(3)中城湾では絶滅したと考えられていたスイショウガイの大群生地を確認

 泡瀬干潟生物多様性研究会(山下博由代表)は2003年7月23日,沖縄県・県庁記 者クラブで記者会見し,スイショウガイニライカナイゴウナ等の貴重な貝が泡瀬埋立予定地内に生息していることを明らかにしました。
 2004年9月13日,私たち泡瀬干潟を守る連絡会の調査で,西側の余水吐護岸(矢板)の西側に幅20m,長さmの広い範囲に約50個の個体群を確認しました。絶滅しかかっているスイショウガイの大群生地の確認は,ま さに驚きです。この場所の近くで近いうちに,護岸造りの石材投入など,埋立の大工事が始まろうとしています。この大群生地が,埋め立てによって消滅することをそのまま許していいのでしょうか。

スイショウガイ Strombus canarium turturella
(ソデボラ科)

 2003年6月に「泡瀬干潟を守る連絡会」の潜水調査で生息が確認された.
 本種は 食用となる水産重要種であるが,沖縄本島では分布が衰退しており,羽地内海や 大浦での生息が確認されているのみで,中城湾では絶滅したと考えられていた.
 泡瀬では第一期工事区域内の海草場(水深4-6m, ホソウミヒルモ生息地)から確認された.本種の生息は泡瀬の浅海生態系の健常さを示唆するものであり,詳細 な調査と保全対策の検討が望まれる.


大群生地の確認
 下の写真を見てもわかるように、底質は少し砂のまじった泥質である。水深6m程で、周辺はコアマモの群生地、ホソウミヒルモやヒメウミヒルモの生息地でもある。
 同じような底質の中城湾の他の場所には生息しておらず、埋立予定地内の特定の場所に生息していることは、その場所が極めて特徴的で貴重な場所であることを示している。この場所が、多種多様な貴重な生物が生息するホットスポットであることが、さらに明らかになった。
(撮影 新井章吾


場の保全、種の保全の重要性

 事業者は、スイショウガイは普通種で希少性は問題にはならず、貴重種・重要種に相当しないとして「水産種であり特段の対応を行わない」としている。

 しかし、環境監視委員会における議論で専門家意見として、「生息縁辺部の個体群は貴重とする考え方もある」と記述し、また、オブザーバーとして出席した貝類専門家・奥谷東京水産大学名誉教授は、「泡瀬に生息していることは重要なことであり、重要な種であると認識している」と回答していること、しかも「生息が確認されたのは、埋立計画地及び泊地(マリーナ)計画地内であり、埋立計画地の周辺や沖側では確認されなかった」としながら、「特段の対応を行わない」というのは、あまりにも矛盾し、種の保存に対する配慮が欠落している。

 ニライカナイゴウナ、オサガニヤオリガイ等は埋立予定地外にも生息しているので、生存は保証できないが生息可能な場所に「移動する」、ホソウミヒルモ等は埋立予定地外に多く生息しているから埋立予定地内は生き埋めにする等、貴重種の保全がまったく示されていないことと合わせ、「環境に配慮して工事を進める」と事業者が言っていることが言葉だけであり、「工事ありき」で自然破壊の実態は明らかであり、許せない。

 今回、私たちの調査でいわゆるホットスポットで、約50個の個体群(大群生地)が確認されたことは、「生息縁辺部の個体群は貴重であり」、その場所と個体群を保全する必要があることを示している。

 また、スイショウガイは水産種(食用貝)でもあり、絶滅が危惧されている今、その養殖技術の開発・確立のためにも、その場所と個体群を保全する必要があるのではないか。沖縄県の水産資源は消滅しかかっている。沖縄県の農林水産部の対応が求められる。