中断の要請はない。
2.
事業の目的を早期に実現するために工事を進める(中断は考えていない。)
3.
砂の堆積については台風等の原因も考えられる。調査し対応する。
4.
貴重種への対応については県に報告し事業者の考え方を伝えている。沖縄県知事から【「改定・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)」に記載された種の保全が図られるよう、必要に応じて、専門家等の指導・助言を得て、評価し、保全措置を講じるよう配慮願います。】という文書をいただいて、対応しています。
それに対して、大よそ次のような反論をしました。
1.
この事業は、沖縄市の強い要請で進められてきた。沖縄市が「検討委員会を立ち上げ検討したい」と変わってきたので、工事を「中断」すべきだ。
2.
事業の目的(リゾート地の形成、新港地区の浚渫土砂処分場)に合理性はない。
3.
これまでの台風では、写真に見られる「砂の異常な堆積」は見られなかった。海上工事による原因が考えられる。工事を「中断」して調査すべきだ。
4.
事業者は保全措置を講じていない。事業者はそれを認めている。対応策を示しているだけだ。専門家の指導助言も得ていない。貝について沖縄の専門家に何も相談していないし指導助言を受けていない。
事業者が、埋め立て予定地内のみに生息していることを確認している貝6種の保全策も示されていない。これらを「やむなく消滅」させていいのか。
とにかく話は平行線で、事業者の態度は「工事ありき」でした。私たちはこれから何度も「中断」要請に来ることを表明し、終わりました。
新聞は次のように報道しています。06年7月29日「琉球新報」(朝刊)

この新聞記事に対し、三宅光一所長は、8月5日の「琉球新報」の論壇に投書して次のように「釈明」しています。
「指摘の5種は泡瀬以外でも生息が確認されていて・・・(省略)・・レッドデータブックでもランクが低く・・(省略)・
埋め立て区域内の消失はやむを得ず・・・」と申し上げました。
「泡瀬以外にもいる、ランクが低いから埋立地内の消滅はやむを得ない」、という立場が許されるだろうか。
これについては、後日新聞紙上で反論しますが、さしあたり次の点は指摘しておきます。
@
この5種(事業者の平成17年度第第2回環境監視委員会資料では6種になっていたが、いつの間にか5種になっている)は
事業者が泡瀬では「埋め立て予定地内のみで生息を確認」とし発表している。7月28日の要請時でも「埋立予定地外では確認していない。同じ環境が他にあるから生息していると思う。泡瀬の埋立地外で調査するつもりはない。」と回答していた。事業者は泡瀬の埋立地外では確認していない。
A
埋立地内のこの5種の貝が埋立で「消滅」すれば、泡瀬での「消滅」になる可能性はある。「埋め立て区域内の消滅はやむを
得ず」という立場が、アセス書で約束した貴重種の保全違反であることは明らかである。この貝の貴重性について事業者は沖縄の貝の専門家に何も指導助言を受けていない。
要請書にも記してあるが、貴重種の保全に対する知事意見に対する事業者の見解は次の通りである。
事業者見解:工事中に天然記念物指定種や「レッドデータブック」、「レッドリスト」等の掲載種、その他貴重種・重要種に相当する種で、環境影響評価書に記載されている動植物種以外の種の存在が埋立てに関する工事の施工区域内若しくはその近傍で確認された場合には、関係機関へ報告するとともに十分調整を図り、その保全に必要な措置を適切に講じます。
絶滅危惧U類、準絶滅危惧種だから保全の必要なないとする立場は、絶滅危惧種の保全の立場、及びこの見解に反する。
2006年7月28日
沖縄総合事務局長 様
開発建設部長 様
那覇港湾・空港整備事務所長 三宅光一 様
港湾空港指導官 成瀬英治 様
港湾計画課長 阿野貴史 様
沖縄県知事 稲嶺恵一 様
土木建築部長 様
港湾課長 様
泡瀬干潟を守る連絡会 共同代表
内間秀太郎 小橋川共男 漆谷克秀
泡瀬干潟生物多様性研究会 代表 山下博由 印省略
中城湾(泡瀬地区)公有水面埋立事業の「中断」の要請
事業者は、7月24日に行われた環境監視委員会で、今年度の海上工事を8月から再開するとしている。
私たちは、今年度の護岸工事、浚渫工事再開について、次の理由から、事業者の再考をお願いし、工事「中断」を要請する。
要請の理由
(1)去った4月の沖縄市長選挙で、「埋立積極推進」の候補者が落選し、「情報を公開し、検討委を立ち上げ検討したい」とする東門美津子市長が誕生した。今沖縄市は、検討委員会の準備を進めているところであり、検討委員会の結論が出るまでは、海上工事を中断すべきである。
(2)去る7月13日、台風通過後、泡瀬干潟・海域を調査したところ、干潟全域での砂の堆積、海草藻場への砂の堆積、海草藻場の劣化、ハボウキガイ等の貝類の裸地でのむき出し状態、クビレミドロ生息地での砂州の分断等が見られた。これらの現象は、過去の台風後には見られなかったことであり、埋立事業(護岸工事、浚渫工事)の進行、場の創造による「盛砂」等によって、砂の堆積が変動するなど環境変化が著しい、と思われる。それらの原因を究明するために、調査検討が必要である。
(3)RDBおきなわ記載の絶滅危惧種の貝の保全がなされていない。フジイロハマグリ、トウカイタママキなどが浚渫工事予定地に生息しているが、その確認もなされておらず、保全策も示されていない。事業者が、埋め立て予定地内のみで確認している貝6種「ネコガイ、ヒメオリイレムシロ、ツヤイモ、ウミギク、ウネイチョウシラトリ、オウギカノコアサリ」の保全策も示されていない。
(4)C護岸の延長、D護岸の工事により、被度50%以上のガラモ場(St.10)の消失が明らかだが、その保全がなされていない。(このことは、環境保全・創造検討委員会、環境監視委員会でも指摘されている。)
(5)日本新産の可能性のある「ウミウチワ属の1種」が、埋立予定地内(St.10)の北側に生息しているが、事業者はそれを確認していないし、保全もなされていない。また、アワセカニダマシマメアゲマキ(仮称)についても、その調査・保全を要請しているが、事業者は対応していない。(ウミウチワ属の1種、アワセカニダマシマメアゲマキの件については日本自然保護協会等からも、調査・保全の要請が出されているが、事業者はその要請に応えていない。)
要請
1.
今年度の工事について、沖縄市と協議すること。
2.
沖縄市の検討委員会の結論が出るまで、工事を「中断」すること。
3.
泡瀬干潟・海域での「異常な砂の堆積」、「海草藻場の劣化」等について原因を究明するための調査を行うこと。原因が判明するまで工事を「中断」すること。
4.
絶滅危惧種等への対応については、知事意見とそれに対する事業者の見解にもとづき対応すること。
以上
参考(アセス書における貴重種への対応)
知事意見:工事中に貴重な動植物が確認された際は、関係機関に報告するとともに、適切な措置を講じること。
事業者見解:工事中に天然記念物指定種や「レッドデータブック」、「レッドリスト」等の掲載種、その他貴重種・重要種に相当する種で、環境影響評価書に記載されている動植物種以外の種の存在が埋立てに関する工事の施工区域内若しくはその近傍で確認された場合には、関係機関へ報告するとともに十分調整を図り、その保全に必要な措置を適切に講じます。
参考写真 砂の堆積で環境が激変している泡瀬干潟(写真1〜写真12)
砂の堆積で環境が激変している泡瀬干潟
2006年7月13日 泡瀬干潟を守る連絡会 泡瀬干潟生物多様性研究会
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写真1 通信基地東側 2004年の写真 礫干潟だった。 |
写真2 左写真1とほぼ同じ場所 砂が堆積している。礫の中の貝が生息できない。 |
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写真3 通信基地東側 海草藻場に砂が堆積し、藻場が消失している。(調査する小橋川共男さん、前川盛治) |
写真4 通信基地東側 海草藻場に砂が堆積し、藻場が消失している。(調査する山下博由さん) |
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写真5砂の堆積で失われた藻場のハボウキ まだ生貝 |
写真6砂の堆積で失われた藻場のハボウキ 死貝 |
砂の堆積で激変した泡瀬干潟その2 泡瀬干潟を守る連絡会 泡瀬干潟生物多様性研究会 06・7・13
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写真7 通信基地東側 藻場が劣化しハボウキがむき出し |
写真8 通信基地東側 かろうじて残った藻場のなかのハボウキ |
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写真9 クビレミドロ砂州 東側が分断、水路が出来ている。 |
写真10 クビレミドロ砂州東端 ハボウキがむき出し海草藻場の劣化が見られる。 |
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写真11 クビレミドロ砂州 東側が分断されている。 |
写真12 クビレミドロ砂州の東側 豊かな海草藻場だったが、砂の堆積が進み、藻場はない。 |
参考資料 今年度の工事予定(事業者資料)


(注意:この図は7月28日要請の日に事業者が記者会見で示した図です。最新の工事予定図ですから、資料として追加します。)